【感想】虚空へ

谷川俊太郎 / 新潮社
(4件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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ブクログレビュー

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  • べそかきアルルカン

    べそかきアルルカン

    八十八編の十四行詩からなる一冊です。
    本の帯には、
    〝できるだけ少ない言葉で書いてみたい〟とあります。
    言葉数が少ないと、
    鑑賞する側に想像力と創造力が求められますね。

    詩人がお歳を召されたこともあるのでしょうが、
    全編を通して生と死の気配が感じられます。
    でもそれらは嘆きの言葉ではなく、
    生きて死ぬことへの賛歌のように思われます。

    〝虚空〟とは、
    何も妨げるものがなく、
    すべてのものの存在する場所のことだそうです。
    虚空であるからこそ、
    一切の存在はいきいきとするとするのでしょうね。



    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
    続きを読む

    投稿日:2023.05.03

  • ただ

    ただ

    図書館の新刊コーナーで、なんとなくパラパラ捲って、表紙に惹かれて借りた、私にとって、初めての谷川俊太郎さんの詩集。

    あとがきにおいて、「暗がりのなかで蛍火のように点滅する詩もあるかもしれない」と書かれていた谷川さんだが、詩をあまり読まない私の場合、言葉数の少ない中においても、限りなく湧き出る想像力と、未知のものに触れたような心細さが同居しつつも、心の翼が大きく広がってゆくような、開放感を感じることができました。

    その心細さには、空虚という言葉がしっくりくるかもしれません。

    しかし、怖いのと、よく分からない不明瞭な感覚が混ざり合って、言葉って本当に不思議で面白いなと思いました。

    空虚。逆さまにすると、虚空。

    虚空は、すべてのものが存在する場所の意味もあるそうです。

    御年九十歳になられる谷川さんの詩に、おもいきり刺激をいただき、他の詩集も読んでみたく思った、私でした。

    以下、印象的な詩を掲載します。

    (ミエテキコエテ)

    ミエテ
    キコエテ
    サワレル
    ダケジャナイ

    カンジル
    マンナカニ
    イルノガ
    ボク

    ナンニモ
    ワカラナイカラ
    スゴイ

    ウン
    コワイクライ
    スバラシイ

    (赤児の笑みが)

    赤児の
    笑みが宇宙へ
    開く

    花の
    秘密と
    ひとつになって

    ヒトに
    ひそむ
    知り得ぬ


    死ねば
    この星の
    大地が
    償うだろうか

    (どの一生も)

    どの一生も
    言葉に
    尽くせない

    一輪の
    花と
    同じく

    唯一の
    星の
    地上に
    開き

    誰の
    哀しみの
    理由にもならずに
    宙に帰る

    (無はここには)

    無は
    ここには
    無い

    どこにも
    無い
    宇宙にも
    心にも

    無は偽る
    文字で
    詩で
    こうして

    無いのに
    時に
    有に似る
    続きを読む

    投稿日:2021.12.30

  • itomona

    itomona

    自然(「そのもの」)と言葉、生と死、私と他者、今と過去と未来、天と地と人、など、哲学や仏教が取り組んできた問題をストレートに、ミニマルな言葉で詩にしている。谷川俊太郎の手に掛かるとこうなるのか、という感じ。驚きはないが、やっぱりすごいなと思う。続きを読む

    投稿日:2021.12.27

  • sonnet

    sonnet

    おそらく、谷川俊太郎は90歳ではないか。
    それでも、変わりなくみずみずしい詩を書いている。
    彼にしか書けない詩であることは、ずっと変わらない。

    投稿日:2021.10.05

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