【感想】北の詩人 新装版

松本清張 / 角川文庫
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 雅本棚

    雅本棚

    南北の朝鮮に抹消された悲劇の詩人。彼が追い求めたものとは何だったのか。

    第二次世界大戦後間もなくの朝鮮半島。
    民族文学の再建を目指す詩人・林和はかつて祖国を裏切り、日本帝国主義の植民地政策に加担したという暗い過去を抱えていた。
    その弱みを握るアメリカ軍諜報機関は林和を脅し、スパイとして操ろうとする。
    自由を求める彼を待っていたのは、あまりに過酷な弾圧の日々だった……。
    朝鮮の南北分断の悲劇を1人の詩人の目線から捉え直した、巨匠・松本清張による異色のノンフィクション・ノベル。
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    投稿日:2023.07.10

  • 山葵

    山葵

    私が読んだのは1983年出版のもの。

    舞台は解放直後のソウル。主人公は左翼の大物詩人、林和。彼はのちに北朝鮮に渡り、要職につくがアメリカのスパイだったとして処刑される実在の人物である。周りを固める登場人物も実在の人物だ。

    北朝鮮での「裁判」での「証言」と「判決」から、南での林和の行動を創造して組み立てたものであるため、残念ながら北朝鮮の「判決」が信用に値しないものである以上、やはりこれは「小説」というしかない。しかし、さすが松本清張である。引き込まれる。

    身体の弱い主人公は日帝時代、すでに「転向」していた。拷問を恐れてのことであったが、それを自分の病のせいにしたのだ。解放後も彼は左翼の人々に尊敬される詩人であった。誰も転向のことは知らない。
    そんな彼のもとにアメリカの情報機関の手が伸びる。アメリカは主人公の「転向書」を持っている。
    投獄を恐れ、生に執着してアメリカのスパイとして絡められていきつつも、左翼詩人としての名誉を捨てたくないために自分の行動を正当化しようと悩む生々しい人間の姿が描き出される。

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    投稿日:2022.08.11

  • 臥煙

    臥煙

    日本の敗戦から朝鮮半島の分断。米ソの狭間で独立を目指す朝鮮人の活動家。戦時中は転向、その経歴を握られ米のスパイとなった詩人を主役とした異色の小説。

    日本の敗戦から朝鮮戦争までの朝鮮半島情勢は日本ではあまり話題になっていないように思う。エアポケット的な部分をあの
    松本清張が小説にしていたことを知りさっそく購読。

    スリーパーとなった男の不安。それは小さな嘘を重ね破滅に進む清張ドラマの主役そのもの。

    結果として日本の敗戦のタイミングが、南北分断を招いている。祖国が分断された悲しみは日本人には理解できない、負の部分だろう。

    金日成と李承晩による南北別れた独立の少し前を描いた傑作でした。
    やはり清張ドラマは奥が深い。
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    投稿日:2022.08.06

  • minerva-48

    minerva-48

    史実を基にしたフィクション歴史小説。何度も挫折しかけながら最後まで読み通したが、よく理解できない……。

    投稿日:2022.06.06

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