【感想】1795

ニクラス・ナット・オ・ダーグ, ヘレンハルメ美穂 / 小学館文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • Withverne

    Withverne

    四肢を切断され、舌を抜かれ、目を潰されながらも、数週間は生かされたと思われる死体が沼地で発見される。引き上げた風紀取締官のジャン・ミッケル・カルデルと、警察の臨時探偵を任されている法律家のセーシル・ヴィンゲが、即席のタッグを組み犯人探しに乗り出すが…。鍵となるのは、遺骸を包んでいた高価な布地。果たして二人は真相に辿り着くことができるのか。

    舞台はそれぞれの作品の題名通り、国王グスタフ三世暗殺直後の混迷期のストックホルム。当たり前だが検死技術もDNA鑑定もない時代、且つ犯人と思われる人物は貴族で、無尽蔵の財力、そして事件を揉み消す権力もあるだろう。そんな無理ゲーには、ただひたすら足と頭を使い立ち向かうしかない。残酷なことをした犯人に見合った罰が下されて欲しい、早く溜飲を下げたい、そんな感情に駆られながらページを繰ったが、それは正に作中に登場する公開処刑に歓喜する観衆と同じで。そのことに気付いた時は「なんとも意地悪な作者だな」と冷や汗をかくだけだったが、まさか三部作の最後、あまりのサディズムの境地に絶叫しながら転げ回ることになるだろうとは思いもしなかった。

    「ベルマン・ノワール三部作」の別名通り、スウェーデンで同時期に名声を得た詩人ベルマンの作品に特徴的な、不安・欲望・酒・死の要素が通底する作品群。ゴミ溜めのような街を、文字通り腕一本であらゆる障壁を薙ぎ倒しながら進むカルデルと、結核で身体はボロボロだが頭脳だけは鋭利なヴィンゲの二人の、1+1どころか10以上にもなるような、バディ的関係も非常に魅力的だが、特に貧困層に属するその他の登場人物の個性も際立っていて、死に物狂いで生き抜こうとする彼らの気概に押されるように、スウェーデンの三年間を一気に駆け抜けてしまった。とにかく面白かった、久々に憑かれたように本を貪った。物語としてもまとまりが一番良かった『1793』で読み終えておけば、と少し後悔をしないでもないが、こんなにも徹底的に叩きのめされ、消えない傷を残されるのであれば、三作全部を読んで良かったかもしれない。むしろ今は少し希望も抱いている。あまり万人に勧められる内容ではないが、北欧ミステリ好きやこの時代のストックホルムに興味がある方は是非読んでみて欲しい。
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    投稿日:2023.03.05

  • タッキー

    タッキー

    北欧ミステリーの歴史を変えた作品ということで、最終巻は特に期待したのですが。。正直、今までと少しまた毛色が変わり、よくわからないストーリーに。全く読書ペースも上がらず、内容もあまりは頭に入ってこずで、正直読むのが疲れました。前巻で憎んでいた敵を、ここで主人公にされてもと思う第2部。やっぱり前前作から読んでいる人は、アンナが気になるのに、そんなことはすっ飛ばした、このよくわからない展開。最後は一応ハッピーエンドかもしれませんが、なんかモヤモヤばかりが残った読書でした。続きを読む

    投稿日:2023.01.27

  • ゆめこ

    ゆめこ

    三部作の完結編。
    一番印象に残っているのは一作目だが、シリーズを通して当時の街の様子や生活などの描写が凄まじい。
    ストーリーだけでなく、目に浮かぶような描写に圧倒された。

    投稿日:2023.01.21

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