【感想】音大崩壊~音楽教育を救うたった2つのアプローチ~

大内孝夫 / ヤマハミュージックメディア
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
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ブクログレビュー

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  • faccjw

    faccjw

    音大の現状を理解するには役立った。
    ただ、pp.175-176はナッシュ均衡ではなく、支配戦略均衡(ナッシュ均衡の一部)であり、筆者は「囚人のジレンマ」を引用したかったのだと思った。(支配戦略とは、相手の戦略がどう選択されても、自分にとってこの戦略を選べば最善の結果が得られるという戦略。)続きを読む

    投稿日:2023.08.20

  • minerva-48

    minerva-48

    少子化、卒業後の進路・就職、親の所得は一昔前に比べて減少の一方など、音楽大学が晒されている現状は厳しいこと、この上ない。一般の高校、大学でさえ、潰れる時代。従来までのやり方で維持・存続できるはずがない全国各地に点在する私立音大。実際、学生定員を減らすも、それも充足できていないのが現状でしょう。もともと音大とは無縁のヨソ者である筆者であるからこそ、見えてきた音大の摩訶不思議。筆者の指摘、その通りだと思いました。そして、そのことは、私立音楽大学に限らず、一般の地方国公立大学、私立大学にもそのまま通じること。続きを読む

    投稿日:2023.01.22

  • り

    予想以上に面白かった。音大とタイトルに付いているけれど、音大卒や音大生・目指している人だけでなく、音楽が趣味の人も読んでとても楽しめる内容で良かった。

    確かにそうだよなぁーということばかりで、気付きを与えられる本。
    音大が無くなってしまうと、日本がどうなっていくのか考えたこともなかったけれど、大変なことになると分かった。また、現状の教育や音大の体制、ひいては音楽業界全体の体制に対する問題提起も納得感があった。

    「生きる力」として、学習指導要領が定める何とも漠然とした3つでなく、「健康・体力」「変化への対応力」「稼ぐ力」としたのは大変分かりやすく、こちらこそ真実だと思った。

    学力偏重主義でなく、個々の強みをさらに強化する教育に切り替えるべきとの持論には本当に大賛成。社会に出てから、自分の強みや得意分野こそが自立して生きていくのに不可欠なものだと実感している。
    「ゆとり世代」と言われる私も、著者が提案したような教育(学校での授業を8割にして、残りは民間の塾や音楽教室などと連携して自分が好きな事を伸ばす、というもの)を受けたかった。

    新たな取り組みを始める時は、「連携」と「変化への対応」が鍵だそう。
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    投稿日:2022.11.11

  • henahena1

    henahena1

     元銀行員で、今は名古屋芸大の教授をやり音大生のキャリア教育を(他の教育もやっているのかわからないけど)やっている先生の話。いかに現在の音大は生徒数激減で危機的状況にあるのか、なぜ音大がそのような状況になっていて変わろうとしないのか、という話。データを示し根拠を述べた上で論を展開する、という、ビジネス書にありそうな本。最後の方は、著者による理想像、提言なので、現状を考えると虚しいと思ってしまう話だが、そこまでは分かりやすく、興味深い。
     確かに音大というのは少なくともおれにとっては身近な存在ではないし、音大に入るのは特殊技能を幼い頃から身につけて英才教育を受けた人なんだという意識もあるせいで、勝手なイメージを持っていたが、卒業生の現実とはこんなもの、ということがよく分かった。「卒業後は『演奏活動』という名の1日1万円にも満たない単発のアルバイトと、飲食業などでのアルバイトを組み合わせて過ごす卒業生が多くなります。これでは30代になると年齢的にアルバイトの募集が少なくなり、生活に行き詰まって困窮するケースが増えるのはある意味当たり前」(p.35)という現実があるらしい。確かに音大に入ろうと考えた時点でこんなこと本人が想像するのは難しいよなあ。そして、昔から音楽教育は「演奏家になることが目的化してしまい、人間性を置き去りにした教育が横行していた」(p.53)というのも、やっぱり教える人がそういう教育を受けたからそのまま引き継がれているのだろうか。最近、中高の音楽教育の勉強をしていて、その時に音楽科指導法の先生が「公教育は生徒みんながおおむねB評価になる教育をするべき。専門にしたければどっかのスクールでやればいい」というのを仕切りに言っていて、そしてそういう教育とはどのような教育なのかという勉強をしたが、音大の世界では、あるいはそういう世界にいた人の中には、これとは正反対の「機械かロボットのように音楽と向き合わせ」(同)るような教育をする人もいるんだなと思った。そしてその義務教育に関する指摘も行われており、「音楽的才能に恵まれない生徒や学生が、少しでも音楽を楽しめるようにしてやる」(p.61)べきなのに、実際には授業時間数が低減の一途をたどり、「いくら教員が頑張って音楽の楽しさあを伝えたくても伝えられません」(p.62)という状態になっているという。これには中高の音楽教育を専門にする人が「『心の豊かさ』のような感情面からの議論ばかり」(p.63)ということが問題、という手厳しい批判を加えている。「『脳科学』の知見や、AIが発達する時代の中で必要とされるスキルや能力、価値観からアプローチ」(p.63)すべき、というのが著者の意見だ。でももっと単純に音楽教育を盛り上げるイベントとか発信とかがあればいいんじゃないかな、とも思うけど。そして新しい学習指導要領の枠組みを紹介し、「学びに向かう力、人間性」と「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力」という3つの力が、いかに音楽教育を通して身につくか、ということが説かれているが、これは当たり前のことなのだろうけれど、本当その通りだと思った。音楽の練習について、「明日は変えられないが、1年後は大きく変えられる」(p.79)というのは、英語教育でも使えそうなフレーズ。そして、音楽と比較してスポーツ、について取り上げられているが、確かに音楽はそんなに盛り上がらないのに、スポーツは世間的にもすごく盛り上がるのはなぜか、というのも興味深かった。やっぱりスポーツをやると見た目が変わるからじゃないかな?と、これを書きながら思ったのだけれど。でも「運動中の突然死については、運動していない場合の17倍」「過度なジョギングは免疫力を低下させる」「過度な筋トレは血管への負担が大きい」(p.158)といったネガティブ面は、あまりに知らなさすぎると思う。「会社員の習性として目標を持ちたがる傾向」(pp.158-9)があるので、追い込んだりしちゃうから、むしろ危険、というのは、なんかおれの周りにいてランニングに目覚めている人が多いので、なんか納得した。でもその人たちはやっぱり素地があるから、追い込んでも大丈夫なんだろうか。おれみたいなど素人がこういうことをするとやっぱり危険なんだろう。それにしても、音楽は小さい頃からやってないと無理、というのはおれも思っているけど、「佐賀県で海苔の養殖を営む漁師の徳永義昭さん」(p.160)の話には勇気づけられた。「ラ・カンパネラ」を1年で弾けるようになる、という。1日8時間毎日続けたらしいけど。でも50歳を過ぎてからでもこれくらい時間をかければできるようになるという。あとはいかに音楽が衰退していくことが、日本の国力を下げるか、という話も、危機感に迫るものがある。この本は2022年の6月に書かれた本だけど、「勢いがなくなれば外国為替取引で円が売られる要因になりますし、輸出入で取引価格を決める際にも足元を見られ、不利な条件を飲まざるを得なくなります。」(pp.181-2)、「『円の実力』ともいえる実質実効為替レート(2010年=100)は、22年1月、67.55と1972年以来50年ぶりの低水準」(p.182)、「いずれ日本の国際的地位低下に伴う円安と交易条件悪化のダブルパンチによって物価は上がり、必要な物資も入って来なくなることは避けられません。」(p.225)と説く著者は、今のこの急激な円安の状況を著者はどう見ているのだろう。ちなみに、2022年9月では、この実質実効為替レート57.95だそうだ。
     中高の教員として、音楽教育を盛り上げたいなあと思った。とりあえず自分の学年からでも何かできないだろうか、と考える。(22/11)
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    投稿日:2022.11.08

  • alpine310

    alpine310

    この本の主張を真に受けて音学教育を救おう!と思う人はそんなにいないだろうけど……いたら全力で止めたい。著者は元銀行員という見地から音大を救うためにいろいろ考えたのかもしれないが、一番大事なはずの音楽を愛するハートがどうにも伝わってこず、最後まで共感できなかった。畢竟、書けば書くほど詭弁を弄しているように読めてくるのである。
    そもそも、日本の大学運営は先細りである。国力は落ちているし少子化は進んでいるのに、大学の定員はなかなか減らない。勢い、大学進学率が斬増しても、人気のない学部学科から定員割れして採算が取れなくなっていくのは未来の話ではなくて現在進行形である。資格が取れますとか就職ができますとかでは間に合わないので、留学生をたくさん受け入れよう等どこの大学も必死なのだ。音大に限った話ではないのである。
    しかも、音大に進む源となる子ども向けの音楽教育が昔に比べて人気がない。子どもの習い事で人気が高いのは将来役に立つ英語だとか体力のつくスイミングとかであって、ツブシもきかなければ練習も大変なピアノ教室はずいぶん前から人気を落としている。そこが減っているのに音大進学者だけ増える道理がないのである。
    各論で見れば、中等教育でお金の話をちゃんと教えろとか、音大のカリキュラムに指導法の授業を入れろとか、全面的に賛成できることもたくさんある。あるのだが、根本的なところで共感できていないためどうも響いてこない。
    西洋古典音楽のための単科の音楽大学はどう考えても今の日本には多すぎる。ごく一部しか今の形では残らないのが正常な淘汰であろう。他の大学は、総合大学の一学部(あるいは学科)として文学や哲学と横並びで存在するようになるものと、職業訓練を中心とした音楽専門学校のようなものの二つになるのが自然だと考える。音大の崩壊を避けたいのであれば、再編・再生産すれば良いのである。
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    投稿日:2022.10.31

  • mishuranman

    mishuranman

    このレビューはネタバレを含みます

    音大に限らず文化も55年体制でやってきたものは変えないとへしゃげる、でも文化をへしゃげさせるのはまずいよね。まずは高齢者からお賽銭をとって才能のあるかないかわからない入り口の育成費用とする。才能がなくて専門教育を受けて専門家にならなくても食える教育にする。

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    投稿日:2022.09.13

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