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Voice編集部 / PHP新書 (1件のレビュー)
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YAJ
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経済至上主義、資本主義、あらゆる過去の価値観が限界を迎え、マイナーチェンジが求められる昨今。アジアの賢人たちに、未来を見通してもらおという企画。『三体』をものした劉慈欣の考えが知れるのは面白いと手に取ってみた。 第一章のオードリー・タンは他の書籍やネット記事で見かけることも多いこれまでの実績、思想を改めて語ってきかせる。日本はより台湾と親密な関係を築いていくべきだろう。そのタン氏が、 「台湾では、社会福祉と言論の自由の両方を享受することができます。台湾が更に高みに行けばゆくほど、中国はよりいっそう不安を抱くことになる」 と語れば、第二章で、中国人作家劉慈欣が、 「いまの中国の強みは、自らに相応しい発展の道を見出した、あるいは、見出しつつある点だと思います。西洋のパターン、あるいは他のどの国とも異なった、中国独自のものであるといえるでしょう。悠久たる歴史を積み重ねた大国が、現代化と工業化を成し遂げ、急速な発展を遂げました。」 と堂々たる大国の矜持を示す。対談したわけではないが丁々発止を感じさせる章立ては面白い。 とはいえ、中華思想一辺倒ではなく、 「あらゆる社会体制に対して簡単に善悪の評価を下すべきではない」 と、柔軟性を示すあたり現代人だなと思う。 一元的な価値観では、今の地球規模の危機は救えないという思いは各人の共通するところか。第三章の孫泰蔵も、 「各地に多様な生態系を育てるほうが、芳醇な世界につながるはず」 と語る。 体制、仕組み、生態系、あらゆるもので大切なのは「多様性」である、という趣旨でまとめられた一冊。 各分野のトップを走る人物の思想を端的に読めてお手軽でよい。
投稿日:2021.11.05
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