0
奥田亜希子 / 創元文芸文庫 (5件のレビュー)
レビューを書く
総合評価:
"powered by"
あかね
このレビューはネタバレを含みます
『名前をつけてやる』 ヨシとの名前のない関係に「不倫」という名前をつけてあげたことで、名無しの思い出には戻れなくなった。ほろ苦くてほんのり甘い思い出として前に進めたこと、少し小馬鹿にしたような妹の鼻をあかせたこと、 それら全てが前に進むきっかけになった気がする。 慰謝料を募金箱に入れたのが助産師さんらしかった。 『両性花の咲くところ』 中途半端でいることを選べばいい、なんて選択肢私にもなかったから目から鱗だった。 私も何か一つに打ち込んでることがないし、何かをかなぐり捨ててもずっと続けていたいなんて思うことがない。 ぼんやりと生きているが、私にもなにか好きなことを見つけることができるだろうか。 この本を手元に置いておきたいと思ったきっかけの話。 『ラストシューズ』 夫が大事にしていた大会で、自分が一番大事にしていた靴を、1センチ小さくしていた靴を履かせること それが自分にとってどれほどの苦痛なのかがわかっているからこその仕返し。痺れた。 最後に夫が小さい靴を手に取ったのも、まだやり直せる未来が残されていることがわかって嬉しいポイントの一つだ。自分の父親のような姿にはなってほしくないという愛情は苦楽を共にしてきたからこそ生まれたチャンスだろう。 『砂に、足跡』 若気の至りの話。この手の話は、まだ私が未熟で幼いからかむず痒くて息苦しくて苦手に感じることが多い。 有言実行する人と、人間にはできないことがあると諦めること、これは人間関係を維持する上で大事なことだが、なかなか気づきにくい。 忘れないようにしたい。
投稿日:2024.05.11
きりんの奥さん
5人の性別、年齢、住む場所など異なる白野真澄の物語。全てにおいて名前にまつわるしがらみや喜びが書かれている。身近にある日常を描く表現がとてもリアルで、知人の話のように感じられた。 方言に馴染みのない…私には、少し読みづらいところがあった。ただそれも、それぞれの環境による違いを表しているので、面白いところでもある。続きを読む
投稿日:2023.05.31
かな
共通点は「白野真澄」という名前。 5人の白野真澄が主人公の短編集。 「砂に、足跡」が好きだった。 装丁もなんか好き!
投稿日:2023.03.26
MISERY
5編収録されている短編集だけど主人公は白野真澄。でも年代も住む場所も違う同姓同名の別人の5人。悩みや生きづらさを抱えている白野真澄。自分の名前や他人の名前を通して何かの気づきを得て少し自分の世界が変わ…っていく。その変化の過程が丁寧に描かれていて読み終わったときに自分が少し軽くなるような、嫌な気分を掬い取ってくれるような心地よさがある。もっとたくさんの白野真澄に出会いたくなる。続きを読む
投稿日:2022.12.12
ちょこりす
同じ「白野真澄」という名前の、それぞれ全く違う境遇の主人公たちが送る日常を描く短編集。(全5編) 姓名判断ってあるけど、結局人生は「その人」でしかない。 同姓同名なら、性格も考えも能力も同じかと言わ…れたら… そうではないですよね。 なんなら、性別まで違う場合もある。 この「白野真澄」さん、この作品にピッタリのお名前ですよね。 中性的だし、かなり珍しいタイプのお名前でもない。 結局、名前はある種の記号みたいだなと思えて、肩の力が抜けるようでした。 (決して軽く捉えてるわけではないです! 我が子が生まれた時も、願いを込めて大事に名付けました。) 大きな事でも小さな事でも、自分で選択肢から選ぶのが人生。 でも、本書で一番響いたのは『選ばないことを選べばいい』という言葉。 「あ、そっか」なんだかストンと自分の中に落ちてきました。 「絶対に何か1つを選ばないとダメって、案外多くないのかもしれない」と考えたら、ちょっと気持ちが軽くなる。 そんな短編集でした。続きを読む
投稿日:2022.11.30
ポイントが追加されました。ポイント明細ページからご確認いただけます。
クーポンコードの形式が正しくありません。半角英数12桁で入力してください。
エラー(エラーコード: )
本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック
スマートフォンの場合
パソコンの場合
このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?
ご協力ありがとうございました 参考にさせていただきます。
レビューを削除してもよろしいですか? 削除すると元に戻すことはできません。