【感想】アタラクシア

金原ひとみ / 集英社文庫
(27件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
6
9
2
5
1

ブクログレビュー

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  • na

    na

    金原ひとみさんのエッセイを読んだ後に小説を。
    彼女の生きてきた人生が投影されているなと感じる。
    パリや妊娠、夫との関係など、彼女の人生が随所に散りばめられている。

    投稿日:2024.02.25

  • motoy0415

    motoy0415

    導入の面白くなさから第二章への展開が秀逸、かつ毒のあるもの言いが最高。私も憎き人にこのような口の利き方をしたいものだと切望。ま、悪口ポルノとでもいうべきか。

    その後色々な人が出てくるが、もはや興味を持てず途中退場。続きを読む

    投稿日:2024.02.17

  • ちゃ

    ちゃ

    このレビューはネタバレを含みます

    「望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう」
    登場人物があまりにも多いので、相関図をメモしながら読むことを推奨します。
    私は明誠社で働く佐倉真奈美を見て、まるで自分をネタに書かれているのかと思うほど共感してしまいました。
    暗黙のルールのもとに成り立つ関係。
    そしてその距離感を無視して極端に重い言葉、軽い言葉を吐けば一瞬で崩壊してしまう空気感。
    夫も彼も両方いて初めて成り立つ関係であること。
    どちらも等しく必要な存在であること。
    金原ひとみさんの作品はどれも自伝かと思うほど、体験していなければ書けないはずのことが書かれているので読んでいて驚きます。
    そして、
    夢心地のような幸せと、絶望感しかない現実のあまりにもアンビバレントなバランスを描くのがとても上手い作家さんだなと。読むたびに痺れます。
    しばらくこの世界観を引きずるだろうな…



    以下ネタバレ

    章ごとに視点が変わる形で、それぞれの目線から描かれるのですが、
    周りから見た姿と本人があまりにも違う印象だったりするから、ちゃんとメモしてないと登場人物を覚えるのが難しい。

    印象最悪なツイッタラー・コウボクノマックと、
    真奈美の優しいセカンドパートナー・荒木が同一人物だったことに驚いた。
    枝里20歳、被害者22歳だそうだから、ここは繋がってないだろうけど、それにしても続きが知りたい。荒木のことを何度も回想してしまう。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.12.28

  • Macomi55

    Macomi55

     望んで結婚したはずなのに、ままならない結婚生活に救いを求めもがく男女を描いた小説。登場人物たちは30代中心で、私はもう通過したせいか(^^)、世代が違うせいか、境遇が違うせいか、あまり響かなかった。
     それでも共感出来たのは、英美と由依。
     英美の場合は、英美自身に共感出来たというよりも英美と母親との関係と英美と息子との関係。仕事でやむを得ず帰りが遅くなる娘にテレビのほうを向いたまま「子供がいるんだから、もっと早く帰れるようになんとかならないの?」という母親。同居して大切にしてもらえるのかと思っていたら晩御飯を作らされたりして、「家政婦のように扱われている」と文句を垂れる母親。夫が浮気症でいつ別れるか分からないから、一人でも子供を育てていけるように無理してパティシエの仕事を続けているのに、一人で何も出来ない母まで養っているのに、そんな娘の気持ちをまるで理解しない母に、英美はいらつき「うっせえ!ババア!」と言う。「あんただって浮気ばかりされてたくせに。あんな夫に頼るしか脳がなかったくせに」と。
     “母と娘”はいつから“女と女”になるのだろう?仕事と子育てで無我夢中、夫婦関係が上手くいかず苦しんでいる中、上から娘を批判してくる母親に、「あんたは女としてなんぼのもんじゃい!」という気持ちになるはず。母と子はいつまでも聖母子像のようでいるはずがない。
     そして、もう一つは息子との関係。小さい頃からよその子に暴力的だったり、口の悪い子の影響を受けやすかったりする小学生の息子。朝ご飯に出されたサンドイッチの中のキュウリを「こんなものいらねえよ」と床に投げ捨てた。その瞬間、英美は息子の首を右手で掴んで椅子ごと押し倒して、息子に馬乗りに「もう一回言ってみろ!」と怒鳴りつけた。
    いや、やり過ぎ。やり過ぎだけれど、共感はできる。
     一億総活躍だとか言って“働く女性”を歓迎する一方、子供を一人で留守番させるだけでも「虐待」という自治体も出てくるようなわけの分からない社会。働けば、ストレスが貯まるのは当たり前、夫婦関係だって多かれ少なかれギクシャクもする。母親だって、母である前に人間なのだ。人間として最低なことをした我が子に対して、人間としての怒りをぶつける母に「その怒り方は虐待だ」と批判する社会は、女性に対する「イジメ」だと思う。いやもちろん、女性(母)に対してだけではなく、男性(父)に対しても社会は厳しい。
     世の働く世代の親達に対して、“活躍”と“理想の親像”を勝手に求める社会は、ポテトサラダを買おうとしている母親に「ポテトサラダぐらい自分で作ってあげれば?」と後ろから批判してくるオッサンと何ら変わらない。
     つい、日頃の疑問をぶつけて、脱線してしまった。

     もう、一人共感できると書いた由依は、「昆虫のような目をして何考えてるか分からない」と言われるが、19歳(?)でモデルを目指して単身フランスに渡るなど、一番自分の夢に向って正直に生きている。
     感情が無いようだけど、子供を死産してしまった時にちゃんと我が子に会って抱き、その後は決して妊娠しないようにした行動から、悲しみを表に出さず、人に安々と同情されたり勝手に共感されたりするのを拒む、芯の強い人のように見える。私も表情に乏しいと言われるので、由依のことが少しは分かる気がする。それこそ、勝手な共感だけれど。だけど、理解出来ないのは、桂と結婚したこと。どうして「犯された気がした」人と結婚したのか。その時には由依には投げやりになる理由があったのだが、「投げやり」で結婚するなんて相手に対して失礼だ。
     そして、一番分からないのは、由依の妹、枝里。枝里は自分でも自覚出来るほど「可愛い」のに、その「可愛い」を無駄遣いして(活用して?)パパ活している。パパ活しながら、出会い系アプリでせっせと出会いを求め、しかしながら本音はホストのヒロムとずっと一緒にいたい。「俺はやっぱり枝里やないとダメなんや」と言いながら本当は何人もいる彼女(客)の一人に過ぎないと分かっていながら、どうしてもヒロムのことを忘れたくて婚活アプリを始めた。ヒロムに「枝里が一番や」と言われたことの中毒になり、嘘だと分かっていても「俺の一番や」と言われたい。ヒロムでなければどうでも良くて、下ネタだらけのツイッターで知り合った仲間とのオフ会に参加して本当は軽蔑しているのに盛り上がって散々な目に合ったり、デブで気持ち悪い“パパ”とお茶するだけで二万円のパパ活したり。枝里は“メンヘラ”で承認要求が人一倍強いと自覚している。それも家庭環境が原因なのかな?
     世の中には理解出来ない人も沢山いる。私は「可愛さ」にも恵まれなかったかわりに地道に、割と平穏に生きてきたからかな?それとも平穏でなかったことは都合よく忘れたオバサンになったのかもしれない。
     でも、世の中の人も全てを理解するなんてムリ。
     多分多くのブク友さんと逆で私は金原ひとみさんより先にお父さんの金原瑞人さんのほうを先に知った。「月と六ペンス」の翻訳で。多分、金原ひとみさんもすごい才能なんだろうけど、私とはあんまり交わらないかな?
    続きを読む

    投稿日:2023.12.23

  • オジジ

    オジジ

    昔に「蛇とピアス」を読んだ時に全く合わず、ずっと敬遠してた作家。

    テレビ番組で「デクリネゾン」を紹介していて本屋に買いに行ったが無くてこの本に興味が沸いて衝動買い。

    年を重ねたせいか人生経験を積んだせいかとても心に響いた。

    全ての人物に共感するとこは無いが、全否定は出来ない。

    色んな人の心の葛藤を苦しいまでに赤裸々に描いている。

    又、やはり文章と言うか筆力が凄くて評価に値する作家だなと思い改めた。

    綿矢りさより金原ひとみの方が個人的には評価が高い。それ程面白かった。

    他の作品も読んでみよう。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.06

  • そ

    アタラクシア。心の平穏。

    誰ひとり平穏じゃなくて、みんな情緒不安定すぎる。

    ”望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう”



    「誰も愛してなくても、誰からも愛されなくても、普通に生きていける人間になった方がいい。」


    私は、普通に生きていける人間になって、そのうえで、ちゃんと、心から、真剣に、人を愛したい。

    祈りのような愛。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.23

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