【感想】玄鳥さりて(新潮文庫)

葉室麟 / 新潮文庫
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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ブクログレビュー

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  • taro & kotetsu

    taro & kotetsu

    男の男に対する情愛の深さを突き詰めたら、ここまでいくのかという作品。主人公の三浦圭吾は、道場一の遣い手である樋口六郎兵衛の稽古の相手をさせられる一方で、危急の時も彼に救われる。そんななか、六郎兵衛は拐われた豪商の娘を助けるのだが、その手柄を圭吾に譲り、やがて圭吾はその娘を娶ることに。時は流れ圭吾は出世していくが、六郎兵衛とは疎遠になり、再びまみえたときには、、、
    葉室麟らしいちょっとした救いのあるエンディングではあるが、六郎兵衛の生き様はやるせなく切ない。
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    投稿日:2023.07.02

  • tkkl

    tkkl

     武士社会のお話はあまり好んで読まないのだけど、読み始めたらすぐに引き込まれていった。血生臭い場面も多いのになぜか美しい。人の命をなんとも思っていない藩主や奉行たちが不気味だ。圭吾もそうなりつつあったのに、友と妻が救い出していく。
     美津は世間知らずのお嬢様な雰囲気だったが、良い奥方になっていき、六郎兵衛のことも理解していき良かった。
     あれほど多くの人を切ってしまった六郎兵衛には惨めな死に方しか用意されないのだろうかと諦めの気持ちで読んだが、どうやらその場面は見なくて済んだ。病で長くはないかもしれないが、どうか静かに過ごせていたらと願う。
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    投稿日:2023.05.09

  • violinprince

    violinprince

    この人の紡ぎだす物語は、決して声高にならない、しかし人情味あふれ琴線にそっと触れてくる、そんな魅力がある。人が人を想う、その原点を洗い出してくれる心地よさのようなものを感じさせてくれる。

    時代小説というのは、過去の日本のありかた、すなわち過去の価値観に基づくところもあり、もちろんそれは現在のそれとは大きく異なるところをよりどころに書かれる側面がある。けれど、そのことを差し引いても伝わってくる感動というのは普遍的で、ほっとしたり、ドキドキしたり、ほろっとしたり、それはやっぱり時代に制約されない大切な何かを、きちんと詰め込んでいるからだと思うんだな。

    ちなみにタイトルの玄鳥というのは、燕のこと。また、誤解を恐れず言えば、今どきのボーイズラブにも通ずるような内容もあり、他にも人の出世欲についても細かな描写がされ、なかなか多層的、重層的な物語です(とはいえ、決して難しくはない)。年末年始、お清めの日本酒なんかをお供に、堪能できますよ。
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    投稿日:2022.12.18

  • masato

    masato

    葉室麟の遺作
    何を守るために刀を振るうのか
    男たちの友情・愛情の物語

    本作の主人公は六郎兵衛と圭吾
    石高も年齢も違う二人は道場で稽古を積み、六郎兵衛は圭吾を「友」と呼びます。

    そして、圭吾は富商の娘と結婚し、藩の有力派閥の後継者となり出世をとげていきます。一方、その圭吾を遠島になってまで守った六郎兵衛。
    なぜ、そこまで献身的に支えることができるのか?

    その後、派閥争いに巻き込まれる圭吾を陰ながら献身的に支える六郎兵衛。
    しかし、藩主の策略から二人は敵同士として剣を交えることになります。
    二人はどうなるのか?
    そして、何を守るために刀を振るうのか?

    心に染みる物語でした。
    お勧め
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    投稿日:2022.10.01

  • がんこおやじ

    がんこおやじ

    葉室麟の遺作とのこと。流石に安定の作品。この作者は終わり方が基本的にハッピーエンドなのが良い。時代小説ではこういう爽やかな終わり方は多くないと思う。そこがとても良い。いわゆる愛の話だが、とても自然な展開で、しかも武士の話であることもキチンと確保されている。佳作だと思うが、水準はかなり高い。続きを読む

    投稿日:2022.06.03

  • shigenobu

    shigenobu

    2022年1月7日読了。
    葉室麟さんの遺作と帯に書かれてあった。
    著者の本を読むと心が洗われる感じがしてならない。
    本作主人公は二人の武士だが、真の意味での主人公は行方定かではない六郎兵衛なんだろうなぁ…。続きを読む

    投稿日:2022.01.08

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