【感想】蝶のゆくへ

葉室麟 / 集英社文庫
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
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ブクログレビュー

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  • Limei

    Limei

    明治から大正にかけて、女学生時代から島崎藤村、北村透谷、国木田独歩、勝海舟、樋口一葉、その他多くの文人、芸術家たちと関わり、交流した主人公・星りょう。
    こんなに才能ある人たちと関わってきた星りょうっていったい何者?
    架空の人物?
    と思っていたら最後の方でどんな方かわかり、おおっ!となりました。

    この時代いろいろな格差や慣習がある中で、自由に、自分らしさを求めて、世間の目を気にせず意思を貫いて強く生きた女性たちはすごいなと思いました。
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    投稿日:2024.03.12

  • npol

    npol

    集英社のキャンペーンで購入。こういうのがないと出会わない本がある。
    てっきり単なる相馬黒光の伝記かと思ったら、彼女を通じて明治の文豪の恋愛模様を描き、ちゃんと最後は自身と子らの話に繋ぐという凄い本だった。中村屋の歴史も単に流行を先取りしただけじゃないんだなあ。続きを読む

    投稿日:2023.07.17

  • kosamebitaki

    kosamebitaki

    若松賤子の小説を読んだ後、ここにも描かれていると知って読み始めた、初めての葉室麟さん。
    どうやら、これまでの作風とは異なっているらしいけれど、私はすっかり魅了された。
    若松賤子は「我にたためる翼あり」に登場していた。当時の女流作家が何人か出てくるけれど、一番鮮やかに浮かび上がるのは、樋口一葉。ここまで樋口一葉を描いた小説を知らないが、これぞと思わせるリアリティがあった。作者の明治文学への深い洞察が描かせたものに違いない。この時代の明治のインテリたちの動向がよくわかる。
    それぞれの短編には島崎藤村、北村透谷、有島武郎など、明治の文学者が現れるが、いわゆるスキャンダルを扱っていて、男たちには魅力を感じない。勝海舟の晩年くらいか。その勝にしても、若い頃はあちこちに女を作っている。明治の男は、裏ではみんなこんなものか。まともに描かれているのは樋口一葉を支えた斎藤緑雨くらい。
    解説によれば、作者はこの時代をもっと描きたかったのだという。志なかばでとても残念に思う。
    まるで違う筆致で描かれているのかどうか、テーマも違う、他の作品も読んでみたくなった。
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    投稿日:2023.04.07

  • masato

    masato

    明治時代を生きた女性星りょうの視点から、当時の女性の様々な生き様、恋愛模様を浮き彫りにした物語。

    明治の文豪がたくさん出てきます。
    どこまでが史実でどこまでが創作なのかさっぱりわかりません。

    自分らしく生きたいと願い、生きたりょうが様々な人たちと知り合い、そして、その女性たちとの対比によって、りょうの生き方を浮かび上がらせています。
    最後の、娘の俊子の会話が刺さります

    「だけど、母さん、ひとは自分だけでは自分らしくいきられないのではありませんか」

    りょうが新宿中村屋の創業者につながってびっくりしました。
    一つ賢くなった(笑)

    こうした伝記に近い物語って苦手(笑)
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    投稿日:2023.03.19

  • kinoko

    kinoko

    このレビューはネタバレを含みます

    主人公りょうの人生がまさか中村屋へ、その看板メニューインドカレーへと繋がっているとは思いもよらなかった
    錚々たる小説家芸術家の名前が出てくるのでりょうもその世界で大成するのかと思った。意外だったけれど最後まで自分を自分として愛した気持ちのいい女性だった
    相馬黒光さん

    それにしても途中から葉室麟さんの作品を読んでいるということを忘れていた

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    投稿日:2023.03.13

  • sana

    sana

    葉室麟の異色作。
    明治時代を生きた個性的な女性たちを熱っぽく描きます。

    星りょうは仙台藩士の三女として生まれ、その利発さから「アンビシャスガール」と呼ばれた。
    明治28年に、東京の明治女学校へ入学します。
    女子教育向上を掲げる校長の巌本善治は「蝶として飛び立つあなた方を見守るのがわたしの役目」と、りょうに語りかけたのでした。

    明治女学校の教師・北村透谷と女生徒との間に生まれた恋のいきさつ。
    国木田独歩と結婚したが逃げた、りょうの従妹・佐々城信子は…
    英語教師のクララ・ホイットニーは義父に当たる勝海舟との間に深い信頼関係を築く。
    若松賤子は校長・巌本の妻で、翻訳家・作家として活躍した。その賤子のもとを訪れた樋口一葉……

    りょうは次々に個性的な人物に出会い、思わぬ秘密を知ったりもするが、当人はそこまで華麗な才能を見せたり恋愛遍歴をするわけでもない。
    だが、後に結婚相手と共に、新宿中村屋を興し、相馬黒光と名乗るようになります。
    こういう育ち方をした女性だったのね。

    新しい生き方を希求する明治の女性たちの、燃えるような思いと大胆さ。
    男性たちもアクが強く、個性的です。
    清廉な生き方をする武士を描くことが多かった作者が、もがきあがく女性たちを描きたくなったのですね。
    この後どんな風に世界を描いていくのか、その先も知りたかったです。
    惜しまれます。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.19

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