【感想】毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集

枡野浩一 / 左右社*
(34件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
10
13
7
0
0

ブクログレビュー

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  • W_W

    W_W

    これとか好き。
    「振り上げた握りこぶしはグーのまま振り上げておけ相手はパーだ」

    ポーズだけは勝負として負けておけばいい、ということと、
    相手は(頭が弱いという意味での)パーだ、という意味をかけているのでは。


    内向的な人の心をがっちりつかむ詩もあるし、

    「人間は忘れることができるから気も狂わずに、ほら生きている」
    「笑っても泣いても同じなんだから私は泣いていようと思う」
    「殺さずに生きてこられてよかったな だれかのことも自分のことも」

    一般的な共感を呼ぶようなセンスのいい詩もあって面白い。
    難解なものは無かったと思う。
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    投稿日:2024.06.01

  • avec toto

    avec toto

     表題になっている短歌が好きだったので読んでみた。初読みの詩人さん。わかりやすく、一ページに一行ずつ配置されている短歌は、動き出しそうなほど存在感があるものもあって、最初から最後までずっと楽しく読めた

    そして、全体を通して、個人的に自分がずっと感じている男性の怖さみたいなものを感じた。怖さを感じるから悪いとか好きとか嫌いとかではなく、ただ感じたというだけ。
    何が怖いか言葉にするのはとても難しい。だけれど、本能的に怖いと思ってしまう相手がいて、(自分が背が低いからか)背の高い女性とか、なぜか毛量の多い女性も怖い。意地悪な女性はもちろん。そして男性はその方の性格にかかわらず、大抵みんな多少なりとも怖い。
    そして、私が感じるその男性の怖さみたいなものが短歌から漏れ出ていて、読んでいてずっと少し体が縮こまった感じがしていた。

    特に好きだった歌

    ◯好きだった雨、雨だったあのころの日々、あのころの日々だった君

    ◯抱きしめた夢の中では生きていて重さもあって温かかった

    ◯消しゴムでこすったせいで真っ黒になってしまったようなサヨナラ

    ◯見覚えのある絶望をニ度目なら愛せるような気もしています
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    投稿日:2024.05.27

  • ありんこゆういち

    ありんこゆういち

    短歌は自由だなあと最近思います。自由律というものはとてつもなくセンスが必要だと思いますが、それを気にしなければその時の自分の一行日記みたいなものなので、自分の為に書いて楽しみたいなと思わせてくれます。

    投稿日:2024.05.16

  • zms36

    zms36

    このレビューはネタバレを含みます

    タイトルのインパクトが強くて思わず手に取った。

    p158塩酸をうすめたものが希塩酸ならば希望はうすめた望み
    p159葬式は生きるわれらのためにやる 君を片付け生きていくため
    p184しなくてはならないことの一覧をつくっただけで終わる休日
    p246朝焼けがとてもきれいで生きていてよかったような気がする色だ

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    投稿日:2024.04.28

  • れい

    れい

    詩が好きだ。

    っていうと、格好つけてると言われたことがある。

    理解できないような文章を、
    自分なりの解釈ができる詩が好きだ。

    きっとこの詩はこんなふうだとか
    そんな風に考えれることが好きだ。

    枡野さんの詩は、日常だ。
    日常の中でふと思ったことをそのまま文字にしたような文で。

    それは安直でも稚拙でもなくて、素直な気持ち。
    綺麗な言葉にしてるわけでもない。

    ふと思ったことを書いているから、
    なんとなく分かるなって思うものが多くて面白い。

    「死にたい」とか「好き」とか
    そんなことをなんか寄り添って言ってくれてる気がする。


    何が好きだっていいじゃんか。
    私は私の好きを詩の中で見出してるだけ。
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    投稿日:2024.02.16

  • 5552

    5552

    はじめて(本で)出会った歌人は穂村弘さん(『世界音痴』というタイトルのエッセイ)だけど、はじめて買った短歌集は枡野浩一さんの歌集だった。
    どうして知ったのかは覚えてないが、16年ほど前にハマっていたヤフオクで買った。
    届いた商品には手紙がついており、丁寧な人だな〜と思いながら、本を開いて驚愕した。
    なんと、乾いたハナ◯ソがびっしりとあちこちのページについているのだ。
    わたしは混乱した。なぜ?なぜ、こんな状態に?
    やりとりのときも、手紙の文面もフレンドリーで何の問題も感じなかったので、そのことに逆に恐怖を感じ、泣き寝入りしてしまった。
    ハナ◯ソは意を決して全部取った。
    本の内容は素晴らしく、こんなわたしでも短歌が作れそうな気がして、一首作ったが、それで終わった。
    それでも、枡野さんの歌には心が震えた。
    この短歌集の前半で、その短歌を読んでいた時間と空気を思い出して懐かしかった。
    しばらく心の友として、手帳に書きつけて持ち歩いていた歌もあった。
    その歌を思い出すとほんの少しだけ強くなれそうな気持ちになった。
    全然強くなれなかったけど、気がするだけで生きのびられた。
    他人の作った歌だけど、自分の歌みたいに感じた。
    この歌集の栞の俵万智さんの枡野さんへの返信に書かれている通り、「(枡野浩一さんの短歌の)もうすでに読者のものという顔つき」に、多くの人が助けられたと思う。
    「みんなが使う言葉」で、短歌を知らない、興味ないひとたちにも、伝わるように、届くように、短歌の世界の裾野を拡げてくれたのは、うれしい。
    4月から、NHK短歌の選者を勤められるということで、今からドキドキです。
    どんな歌を選ばれるのだろう。







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    投稿日:2024.02.13

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