【感想】クラシック作曲家列伝

やまみちゆか / マール社
(7件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • vivahorn

    vivahorn

    もともとTwitter時代から「やまみち ゆか」の絵を見ていて、この書籍を発売と同時に購入したのは覚えているのだが、この本を読み切った記憶がない。そして時が経つにつれてその存在を忘れて行った。作者のTwitterをフォローしているので自動的に作品を読んでいるものの、本の所在が一向に判らなったまま本日に至った。そして一昨日の本棚整理によりようやく日の目を見ることができた。まあ、この様な状況なってしまった責任は100%私にある訳です。

    さて内容は、絵と文章が交互に出る方式で12人の作曲家が紹介される。絵だけ見ればものの10分位で読み終えただろう。だが、ここはしっかり著者の意思を汲んで前から読み始めた。内容は初心者向けであるため、中盤あたりからきつくなったが、何とか最後まで読み切ることができた。12人のうち、リストだけはこれまであまり興味が無かったこともあり、知らない内容が多かったので、リストの部分だけはきちんと精読した。

    2021年7月の発売なので、そろそろ書き溜めた、SNSで公開した内容がpart2として出版されるのではないかと勝手に期待している。作曲家は今回と重複しても構いません。逆に、今回の12人の作曲家に触れることなしにクラシック音楽界を語ることは困難でしょう。
    それでは宜しくお願いします。
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    投稿日:2024.02.07

  • かとのひも

    かとのひも

    このレビューはネタバレを含みます

    ○この本がなければ、大御所の作曲家たちに親しみや興味を持てなかった気がする
    改めて曲を聴きたい
    コミック部分と解説部分のバランスがいい
    クラシックの流れも大筋でつかめた…気になれた
    音楽の時間に身を乗り出してしまいそう


    ◎漫画&イラスト&テキストでおくる陽気な音楽史案内
     作曲家たちの人生を通して、音楽史の大きな流れも把握できる

    ・音楽史の潮流
    ☆バロック時代 17c始めから18c 半ば
     教会や貴族が依頼者
     カツラをかぶる
     色んな楽器ができた
    ☆古典派時代 18c半ばから19c 始め
     貴族頂点から、怒れる市民に権力が移っていく
     作曲家たちも自由になっていく

    1:バッハ 1685-1750 ドイツ
     もめ事上等!転職の達人
     「音楽の父」
     当時は作曲家としては二流、一流オルガン奏者だが頑固で喧嘩っ早い
     …カツラを投げつける、決闘未遂、権力者に楯突いて逮捕
     …愛妻家
     …バッハ信者のメンデルスゾーンによって知られる
     …視力低下、治療に失敗し失明。術後の経過が悪くこの世を去る。最後まで作曲活動
     …コーヒー好き。【コーヒーカンタータ】
    ○生き様が好き。上には喧嘩売っても、家族や弟子たちには優しそう
     家庭的にもお仕事的にも充実していたイメージ

    2:モーツァルト 1756-1791 オーストリア
     THE神童 でも世渡り下手
     交響曲からオペラまで
     …就職活動、ことごとく失敗
     …悪妻?コンスタンツェ
      モーツァルトは溺愛
     …神童と呼ばれて
     …手紙魔
     …【魔笛】【レクイエム】
     …動物、ビリヤード、ダンスパーティー、ボウリング、下ネタが好き
     ○明るいイメージがあるのだけど、コンスタンツェとは両想いの夫婦だったと信じたい。

    3:サリエリ 1750-1852 イタリア
     モーツァルトを殺したって本当?!
     …この噂に苦しめられる
     ウィーンの宮廷楽長
     …師匠としてピカイチ
      門下生にシューベルト、ベートーヴェン、リストら
      貧困に苦しむ音楽家たちのために力を尽くす
     …ドイツ楽派に憎まれる
      死後30年経ったモーツァルト毒殺の噂を流す
      心身共に衰弱して亡くなる
     …リストは変わらず敬慕の情を寄せる
     …モーツァルトはサリエリに嫉妬していたが、晩年はお互いに歩み寄っていた
     ○師匠:泣 いつの時代も…。最後に添えられたイラストガ染みた

    4:ベートーヴェン 1770-1872 ドイツ
     生き方も作品も…全てが型破り!
     …フランス革命を経て貴族から市民へと移り変わった時代
     …毎朝60粒のコーヒー豆を数える
      ←験担ぎなの?なんでじゃろ
     …交響曲の可能性を爆発させる
      天才的な構築美、音で描く情景、歌入り交響曲
     …芸術家として生きた作曲家
      「この世に王侯貴族はいくらでもいるが、ベートーヴェンはただ1人だ」
     …貧しい子供時代
      父のスパルタ教育から、良き師ネーフェ
     …良き後援者
     …二十代後半から難聴
      遺書を書き、自殺を考える
      ←自問自答の中で生きる気力を取り戻す
     …亡き弟の息子の後見人になるが母親と親権争い
      また、愛情過多で非行に走らせてしまう
     …「喝采せよ、友よ、喜劇は終わった」
     ○小説家形無しの人生だ

    5:ベルリオーズ1803-1869 フランス
     妄想ストーカー作曲家!?
     …旋律で登場人物を表す「固定楽想」を生み出す
      ←ダー○ベイダーのテーマみたいの
     …両親は医者になって欲しかった
     …舞台の上の女優に恋し、妄想で付き合う
      気味悪がられ、劇団ごとパリを去られる
      【幻想交響曲】彼女への当てつけの曲
      ←結婚!!からの即離婚
     …マリーという別の女性と交際
      留学中に、別の男性と結婚
      メイドに変装して暗殺しにいくが、途中我にかえって中止
     …ワーグナーとの確執
     …孤独な晩年とロシアでのあたたかな歓迎
     ○ウェブ小説のような…。

    6:リスト 1811-1886 ハンガリー
     パリのスーパーアイドル 引退後はお坊さん
     …「ピアノの魔術師」圧倒的なピアノテクニック
     …派手、しかし善良、そして行動派
     …前衛的な作品を数多く生み出す
      「交響詩」、無調音楽、印象派の先駆け
     …ショパンとライバル・マブダチ
      が、女で疎遠になる
     …若いときに父を亡くしたこと、音楽院の入学拒否、恋人との交際を先方の家族に反対されるなど、一時鬱状態に
     …パガニーニの演奏を聴いて、ピアノでも超絶技巧を応用した
     …恋人、ダグー夫人
     …リサイタルの創始者
     …ワーグナー
     …カロリーネ
     …晩年、僧侶となるが最後まで演奏活動と後進の指導を行う
     ○羽生結弦くんみたいな感じか

    7:ショパン 1810-1849 ポーランド
     心の壁厚めの寂しがり屋
     …ピアノの詩人、祖国ポーランドを愛し伝統音楽を組み込んだ
     …子供時代は活発
      ポーランドの天才
     …故郷の人々にウイーンに送りだされる
      ワルシャワの武装蜂起
       同行していた友人が帰国
       ウイーンはポーランド人であるショパンを受け入れなかった
      ワルシャワ、ロシアに占領される
     …パリに拠点を移す
      音楽家たちとの親交を深める
      サロンでの演奏家や令嬢へのレッスン
     …恩人の娘と婚約するが破局
     …ジョルジュ・サンド
      惚れられる
      サンドの2人の子どもを巡って破局
     …勝手に標題をつけられることを嫌がった
     ○故郷への慕情。姉と義理の娘に最期を看取ってもらえた

    8:ブラームス 1833-1897 ドイツ
     ポスト・ベートーヴェン!?古典を愛したロマン派作曲家
     …ベートーヴェンを敬愛。「絶対音楽」を代表する作曲家
     …絶対音楽:作品そのものの構成美を追求・ブラームス
      標題音楽:風景や情景を連想させる作品・ワーグナー
     …相棒とリストに会いにいくが、ブラームスはリストの音楽を受け入れられず、相棒とも決裂
      一方で、ヴァイオリニスト・ヨアヒムと出会う
     …シューマンに売り込み。活躍の場を与えられる
      奥さんのクララに淡い恋心、のち友情に
     …恩人シューマン亡き後、奥さんクララに代わり7人の子どもたちの相手をする
      めっちゃ慕われてた
      反抗期も受け止める
     …新ドイツ楽派との対立
     …保守派だが、ベートーヴェンの模倣から独自のロマン派作品を作り出す
     …ドヴォルザーク、ヨハン・シュトラウス、チャイコフスキー、ブルックナー、ワーグナー
     …クララの訃報、後を追うように亡くなる
     …イビキがスゴイ

    9:ワーグナー 1813-1883 ドイツ
     究極の唯我独尊男!
     …オペラを作曲だけでなく、歌詞・脚本・舞台装置まで手掛けた。総合プロデュース。私生活はスキャンダルまみれ
     …リストが唯一の友人で恩人
     …少年の頃【魔弾の射手】と出会って、音楽の道を目指す。ベートーヴェンに感銘をウケすぎて交響曲をほとんど手がけなかった
     …女優ミンナと結婚。贅沢で恋多き女性。
     …パリ市民革命で暴動に参加、指名手配される
      リストの協力でスイスに逃れる
      富豪の「隠れ家」に匿われるが、その妻に手を出し追い出される
     …バイエルンの国王に拾われる
      弟子の妻コジマ(リストの娘)に手を出す
     …市民には反感を持たれたが王の援助は続き「オーケストラ・ピット」「無限旋律」など新しい試み
      オペラを総合芸術:歌劇へ
     …【ニーベルングの指輪】【パルジファル】
     ○劇場の仕組みはワーグナーが作ったのだな!コジマとは添い遂げることができてよかった

    10:チャイコフスキー 1840-1893 ロシア
     ガラスのハートの持ち主
     …法務省から音楽家へ。ロシア人で初めて西欧に認められた作曲家。管弦楽曲が得意
     …あがり症。自分のサクヒンノ指揮も苦手
     …ウサギがヘビに吞まれるのを見て号泣、寝込む
     …ゲームで負けると永遠に言い訳
     …一日のスケジュールを決めている
     …チャイコフスキーとロシア5人組
      バラキレフ、ムソルグスキー、リムスキー・コルサコフ、ボロディン、キュイ
     …バラキレフの助言で【ロミオとジュリエット】
     …偽装結婚(チャイコフスキーは同性愛者だった。当時は理解が少なかった)
     …メック夫人の支援
     …バレエ音楽を芸術に高めた
      【白鳥の湖】【眠れる森の美女】【くるみ割り人形】
     …ブラームスとの交流
     …【悲愴】
     ○奥さんとは別居のみだったのか。ブラームスの人足らしっぷり

    ☆ロマン派時代の作曲家相関図

    11:ドビュッシー 1862-1918 フランス
     倫理観も音楽の規則も完全無視!!
     …自由な発想で新しい時代の音楽を作った
      異性関係はヒトデナシ
     …調性や和声に縛られたくない
     …ドビュッシーと印象派
     …アジア音楽に影響を受ける
      ←パリ万国博覧会
       浮世絵好き 北斎「神奈川沖浪裏」
     …一人娘シュシュが生まれて浮気癖が落ち着く
      【子供の領分】
     ○シュシュが早い時期にドビュッシーのもとに来てくれていたらと思うけど、だと名曲は生まれなかったのか

    12:ラヴェル 1875-1937 フランス
     緻密な作品と超マイペースな本人
     …スイスの時計職人、管弦楽の魔術師の異名。響きやリズムを徹底的に計算
     …寝坊なのに朝の音楽を作れたことの質問に対して  
      「夢の中で観てからさ」
     …好きなもの
      おしゃれ、アジア文化、子どもと動物
     …【ボレロ】がヒット
     …ラヴェル師匠と弟子ロザンタール
     …パリ音楽院とラヴェル
      2度の除籍
      ローマ賞「ラヴェル事件」
      ←ガブリエル・フォーレの綱紀粛正
     …第一次世界大戦と母の死
     …アメリカ・カナダツアー
      熱狂的に迎えられる
      ガーシュウインとの出会い
     …記憶障害と交通事故
     ○こんなにも音楽を愛していたのに、晩年の病がラヴェルからそれを奪ったのが悲しい

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    投稿日:2023.12.06

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    NDC :762.8

    「作曲家「その人」に注目した、楽しくて陽気な音楽史案内。漫画&イラスト&テキストで、教科書には載っていない天才たちのちょっぴり不器用な人生に迫る。ブラームスVS.ワーグナーの音楽的対立やショパン&リストの友情なども絡め、バロック時代から近現代まで12名を収録。その凸凹人生録を読めば、あの名曲の聴こえ方も違ってくるだろう。彼らの人生を通して、音楽史の大きな流れも把握できる。気軽に読める音楽の教養書!」

    目次
    バッハ―もめ事上等!!転職の常連
    モーツァルト―THE・神童でも世渡りは下手!!
    サリエリ―モーツァルトを殺したって本当!?
    ベートーヴェン―生き方も作品も…すべてが型破り!!
    ベルリオーズ―妄想ストーカー作曲家!?
    リスト―パリのスーパーアイドル引退後はお坊さん!!
    ショパン―心の壁厚めのさびしがり屋
    ブラームス―ポスト・ベートーヴェン!?古典を愛したロマン派作曲家
    ワーグナー―究極の唯我独尊男!
    チャイコフスキー―ガラスのハートの持ち主!
    ドビュッシー―倫理観も音楽の規則も完全無視!!
    ラヴェル―緻密な作品と超マイペースな本人

    やまみちゆか[ヤマミチユカ]
    長崎県出身。長崎大学教育学部音楽科卒業、同大学院修了。第2回ヨーロッパ国際ピアノコンクールin Japanで2位を受賞。第1回伊勢志摩国際ピアノコンクールで特別賞を受賞。長崎県内を中心に演奏活動や指導の他、テレビ、ラジオ放送に楽曲を提供するなど作編曲活動を行う

    飯尾洋一[イイオヨウイチ]
    音楽ジャーナリスト。ANA機内プログラム「旅するクラシック」構成、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど放送の分野でも活動する
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    投稿日:2023.11.29

  • むん

    むん

    図書館。作者とは興味関心ややっていることの共通点が多く、Twitterに投稿していた時から気になっていたため。
    音楽史に興味を持ってもらうための一歩として、とてもいいと思う。萩尾望都世代はきっと素養として知っているようなことだと思うけれど、ブームは繰り返すと言うし。きっかけになってくれればいいなとは思う。続きを読む

    投稿日:2023.08.21

  • まいるん

    まいるん

    やまみちゆかさんのイラストが、とてもかわいいです。そして、大作曲家のやらかしとか、苦笑いしちゃうようなエピソードが満載で、とても楽しめました。

    投稿日:2022.12.24

  • 福郎

    福郎

    絵がかわいい。音楽家同士の人間関係についても描かれていて面白かった。ざっくりと人物を知ることのできる本だと思う。

    投稿日:2022.08.07

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