【感想】我々はどこから来て、今どこにいるのか? 上 アングロサクソンがなぜ覇権を握ったか

エマニュエル・トッド, 堀茂樹 / 文春e-book
(13件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • morizo1000

    morizo1000

    ・家族類型
    相続が自由、あるいは、平等的な同居を伴わない絶対核家族、平等核家族→英語圏
    同居を伴う父方居住、母方居住、双方居住
    直系家族(父方居住) 長男がほとんど相続する→日本、ドイツ
    直系家族(そうしょ居住)
    直系家族(母方居住)
    外婚制共同体家族 男が平等に相続をし、外婚制 →中国、ロシア
    内婚制共同体家族 →アラブ圏
    ・核家族は人類史の原始的な形であり、社会の要請に応じて父系の共同体家族へ複雑化していった
    ・経済や社会システムは短期間に変わるが、家族類型は長く変わらない
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    投稿日:2025.05.02

  • nuhuaueo0

    nuhuaueo0

    過去課題本。本書がベストセラーだったときに、その流れで課題本になったと思われる。「家族制度から政治が見える」と本書は主張しているようだが、論理展開に強引な印象を受けた。

    投稿日:2024.12.09

  • motoy0415

    motoy0415

    いや、むずかしくて読めない。あきらめる。前書きだけでも勉強になるかも。つまり、資本主義の罪悪はもう結果が見えてる、とか。

    投稿日:2024.12.01

  • Rafmon

    Rafmon

    エマニュエル・トッドは乳幼児死亡率に着眼してソ連崩壊を予言した事で有名な歴史学者だが、その著者が、家族形態に注目し、覇権国との因果関係を探る本。序盤、核家族などの家族形態と文明の発展等の結びつきがピンと来なくて読み難い感じがしたが、識字率の解説などから一気に面白くなる。

    集団が物理的、地理的条件から自然発生的に生じ、自他の区別は後付けで発生したと考えるのが無理のない解釈のように思う。地球の真反対に住む集団が繋がっているとは到底思えない。そこでは言語も風習も、恐らくは見た目も異なる。だから、元々一つだった集団が敢えて利権構造によって区別するために言語や風習を違えたというよりも、同族として認識不可能なほど差がある集団同士が、自ずと別物として認識し合う状態ができたのだろう。

    ー 紀元後二〇〇年頃のことである。「ミシュナー」(ユダヤ教の口伝律法をヘブライ語で編集した文献。のちに「タルムード」の基礎を成す本文となった)に定着するかたちで、ユダヤ民族への帰属は母親から継承するという、たいへんよく知られた規則が現れた。これを根拠として、ユダヤ教が母系制へと推移したと想像するのは容易であろう。そして、その推移は、中東でどんどん拡がっていた父系制に対する反動だった。

    その意味で、母系制が父系制に反動として広まったという考え方は、良くわからない。日本でも女系天皇に対する反対意見はあるが、これは今までのやり方を継続する慣性への拘り(それに対する遺伝子レベルでの論拠は後付けか)であって、それらの拘りが各国であるのは、他国を意識した結果ではないと思うが。一方で、識字率の話は説得力がある。

    ー その結果のうち、ユダヤ人と非ユダヤ人のそれぞれの識字率を比較してみよう。ロシア帝国の全人口中での10歳以上の男子の識字率は28%だったが、それをユダヤ民族に限定し、読むのはイディッシュ語のヘブライ文字でもロシア語の文字でも構わないとすると、数値が65%まで上昇する。1837年以前に生まれた、当時60歳以上の人口に注目すると、原初的なユダヤ文化にもう少し近づくことができ、その不完全さや父系的な教育の偏りをも垣間見ることができる。男性の識字率は54%だったのに対し、女性のそれはわずか15%にとどまっていた。このデータが示唆する世界は、紀元後一世紀に大祭司ジョシュア・ベン・ガムラが夢見た世界に近いのではないだろうか。次章の主なテーマはドイツとプロテスタンティズムの宗教改革だが、私はそれに加えて、人類を全体として見たときの識字化プロセスにも言及するだろう。

    ー それでもユダヤ教は、未分化核家族モデルの機能の仕方を変えなかったわけではない。古代ではまったくオリジナルだった禁止、すなわち堕胎の禁止と嬰児殺しの禁止を導入したのだ。旧約聖書ははっきりと出産奨励主義で、ホモ・サピエンスのプラグマティックな態度と袂を分かっている。ホモ・サピエンスのほうは、ごく自然にマルサス的(人口制限論的)で、人口と食糧のバランスでものを考え、食糧調達因難な場合には「汝、殺すなかれ」といった掟に縛られる気持ちなどほとんどなかったのだ。ユダヤ教のこの革新が古代におけるユダヤ民族の高い出生率を支え、その出生率が、ローマによる征服にも先立って、異邦への移住とディアスポラの人口増加を部分的に説明する要因になっていたと推察するのは、妥当なことだろう。

    ー 文字表記は、その本質において、知識を固定する技術であり、これによって人間社会は、記憶内容の口頭伝達にともなう不確実性を免れる。長子相続は、長子相続から早晩発生することになる直系家族とともに、これまた継承の技術にほかならない。継承されるのは、君主制国家、封地、農場、工房などである。より深い部分では、そうした社会構造の諸要素にともなう、事務処理や、農業や、金加工技術などのすべてのテクニックである。したがって、文字表記と直系家族というこの二つの社会的続性の道具の間にひとつの歴史的近接性を看て取るのは、非論理的なことではない。
    初期の表意文字システムの場合には、直系家族との関係はおそらく非常に緊密だ。あの種の文字を使いこなすには厳しい修練が必要なので、おそらく、直系家族の継続性と文字表記技術の獲得のあいだには必然的な関係が存在するのだろう。私がここで喚起しているのは、書記を家業とする家族内での父から息子への継承だけではない。中国の文字であり、日本でも用いられている漢字の数が、じつに数千にも上ることを思ってみようではないか。もし、継承のために考え出された家族システムもなく、その中で子供に対して働く親の強い権威もなかったとしたら、あれほど多くの文字を記憶することなど考えられただろうか。
    今度は二一世紀の現在に身を置いてみよう。中国と日本の文字表記システムは今も生き延びているが、こんなことが可能だということ自体、あの両国に高いレベルの家族的・学校的規律が存在するからこそであろう。
    したがって、メソポタミアで、中国で、日本で、文字表記の出現と長子相続による家族秩序の形成の間に歴史的な結びつきがあったという仮説を立てていけない理由はない。エジプトでは、長子相続がかなり早くから社会の上層階級に取り入れられたのだが、このケースなども仮説に矛盾しない。

    ー 読むことの学習をひとつの技術の獲得としてしか見ないなら、われわれは間違いを犯すことになろう。今日では、次のことが分かってきている。幼児期に読むことを覚え、実際に読書に没頭すると、それによって頭脳の機能がいちじるしく拡張されるのだ。たしかに、頭のいい子は読むことを覚えるのが早い。しかし、人類史を理解するためにより重要なのは、とりわけ読むことを通して子供たちの頭がよく機能するようになるということだ。外国語の習得と同様、読む能力の獲得は思春期以前には容易で、思春期を過ぎると困難になる。人体組織の成長の決定的な局面では、識字化によって頭の構造が変わると言ってもよいくらいだ。
    読むという活動が新しい人間を創造する。読むことを覚えた人間においては、世界との関係が変わる。

    ー プロテスタンティズムはまた、大衆の識字化というそのオペレーションによって読み書きの出来る農民を「製造」するに到ったのだから、原初キリスト数よりもさらに古い母なる宗教、ユダヤ教の後を追い、その点ではユダヤ教を追い抜いたのであった。宗教改革は、この狭義の教育的意味において、ユダヤ人たちによってもたらされたメッセージに対して格別に忠実であった。

    ー 識字化は、最初のうち、宗教的な夢や悪夢が精神に取り憑くのをむしろ後押しした。しかし、もう少しあとになると、科学革命のベースとなった。ガレリオ・ガリレイはピサの人だったけれども、近代物理学の基盤となった地域は間違いなくヨーロッパ北西部、つまり、男性の半数が読む能力を持っていた地域であった。ところで、物理学が発展すると、万物の創造主にして統制者としての神を疑問に付すことが可能になる。自然界の数学的捕捉・表現を担った立役者たちの幾人かは、自らの宗教的疑念を傲岸な客推理でコントロールしようとした。デカルトは一六四四年にラテン語で「コギト・エルゴ・スム(我思う、ゆえに我在り)」と述べたが、これは、論理上の紆余曲折を経て至高者の存在を認めることにつながる確信であった。

    面白い。下巻に更に期待。
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    投稿日:2024.10.01

  • るるぺり

    るるぺり

    良書、歴史に関する斬新な視点を甘えてくれる
    ただ、分かりづらい、難しい、専門用語が多い

    歴史を語る時、政治、経済、テクノロジーなどの観点から語る事が多いが、この本は家族という観点から見た歴史を語って
    家族のあり方の変遷、それが人々の価値観や社会のあり方に与える影響
    特に、イギリス/アメリカの家族や社会の特徴と、それの影響
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    投稿日:2024.07.21

  • echigonojizake

    echigonojizake

    今なお世界を政治経済や軍事、テクノロジーで牽引するアメリカ。でもそれは原始的な人類に通じる点があるという……なるほど!という視点を得られた。

    エマニュエル・トッドらしい人口社会学を駆使しながら歴史、地理を縦横無尽に論じた本であり、少々いやかなり肩は凝る。途中から読みやすくなってきて、論旨も理解できてきた。

    トッドの世界は毎回知的な刺激を得られるのでとても充実したひと時を過ごすことができる。一方でフランス知識人らしい独自の視座というかバイアスというかもあるのでそこも勘案しながら読むとよいのかもしれない。
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    投稿日:2023.12.28

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