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阿久悠 / 岩波新書 (1件のレビュー)
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kzoshima
その昔、塾に通っていたころ、皆さんは詞とメロディどちらで曲を選択するか?ということを講師に問われたことがあった。私はそれまで歌詞に注目したことなど皆無だったので、とても新鮮な質問だなと思った記憶がある…。 私は1983年生まれだが、私よりもう少し上の世代から、現在に至る若手層はどちらかといえば曲のよさで音楽を選ぶ世代であるように感じる。 歌詞がいくら良くてもメロディが伴わなければ聴かれることはなかったはずだ。 その理由の一つは、音楽が家族みんなで楽しむものから極めて個人的な経験へと変化したからではないだろうか。1979年に一号機が誕生したウォークマンの登場もその変化に一役買っているはずだ。 つまり、口ずさむものから耳に直接注入するものへの変化が大きいと感じるのだ。 現代人が歌を口ずさむのはカラオケで熱唱するときぐらいで、歌詞を意識するのは極端に言えば、カラオケで歌うときくらいではないだろうか。 順番としては、メロディが優れていたときに意識し、買って聞いてみたら歌詞が良かった。そんな順序だったような気がする。 1997年の刊行からちょうど20年が経つ。1997年といえば、小室ファミリーの活躍が目立っていた。歌姫といえば、安室ちゃんであり、華原朋美であった。 本作は、阿久悠が100曲を一気に書き下ろすという非常に精力的な試みである。現代では、専業作詞家が100曲書き下ろしてもなかなか新書になったりはしないだろう。 著者は歌謡曲が自分にとってのメディアであったという意味のことを記している。TVやラジオよりも歌謡曲に時代が、そして男女の生態が刻まれていたと。 シンガーソングライターという形式が主流となって久しいが、詞から生まれる音楽にはより国民性などが反映されやすい気がする。 専業作詞家の役割が重視される時代がまた来るかもしれない。また、そういう時代が来れば音楽がさらに面白くなるのだと思う。続きを読む
投稿日:2017.11.11
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