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左川ちか, 島田龍 / ボイジャー (4件のレビュー)
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ひーら
昭和の初期にほんの数年だけ活躍した詩人の全集。短い人生ゆえに、詩の他、翻訳や日記等の散文、書簡までを含んでもこの一冊に纏まってしまうのが痛ましくもある。詩の読み解きは難しいが、翻訳に選んだ作品の傾向や…周りの人々との交流の様子、特に兄の親友でもある同郷の伊藤整との交流の様子などが興味深い。続きを読む
投稿日:2024.02.11
ハゐド
詩を読むのは苦手だ。ずっと避けてきたように思う。でも「食わず嫌い」は良くないと思い切って手にした一冊。そんな初心者にはハードルが高すぎたかもしれぬ難解な作品が多かったように思う。 それでも得るものは…あった。詩は黙読するよりも、声に出して音として耳から入った方が良い。あくまで私にとって有効だった方法だが、黙読だとどうしても意味を考えてしまうところが、音ならイメージをただ頭の中に浮かべる感覚で受け取ることができた。まあ、私の理解力が低いせいで、そのイメージがとりとめのない理解不能なものになってしまうのだけど。 でも素敵な言葉にも出会った。著者・佐川ちかの詩論が書かれた『樹間をゆくとき』の中の言葉だ。 ❝詩は言葉の勉強だと思ふ。併しそれは話すやうな言葉とちがつて、表面から見えない心の言葉である。思惟の中から選ばれた言葉で空間を充すことであると思ふ。❞ (p.221)続きを読む
投稿日:2023.03.11
がと
北園克衛に見いだされデビューした北海道出身のモダニズム詩人の詩・翻訳・散文・書簡などを網羅した一冊。 若くして北園と『エスプリ』という雑誌の共同編集もしていたという女性。知らなかった。やっぱり北園…や西脇順三郎に似てもいるけど、同時にその二人とは違う鋭さや切実さが宿っている気がする。本書では翻訳業と並べられているので、そこから吸収していったものが如実に見えてくるのも面白かった。フィクサーのような存在だったという伊藤整は「女性の肉体を感じないか」と言ったらしいけど、官能的というより植物的だし、低体温で時に金属的ですらある文体が魅力だと思う。尾崎翠や松村みね子を尖らせたみたいな。 キンと冷えた詩作から一転、散文は親しみやすいモダンガールという感じで、特に親友・江間章子について書いた文章は青春のきらめきが眩しい。自分をこんな風に書いてくれる友だちが24歳で亡くなるなんて、江間さんも辛かったろうな。左川は小説を書く気だと語っていたそうで、この容易に文意を掴ませない詩の作風がどんなふうに昇華されるか読んでみたかった。「甘まい、アイスクリームのように、舌の上に乗せるとすぐ融けてしまふような小説」かぁ。続きを読む
投稿日:2023.03.09
蓮子
夭折したモダニズム詩人の全集。詩、翻訳詩、散文、翻訳が収録されている。全集とだけあって解説もとても充実している。モダニズムといえば稲垣足穂が真っ先に思い浮かぶけれど、彼女の詩や散文も足穂のように硬質で…乾いた手触りを持つ。削ぎ落とされ、磨きあげられた言葉達は美しい結晶だ。そして風のような疾走感を持って胸に迫る。若くして亡くなったのが悔やまれるほど、もっと彼女の作品が読みたかった。翻訳ではヴァージニア・ウルフの作品も。 続きを読む
投稿日:2023.03.02
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