【感想】ジェンダーと脳――性別を超える脳の多様性

ダフナ・ジョエル, ルバ・ヴィハンスキ, 鍛原多惠子 / 紀伊國屋書店
(17件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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ブクログレビュー

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  • ms06f2

    ms06f2

    かなり前に読んだ『地図を読めない〜』でインプットされてしまっていた『らしさ』が生物学的なものに由来するという情報が更新されました
    そのときに理解したいように読んでしまうのかもしれないけれど、自分の中にできた『当たり前』でやらかさないように情報に触れて考えることは大事だなと続きを読む

    投稿日:2024.04.02

  • 土木D&I2.0

    土木D&I2.0

    科学者はわかりやすい発見として結論をまとめることで、自分の業績をアピールできる。そんな背景もあって脳の性差が強調されてきたことを、多くの例をあげて指摘。ザクっとまとめてしまわずに、データを丁寧に見れは、人の脳はモザイク状に異なる特徴から構成されている。このことから性という属性でレッテルを貼ってしまわずに、一人の中に備わる多面的な特徴をみようとしう眼差しが生まれてくる。ものの考え方を刺激する一冊。(葉)続きを読む

    投稿日:2023.10.31

  • sugar41

    sugar41

    くどい。
    23章あるんですが、金太郎飴のごとく、どの章も内容は同じ印象。
    読み終えた結果、「訳者あとがき」だけ読めば十分だと思いました。

    ちなみに、著者の主張は以下のような感じです。
    ----------
    脳については、平均的に見れば、男女の脳に違いがなくはないけれど、脳には様々な要素があり、また、それらの要素は、女性的な面を持つ場合と男性的な面を持つ場合がある。
    しかも、男性の脳であっても、女性的な面をもつ要素はあり、逆に、女性の脳であっても、男性的な面をもつ要素があり、平均すると、男女の脳はとても似ていて、その差は小さく、また、その差は優劣ともほぼ関係ない。
    脳の違いについては、そういった平均的な差よりも、実は、個人差の方が大きく、男性的な面が強い要素を多く持つ女性もいれば、女性的な面が強い要素を多く持つ女性もいるので、性別で人(脳)を判断するのではなく、人(脳)それぞれの個性を大切にしよう。
    ----------

    なお、章が分かれているのは、上記の主張を示すために紹介するエビデンスが違うため。
    それゆえ、冒頭に述べたように、くどくて金太郎飴のような印象を受けたわけです。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.06

  • ミ

    9章までと21章を読んだ。
    人間の脳には、男の人には特有の男脳を持っていて、女の人には特有の女脳というものはなく、一人一人の人間の脳はモザイク状になっていって、男脳女脳という固定的な特質はないということを主張している。セックスは、身体的、物理的、生物的なコンテクストで使われるが、ジェンダーは社会的コンテクストで使われる。
    女の人であっても、脳に男の人でよくみられる特徴が多くみられたり、男の人であっても、女の人によくみられる特徴が多くみられることがある。
    しかし、総じて、男女の脳は平均して男性的な特徴、女性的な特徴が同じくらいの脳に存在している。

    昨今LGBTQがよく話題になっているが、私たちは身体的、生物学的な性と社会的、精神的な性を分けて考える必要があると思う。性が関わる法律を、精神的な面や客観的に判断できないことをベースにして作ることは良くないと思うが、一方で、ゲイやレズビアンであることで殺されてしまったり、社会的に差別されたりする国もある。そういう側面で、私たちは人間の性自認の曖昧さやそこにはグラデーションがあるといことを認めるとより良くなると思う。
    イスラム圏では、男が女っぽい話し方、女っぽい服装をすること、またその逆のことでさえ禁止されている。イスラムでは、女と男は根本的に違って、それは身体的、肉体的な面だけではなく、精神的、感情的な差異がある、と言う。しかし、私は、この言説に関していつもモヤモヤしていた。なぜならば、男女はっきりと二元論的にみてというのかとても疑問だったからである。社会やコミュニティが男はこうあるべき、女はこうあるべきという期待にとても窮屈さを感じたし、苦しい思いをした時もあった。
    もっと個人の精神の自由さと柔らかさが欲しかった。だから人間をそう簡単に決めつけてみることはできない。1人の中にいろんな側面があって、それはいわゆる男性的な時もあるし女性的な時もある。1人は、内にグラデーションやモザイクが入り混じっている。
    私たちは、物事を簡単にしようとしてしまって、人を傷つけることがある。自分の固定観念が、他者を傷つけてしまうことがある。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.03

  • aya00226

    aya00226

    このレビューはネタバレを含みます

    男女の特徴は、平均すると区別できるが、モザイク模様でよく見られる特徴があるだけ。
    脳は可塑性があるので、環境で変化する。
    1%は間性の生殖器を持つ。
    ラットでは、ストレスを受けると海馬の性別が変わる。
    生殖器は一生を通じて変わらないが、脳はそうではない。生殖器はたいてい、男女の明確な差があるが脳はそうではない。脳は、男女それぞれの特徴を持つ。脳を基準にするとたいていの人は間性になる。脳はモザイクで、かつ一生を通じて変化する。
    教育をジェンダーフリーにするには時間がかかる。

    かつて、左利きは脳の劣性を表すと考えていた。右には正しい、という意味もある。
    性別は牢獄ではない。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.09.04

  • たけのこ

    たけのこ


    男脳、女脳なんてものはなく、男性的特徴、女性的特徴がモザイク状になっているのが人の脳。だからこそジェンダーを取っ払っていこうよ、という本。性差は、社会的に作られているものだから、我々が無意識的に格差を作り出している。だからこそ、その固定観念に気付かなければならない。

    以下、気になったこと。
    本書では、最終的に、ジェンダーフリーを掲げている。しかし、最初の方だと、脳に性差がないというわけではなく、男性女性では多くの特徴において平均的な差異があるが、性別と他の多くの要因との相互作用によって、男性女性の効果はどの人の脳においてもその人独自の組み合わせで作用している。と述べている。(要は、男性的特徴、女性的特徴を認めている、ように読み取れる。)ジェンダーフリーと言いつつも、あなた最初に男性的特徴、女性的特徴を認めているけど、どうなんだろう?と思ってしまった。筆者の言うジェンダーフリーをうまく読み取れてないだけなのかもしれないが。


    ジェンダーフリーのためには、固定観念を隠すのではなく、気付くことが重要、というのはしっくり来た。要は、どれだけ子供に男、女なんてないんだよ、多様性なんだよ、みたいな「キレイ」な教育をしても、結局メディアや他の人々から影響を受けてしまう。だとしたら、そうした影響を受けた上で、その固定観念に気付かせる、といった方がいいんだろうと思う。それが教育なんだと思う。(なんか前、テレビでジェンダーフリー教育的なことをしている親の特集を見て、まだ2〜3歳の子供に、髪の長い人がどうして女だと決めつけるの?みたいなことを言って注意してたシーンがあったんだけど、それにすごくモヤっときた。多分それは、固定観念を隠している、「キレイ」な教育なんだと思う。まずは我々はそんな「キレイ」な社会にいるわけじゃないんだから、、、)

    ジェンダーフリーに対する自由、責任。筆者は、ジェンダー関係なく、それぞれの特徴を活かせる道に進めればいい、と言っていて、それは良いことだと思う。
    でもそんな簡単な話じゃないよな、とも思う。なんでかって、我々の社会も、ある程度男女の二分法で助かってる部分もあるから、、男は男らしく、女は女らしく、で何も考えずに追随していけば、それはそれで楽な人もいるだろう。でも逆に、それが全て自由になったら、それ以上に我々の選択肢が増え、考えることが増え、自分なりの道に進む責任が増えてしまう、、考えることも増えてしまう、、
    それを考えると、ジェンダーフリーになる影響ってかなりでかいよな、と思ってしまう。決して多様性を否定しているわけではなく、そこに至るまでの道が、所謂今「普通」の人にとっては茨の道に見えてしまう。だからこそ、確かに良いことだとは思うんだけどなんとなく忌避感を感じてしまうのかな、、
    続きを読む

    投稿日:2023.07.09

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