【感想】ふんどしニッポン 下着をめぐる魂の風俗史

井上 章一 / 朝日新書
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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ブクログレビュー

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  • seiyan36

    seiyan36

    本作は、2022年5月に発行されました。

    著者の、井上章一さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始

    井上 章一(いのうえ しょういち、1955年1月13日 - )は、日本の建築史家、風俗史研究者、国際日本文化研究センター所長・教授。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    男の急所を包む大事な布の話──明治になって服装は西欧化したのにズボンの中は古きニッポンのまま。西洋文明を大和心で咀嚼する和魂洋才は見えないところで深みを増し三島由紀夫に至った。『パンツが見える。』に続き、近代男子下着を多くの図版で明るみに出し、論考する。

    ---引用終了

    p4に、次のように書かれています。

    ---引用開始

    私の場合、自分はパンツだが、褌の大人も残存する幼時をすごしてきた。褌からパンツへの移行が完了する前の時代を、かろうじて知っていたことになる。

    ---引用終了

    私の場合は、祖父(1906年生まれ)が褌をしめていました。
    亡くなったのが1990年代なので、その頃にも、褌をしめていたことになります。
    それが日常だったので、違和感はありませんでした。

    さすがに、私は褌をしめたことはありませんが。
    しかし、最近はブリーフをはくのがためらわれます。
    というか、下着売り場で買おうとしても、目立たない位置に置かれていますねえ。


    それから、p222に、褌をしめた、小林多喜二の遺体写真が載っています。
    小林多喜二は1903年生まれで1933年に亡くなっています。
    したがって、私の祖父とは3歳位しか違わないので、私の祖父が褌をしめていても、不思議ではないですね。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.12

  • naluカズ

    naluカズ

    下着や水着は女性が先に西洋化したが和服は男性が先に西洋化した。下着は長らく褌だったっていう事を写真や絵画を元に読み解いていったはなし。

    投稿日:2022.10.14

  • reso100

    reso100

    1878年に中央官庁の官員に洋服着用の指示が出て洋装が一般化し始めたが、女性と男性で取り込み方が非常に異なっていた事実を克明に描写しており、とても面白かった.褌の種類として畚(もっこ)、六尺、越中をあげているが、畚は今のビキニショーツそのものだ.1960年代に銭湯で褌姿を見た記憶があるが、今通ってジムでも褌の御仁が数人いる.水泳着として褌が20世紀中葉まで存在していたとの記述があったが、あまり記憶がない.褌姿が一般的でなくなったことは残念なことだが、このような論考が出ることで満足するべきかなと考えた.続きを読む

    投稿日:2022.10.09

  • かおるひめ

    かおるひめ

    和装と洋装の狭間で、褌は如何様に扱われたのか?
    明治期の近代化から現代へ、男性の下着風俗について、語る。
    1 女はあとまわし 2 男が洋服に着がえる時 3 たたかう洋服
    4 およぐ時は、またべつで 5 ジェンダーギャップの別局面
    6 ベルリンに褌はかがいて 7 華族の下半身
    8 女人退散のいでたちに 9 褌の黄昏 10 褌かサルマタか
    11 河をこえて 12 アメリカの影 13 戦争美術の可能性
    14 上着と下着 15 下着の転換期 16 見上げれば、屋根屋の褌
    17 神事では 18 国粋か造反か 19 女にも褌を
    20 海のむこうでは
    文明開化の始まりから、男性の洋装化は浸透していったが、
    「ふんどし」は昭和の時代、戦後まで着用され続けていた。
    それは何故なのか?多くの資料、写真、図版を駆使し、
    男性の下着風俗について、考察し、語る。

    和魂洋才。
    男性は洋装だが、水泳は褌。洋装の下着も褌。
    女性は和装だが、水泳はスイムウエア。
    だが男女交際において、男性の水着も普及するし、
    褌への羞恥心も芽生え始める。
    だが、子どもはパンツでも大人は褌の時代は長く続く。
    褌が日常であった時代。仕事の中の褌姿。
    褌は安い。貧富拘わらず、褌は民族の、和の伝統。
    禊には伝統的な褌を。神事に於いては褌が正装。
    「ふんどし」について、昭和の戦後まで身近だったことに
    ついての考察をあちこち寄り道しながらか語っている印象です。
    海女のふんどしや他民族のふんどしのような下着に関しても
    考察しているのは面白かったけど、全体的にもっと深く
    「ふんどし」について掘り下げて欲しかったなぁ。
    ともあれ、私が考える「ふんどし」は、
    男にとって大事な場所は、守って隠して裸一貫の潔さだと思う。
    続きを読む

    投稿日:2022.10.02

  • tramiche_fox

    tramiche_fox

    和服の下着として使い勝手がいい(こともある)ふんどしだけど愛用に対抗があるのも事実。ふんどし衰退の歴史にいろいろな「揺れ」があることがわかる。

    投稿日:2022.09.09

  • sui_sui

    sui_sui

    ずーっと気になることだが、人目を憚るあまりロクに調べることもできず、長らく謎であった褌の歴史。
    褌についてこれほど真面目に書かれた本は、おそらくほかにはない。著者だってそう言っているのだ、だからこそ私のように心の中で悶々としている人には手に取ってほしい。

    中身にはこの装束(?)にかかわる様々な写真や図絵が使われ、文章で追うだけでは足りない部分までカバーできるはずだ。そして、それがまだ当たり前だった時代の人々の、実に堂々たるその姿を見ることができるだろう。

    褌ときいて真っ先に思い出すのは、会ったことのない私の曽祖父である。「あの人はいつも褌だったな」とその子や孫の口から真っ先に語られるほど印象強く残るらしいその姿。そして、そこからもたらされる印象は常に褌一丁でいたのではないかという憶測。
    そもそも褌一丁とは、現代でいうところのパンツ一丁である。
    そんな姿を子々孫々に語られている曾祖父だが、この本を読むと「パンツ一丁」とは異なる、潔い召し物であると感じるに至った。

    また、戦争史的な側面から、なぜあの当時の男性下着はパンツではなく褌であったのか。女性は腰巻ではなくパンツ型下着であったのに対し、男性が褌であったのは外国由来のものに対する一種の抵抗のようなものであったのか否か、気になっていた。
    そこの事情も本書によって解決に至った。

    本書と出会えたのは、ご縁が繋がったからとしかいいようがない。
    目に留まった瞬間、タイトルのインパクトの強さに購入を即決してしまった一冊だった。

    (本書は始終真面目に褌と向き合う内容ながら、思わず吹き出してしまったフレーズを登録しておく。)
    続きを読む

    投稿日:2022.08.26

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