【感想】ふくわらい

西 加奈子 / 朝日文庫
(202件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
38
66
57
9
1

ブクログレビュー

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  • りり

    りり

    このレビューはネタバレを含みます

    最初の方はあんまりハマらないかもな〜と思ってましたが、乳母が体調悪くなったところくらいから、面白くなってきてどんどん読み進めていきました。
    定が生い立ちからなのか、あっさりとした人だったのが守口との会話で感情が芽生えてくるところ(?)は一緒に熱くなりました。

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    投稿日:2024.05.05

  • エロス

    エロス

    西加奈子の作品はいつも登場人物の持つ突飛なキャラクター性に驚かされ、惹かれる。本作の主人公鳴木戸定も非常にユニークなキャラクター設定がされていた。しかし彼女の思想が何を物語っているのかが今ひとつわからず、またそれゆえに本作の柱となるものが何なのかを掴み取ることができなかった。大きな感動は不要で、しかし読了後にささやかな余韻が何かひとつでも残ることが自分が理想とする読書であるが、本作からそれを得ることはなかった。ただ、中盤で登場する武智次郎の言動はあまりにもストレートに伝わってきた。ささやかな余韻とはまた違うが、強い印象が残り、当作の要であることは間違いない。再読すればもう一層理解を深められると思う。続きを読む

    投稿日:2024.05.01

  • ますたぁ

    ますたぁ

    特異な幼少期を過ごした女性の物語

    以下、公式のあらすじ
    ---------------------
    マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、
    書籍編集者の鳴木戸定。
    彼女は幼い頃、紀行作家の父に連れられていった旅先で、
    誰もが目を覆うような特異な体験をした。
    その時から彼女は、
    世間と自分を隔てる壁を強く意識するようになる。
    愛情も友情も知らず不器用に生きる彼女は、
    愛を語ってくる盲目の男性や、
    必死に自分を表現するロートル・レスラーとの触れ合いの中で、
    自分を包み込む愛すべき世界に気づいていく。
    ---------------------

    私の区分ではこれは純文学なのではなかろうかと思う

    読み手によって深くぶっ刺さる系の作品
    そう、例えば村田沙耶香さんの作品群のような感じ
    ただ、残念ながら私は傍観者的視点でしか読めなかった


    世間の常識と自身の認識のズレ
    多分、世の中にはそれを感じている人は程度の差こそあれ感じている人は多いと思う
    でも、それを何とかして生きていくのが人生だと思うんですよね

    まぁ、確かに定の境遇はかなりぶっ飛んでいるけれども


    一番のツッコミどころは雨乞いのところかな
    「俺の雨乞いは絶対に降る
    何故なら、降るまで辞めねぇからだ」
    を地で行く方法だからなぁ

    あと、西加奈子さんがプロレス好きな面がかなり出ている
    プロレスは、若い頃に見ている事を前提にしたノスタルジーという意見もまぁわからないでもないけど
    大人になってからの劇的な洗礼パターンもあると思う
    続きを読む

    投稿日:2024.04.22

  • きょつ(book)

    きょつ(book)

    西加奈子さんの力強くて激情的な文章が好きだ。
    ************************************************
    常に他人の顔で福笑いをする癖を持つ、鳴木戸定。
    幼い頃から冒険家の父に連れられ様々な国を放浪し多くの特異体験を経て、エキセントリックに育つ。
    編集者になった定は機械的に送る日常の中で、
    奇人変人、個性的な人達との出会いによって、
    自分への意識を、世界への見方を変化させてゆく。
    ************************************************
    偏屈な作家、奇天烈なプロレスラー兼作家、
    美人な同僚、定に猛アタックする盲目の男。
    特にレスラーの守口廃尊と定のやりとりは、
    豪快で痛快なのにどことなく繊細で胸を打つ。

    日本生まれ日本育ちの我々の物差しでは計れない、
    幼少期の定の体験は驚かされるしとても興味深い。
    大人になっても行われる他人の顔での福笑い癖は、
    自分と他人、世間とのズレや不明確、不安定さを
    表しているし、そんな不器用で純粋な定は可愛い。

    人との関わりの中で、少しずつ心が動いてゆく定。
    常に自問自答し続ける廃尊や、
    見えないからこそ見えてくるもの、信じるものを
    素直な視点で語る武智、初めての友達の小暮さん、
    母によって父によって乳母によって与えられた愛、
    少しずつ噛み砕いて受け入れてゆく定の愛らしさ。
    そんな定を受け入れ、肯定する世界の眩しさよ。

    武智次郎の真意と、武智に向き合った定の心境は
    今の私には全部はまだ捉えきれないが、
    今後読み返す中で少しずつ反芻出来ればなと思う。

    センシティブでグロテスクでかなり過激な描写や
    下品な表現も多いので万人受けはしないだろうが、
    読んでいて力が漲るような、毛穴が開くような、
    体内の血の巡りが良くなり飛び回りたいような、
    そんな力強さを感じられるこの作品が好きだ。
    何度も読み返したくなる不思議な魅力がある。
    -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------
    定は中学高校の思春期には、
    価値観が変わるような経験はなかったのかな。
    -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------

    続きを読む

    投稿日:2024.03.11

  • たま

    たま

    西加奈子さんの本は設定が独特だし、登場人物も突飛な設定が多いのに何故か自分や自分の周りと重ねてしまう現実味がある。

    投稿日:2024.03.05

  • cc

    cc

    このレビューはネタバレを含みます

    守口廃尊がいい
    定とのやりとりがいい

    定の海外での経験や父母悦子との話、もっと聞きたくなった
    定のエッセイが読みたいと思った

    最後のシーンは笑顔のまま涙がじんわり

    雨をやませてほしいという担当作家の要望に対して、まっすぐに儀式という選択をした定がこころに残った
    定の選択は定にとって今自分にできるいちばんの方法を選んだだけ、それが大変とかそんなことは置いといて
    当たり前とか普通とか常識ってなんだろう、周りからどう映ろうと、きっとすべての言動にはその人が選択した事情や理由があって、それは他人がどうこういうことじゃないよなって、そんなこんなを考えてしまいました

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    投稿日:2024.01.28

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