【感想】太平洋戦争陸戦概史

林三郎 / 岩波新書
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • モゲラ

    モゲラ

    陸軍から見た太平洋戦争史。
    陸軍の各作戦の裏にあった考えがわかる。
    また、陸海の対立が非常な問題であったことは周知の事実だが、陸軍部内でも、参謀本部と陸軍省では度々対立していたことがよくわかる。

    投稿日:2023.01.09

  • だまし売りNo

    だまし売りNo

    太平洋戦争の陸戦を記録した書籍である。著者は元陸軍大佐で参謀本部にあり、敗戦時は陸軍大臣の秘書官であった。
    本書の優れた点は大日本帝国陸軍の問題点を分析したところにある。それは精神主義や根性主義と呼ぶべきものである。これは今日では当たり前となっている結論であるが、終戦から早い時点で陸軍幹部自らが結論付けているところは真面目に向き合っている。
    恐ろしいところは現在の日本の公務員組織も日本陸軍の駄目なところを継承しているように感じられるところである。情報を公開しない点や責任を取らない点がある。ミスをした人間への責任を明らかにしない。大きな問題になれば転勤させ、ほとぼりが過ぎると戻される。また、自組織の論理しか考えず、外部に負担や迷惑を押し付ける。
    現代日本の納期意識を持たない無能公務員と猪突猛進の陸軍軍人では真逆のイメージを持つかもしれないが、猪突猛進の陸軍軍人も補給などでは現代の無能公務員と類似する。「頭が制帽を載せる台以外の使い道があるのなら、もう少しマシなプランを考えろ」と言いたくなる(ドロップ&キック『金髪さんのいる同盟軍 』「第028話:”ラインハルトは心配性?”」)。明治から戦前まで富国強兵で邁進したように戦後も焼け野原から経済大国に邁進しただけで、本質的には学習できていない。
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    投稿日:2021.08.01

  • reinou

    reinou

    このレビューはネタバレを含みます

    1951年刊行。著者は元陸軍大臣秘書官。◆陸軍から見たアジア太平洋戦争。そしてその前史たる満州事変あたりから叙述開始。太平洋戦線関連、陸海の省部対立、軍政・統帥対立、資源・人員・武器弾薬の輸送軽視については新奇事項はないが、日中戦争期はなかなか興味をそそる。①ドイツへの盲信・過大評価の要因論(首脳部から英米留学組が放逐という人事面。独の電撃戦に幻惑という統帥面)。②独ソ戦が重慶攻撃を頓挫せしめる。◇インパールの牟田口氏は余りに著名だが、この人物の思考・性格形成を考究できたら。上層部に昇進した理由も。
    現代の組織論の反面教師に。◇陸軍幼年学校での科学の軽視の問題を本書は指摘。算数数学・物理・化学。◇台湾沖航空戦の戦果検証をしないまま。その後の捷一号作戦(レイテ)に大きく影響。実証・確認・証拠の軽視。◇陸軍から見た菊水一号水上作戦の不可解さ。◆本書は陸軍関係者が戦後直後に刊行したことに大きな意味。虚心坦懐さ、反面教師に彩られる本書の内容に反する書が、最近横行。しかし、あくまでもそれは枝葉あるいは例外的事象。肝に銘ずべし。古い故に読む必要が高い書。

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    投稿日:2017.01.24

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