【感想】偽のプリンセスと糸車の呪い

シャンナ・スウェンドソン, 今泉敦子 / 創元推理文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • tetujin

    tetujin

    ・シャンナ・スウェンドソン「偽のプリンセスと糸車の呪い」(創元推理文庫)は、いかにもこの人らしい作品であつたと思ふ。これまで魔法製作所シリーズ等、ニューヨークに妖精や魔法使ひがゐるといふことで物語を作つてきた。言はば最先端を行くニューヨークで魔法的存在が生きることができるかで始まつた物語がどんどん大きくなつていつて、最後はそれらを飲み込んでいつてしまつた。ところが今回のはいささか違ふ。主人公は16歳である。高校生であつて大人ではない。舞台は「テキサス州東部のこのちいさな田舎町」(8頁)であるから、ケイティの活躍の場であるよりも生まれ故郷に近いのかもしれない。それでも米国である。主人公達は普通の米国の高校生として生きてゐる。それがある日突然、魔法の世界、より分かり易く言へばおとぎ話、フェアリーテイルの世界に拉致されてしまふのである。「工場のドアが開き、ぼさぼさ頭の男が顔を出した。『うわっ、なんなんだ!』黒装束の騎士三人を背後に引き連れ、猛烈な勢ひで走ってくるルーシーを見て、男は言った。(中略)『まじか、じゃあ、ほんとにそこにいるんだ、幻じゃなくて』」(31頁)この世の人々の見てゐる前で拉致されるのである。この後、更に彼女の同級生男女二名がおとぎ話の世界に行き、そ ちらでは一人の男が彼女を助けることになる。かくして二組の男女の逃げつ隠れつの旅が始まる。魔法製作所シリーズではいろいろと面倒なことがあつたりした。しかしこれはさうではなささうである。比較的簡単に話は進んでいく。それが「糸車の呪い」であつた。 これが物語を簡単な方に導いてくれる。
    ・糸車の呪ひとは何か。おとぎ話である。オーロラ姫である。ディズニーならば「眠れる森の美女」とでもならうが、ここはディズ ニーである必要はない。ただの「眠り姫」である。おとぎ話のごく基本的な筋が分かつてゐれば良い。物語はこれに従つて進んでいくだけである。ただし、正面から何もせずに従つて行くのではない。そこはスウェンドソン、あちこちにそのパロディーめいたものを差し挟みながら物語を展開していく。私でも知らない話ではないから、それにつきあつていける。まして詳しい人はである。よく分かれば分かるほど、物語に対する思ひが出てくる。さうして偽のプリンセスである。プリンスは一人でも、プリンセスは二人ゐるらしい。 どちらかが偽者である。これは読者には最初から分かつてゐるし、登場人物にも最初から分かってゐることである。どちらが偽者だなどと考へる必要はない。作者がそれを眠り姫によりつつ、いかに物語を料理していくのかを見るだけである。しかも料理の味付けは眠り姫だけではない。よく知られてゐるのではヘンゼルとグレーテルがある。お菓子の家ではないやうだが、老婆が肥え太らせようとしきりに食べ物を勧める。これは物語の言はば枝葉である。面倒なことにはならない。そんなおとぎ話に支へられながら、物語は進む。 ある意味、予定調和の世界である。収まるべき所に収まる。決して外れない。ラストでもさうなのだが、そのうへここは続編を期待させる。相変はらずおとぎ話世界との縁は切れないのである。かくしてまた延々と物語が続くのではと思つてしまふ。これもまたこの人らしいところかもしれない。ケイティの話があれだけ大きくなつたのである。これもまたさうなるのかもしれない。さうなつてほしいと思ふ。「訳者あとがき」の最後の段落、「エンディングにはとっておきのデザートのようなエピローグ。続編を期待させる粋な終わり方だが、さて、どうなることか。訳者はひそかに期待しているのだが……。」(326頁)
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    投稿日:2022.08.31

  • yuki

    yuki

    このレビューはネタバレを含みます

    成長していくパターンより、自分で切り開いていく感じが主人公にマッチしてて好感が持てる
    ストーリーとしても設定ありきでうまく展開してる
    続編あったらいいな

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    投稿日:2022.08.24

  • りんご花

    りんご花

    このレビューはネタバレを含みます

    眠り姫の世界に連れてこられ、プリンセスに間違われるルーシー。魔女に追われ大変な目にあったけれど、そのおかげでセバスチャンにも会えたし、ひとまず一旦落ち着きましたが、今度は現在の方に王妃たちがいるとか。次があると信じて楽しみにしています。

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    投稿日:2022.07.30

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