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杉田玄白, 緒方富雄 / 岩波文庫 (9件のレビュー)
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reinou
このレビューはネタバレを含みます
1959年刊行。江戸時代、オランダ医学書ターヘル・アナトミア(ただし、これは正しい名称ではないらしい)を翻訳した杉田玄白の自叙伝。上は、解体新書作成裏話、下は、杉田玄白から見た同時代の医師・蘭学者(前野良沢、大槻玄沢、桂川甫周、宇田川玄随ら)の足跡を素描したもの。個人的には「上」が面白いし、翻訳に情熱を傾ける関係者の息吹が感じられる。また、注釈を読むと色々な事情(解体新書よりも先に翻訳された解剖図がある。ただし、緻密なものではないため後学には適さなかった。外)が説明され、参考になる。
投稿日:2017.01.19
niimiya
予想に反してすげー面白かったわっ。 志あるものが出会い、一から蘭学書を訳すという大事業に没頭する様は、こないだ読んだ天地明察に似た興奮がありましたな。 登場人物も前野良沢はじめ平賀源内など聞いたことあ…る人も多くて親しみわきましたい。 注釈もなかなか丁寧でありました。続きを読む
投稿日:2014.02.18
venezia
本書は上之巻、下之巻の2巻で構成されるが、面白いのは断然上之巻。下之巻は後日談及び、その後の蘭学者列伝といった趣き。明和8(1771)年3月4日に千住骨ヶ原で「腑分」(人体解剖)が行われ、玄白や良沢等…がこれを見学。持参した『ターヘルアナトミア』の図と全く同じであることに驚嘆。翌日から翻訳にかかるが、「わずか一二寸ばかりの文章、一行も解し得ることならぬ」状態から、ついに3年半後『解体新書』を上梓するまでの苦難をその43年後に、に83歳の玄白が回想する。途中には平賀源内のエピソードなどもあり、大いに楽しめる。続きを読む
投稿日:2013.09.26
notachi
杉田玄白らが「ターヘル アナトミア」を翻訳した顛末を玄白本人が記した日記というか記録というか読物です。 この一事は小学生でも習うような有名な出来事ですが、歴史の単なる1コマとして簡単に流してしまうに…は勿体ない事がこの本を読めばよくわかります。 この一事が如何に無謀なチャレンジだったのか! どれだけの絶望からチャレンジしなくてはいけなかったのか! 福沢諭吉が読む度に何度も涙した、というエピソードからもよくわかります。 こういった人たちが日本人にいたという事実は誇りですし、知っておくべきだと思います。 そしてせっかく母国語でこんな素晴らしい足跡に触れる事ができるのですから、なるべく原文に近い形で読む事をお勧めします。 そういった点でもこの岩波文庫版は良いのではないでしょうか。続きを読む
投稿日:2012.09.22
debuipipi
83歳の杉田玄白が日本の洋学受容の歴史を回顧した本.小泉信三「読書論」に引用されていたので読んでみた.この本のハイライトは,もちろん,小塚原で解剖をみて,解体新書の翻訳を決意し,艱難辛苦をへて訳業を完…成させる部分である.翻訳の決意をしたとき,玄白はすでに39歳,前野良沢にいたっては49歳だった.江戸時代にはこれはもう晩年と言ってもいい年齢だろう.それから全く経験のない大事業をなそうというのだから,とてつもない.世の中に役立ちたいというひたすらな情熱が感動的. 文章は読みやすい.本文はゆったりとした組み方で60ページしかない.詳しすぎるくらいの注と学術的な解説が130ページついている.続きを読む
投稿日:2012.09.19
okamatake
フルヘッヘンドの解釈については、記憶違いよりは、『風雲児たち』で提示されていた、敢えて創作を入れた説を推したい。
投稿日:2012.01.03
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