【感想】植物少女

朝比奈 秋 / 朝日新聞出版
(49件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
8
21
14
2
1

ブクログレビュー

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  • spica2015

    spica2015

    設定そのものが異色。母親が植物状態であるが故に、ある意味濃厚な母娘関係。呼吸して生きているだけのようでも、やはり身近な人にとっては十分に「生きている」のだとわかった。

    投稿日:2024.05.26

  • いまなか

    いまなか

    読んでる時も読んだ後も時間がゆったりと流れていった感じがした
    テレビの音や趣味の曲の音、端末の音を全部消して今この瞬間を感じたときに気づく
    あ、腰曲がってたな

    投稿日:2024.05.17

  • 夜

    読み終えて検索して、著者が現役の男性医師であることを知って納得。
    さまざまな理由でいわゆる植物状態になってしまった患者たちが集まる病棟の物語。

    主人公・美桜の母・深雪は、美桜を出産するときに脳出血を起こし植物状態になってしまったため、美桜は母と言葉を交わしたことがない。
    だけど産まれたときから母はその状態なので、美桜は当たり前にそれを受け容れ、植物状態の母、そして父や祖母のもとで成長した。

    病棟での、美桜を取り巻く患者たちとの描写がとても生々しく、時にグロテスク。
    母の病室に集う4人の患者は状態がまちまちなのだけど、植物人間という共通点があり、食事や排泄や死に向かう様子などが本当に生々しくて、これはやはり医師ならではの目線なのだろうと思った。そこには厳しい現実が描かれている。

    幼い頃から病室は美桜の遊び場で、病棟の看護師などとも友だちのようになり、そこで過ごすことが当たり前の環境で大人になる。
    だけど時折母に過激に接する場面もあり、その描写もまた生々しい。

    凄いものを読んでしまった…というのが率直な感想。淡々と描かれている分、状況描写に凄みを感じると言うか。
    感情ではなく事実が優先されるところがリアルで、男性作家だからこそ書ける物語なのかもと思った。

    そして私は、「植物状態」のことを誤解していたのだと分かった。
    ベッドに横たわり意識のない状態なのかと思っていたが、実際は人の介助があれば咀嚼して食事をするし、ベッドに腰掛けることも出来る。
    人によって状態はまったく違うのだということを知った。

    その環境を当たり前に受け止めて過ごす美桜と、かつての元気だった深雪との過去を追いながら1枚フィルターを噛ませたような状態で接する周りの大人たちの対比。
    植物状態になっても食事はするし排泄もする。そして徐々に老いてまた別の病を得たりする。
    途中向かいのベッドにやってくる少年、あっ君の存在感も大きい。髭が生えたり声変わりしたり、意思がないように見えても身体は成長していくという事実。
    それは確かに身体は生きているということだから、尚更切ない。「生きているとはどういうことか」ということを、問いかけてくるような作品。三島由紀夫賞受賞作。
    続きを読む

    投稿日:2024.05.16

  • るー

    るー

    美桜にとってお母さんってなんなんだろう。最初の方は何も知らないが故の美桜のおかああさんへの態度が少し怖いところもあった。後半、美桜が大きくなって行くにつれて色んなことが現実味を帯びてきて、全部変わって行くんだなって思った。続きを読む

    投稿日:2024.05.10

  • 栗原

    栗原

    自分を産むのと引き換えに植物状態になった母親深雪を持つ美桜、その周りの人達の、深雪を愛する気持ちがどれもヒリヒリと痛くて胸が苦しくなりました。

    美桜は、深雪の無と凪を愛していました。母に手を握られて居る間は、人間として生きることの苦しさや複雑さからつかの間解放されたのかもしれません。
    でもそれは母親を愛していると同時に、母親を一人の人間であるとは認められないジレンマに満ちた時間だったのではないかと思いました。

    母の最期を迎え、生き生きした彼女のエピソードを人々の口から聞いた美桜が、ようやく泣いて笑って母親の生を感じられたことにとても安堵しました。
    これから美桜は、正しく母の死を悼み、自分や娘の人生をが明るく実り多いものとなるよう懸命に生きていくことでしょう。

    続きを読む

    投稿日:2024.03.25

  • おおにしみゆ

    おおにしみゆ

    さらさらどろり
    陳腐な言葉になるけど、私たちが生きてる意味ってなんだろう、私たちが普段見下したり馬鹿にしたりして線引きしている人たちと私たちは何が違うんだろうと考えたりした
    少女ならではの無垢な心の痛
    意外とさらっと読みやすい文章
    続きを読む

    投稿日:2024.03.04

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