【感想】逆境の資本主義　格差、気候変動、そしてコロナ……

「逆境の資本主義」

1.購読目的
2020年から2022年にかけて、コロナそして政治情勢の大きな変化が発生している。
過去、現在そして未来の資本主義を学ぶことにより、大局/マクロの流れを押さえたかっ…たため。

2.この書籍の魅力
FRB元議長のグリーンスパン氏をはじめとして、多くの見識に触れることができること。

3.改めて学習できたこと
①ダノン
食品のダノンは、地域社会ならびに環境に配慮した目標設定、運営を行っている。
結果として、そうした認証の冠でもある「Bコープ」銘柄として採用されている。

②グリーンスパン氏
資本主義の停滞は、社会保障費の増加により、投資にまわる資本が衰退しているから。
アメリカそして中国の二国で世界GDPの4割を占める。この両国の揺らぎは、そのまま世界へのインパクトに繋がること。

③保険会社エーオン/2019調べ
ESG投資は世界投融資の3割超/31超ドルまで拡大。

④世界経済フォーラム創設者クラウスシュワブ氏
株主と公益の両方を追求する「ステイクホルダー資本主義」へ。
2020年ダボス会議にて、ESGでの経営報告書フォーマットが確定。

4.読み終えて
国内中心にビジネスをしている場合、諸外国のマクロ経済からの▲影響について、考慮不足となってしまうケースもありうるかもしれない。
なぜなら、国内中心という理由で直接の経営/損インパクトが少ない可能性があるから。　
しかし、売掛先または買掛先が諸外国と取引をしている場合は考慮した方がよい。

また、公開企業が安定株主、長期投資を前提とした株主戦略を実行する場合は、ESGファンドの銘柄として採用されるがベターとも考えられる。
なぜなら、この領域への資金の流入はアメリカ/ヨーロッパ中心にすでに出来上がり、今後はアジアにも波及するため。

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資本主義は実利優先で柔軟に変化し進化してきた。
デジタル化は一握りの人材を求めるだけ。雇用を生み出す力は弱い。
データ資本主義の問題点はプライバシー。
自由を求める人間の性質上、監視社会には反乱がおこ…る。
寡占度合いを示す「ハーフィンダール・ハーシュマン指数（HHI）」が上昇中。
無料は消費者にメリットが多いように思えるが、データが特定企業に集中する弊害で、競争が阻害される恐れがある。
データ資本主義は、ネットワーク効果が働きやすい。
競争はある種の無駄。民主主義と同じ。
個人は富から遠ざけられている。大勢の人が株式を保有する仕組みを作るべき。
政府系ファンドが受け取る配当を国民に配る。
日本を上回る高齢化社会はない。

アメリカではフリーランスが就労者の過半を占めるようになる。先進企業は個人ベースの報酬体系になっている。
企業は人材育成をする時間がない。
人間の仕事は機械を使う仕事だけになるはず。

トヨタのカイゼンは現場で不具合を治す。アメリカのテーラー方式では、上の指示にしたが従うだけ。
製造業の比率が低下、車はシェアリングカーが1台増えると販売は2台減る。
ミニマリストでも欲望の総量は変わらない。モノに向かわないだけ。
リバタリアンは政治の世界のミニマリスト。

デジタル人民元の当面の目的は資本規制の強化。
リブラは、民間が発行する通貨。通貨主権への挑戦。

日米開戦のきっかけはエネルギー禁輸。今のところ大きな要素はない。
大富豪も税金を払うべき、と言っている。資本主義の危機を感じている。
ROE経営はコロナ禍で弱さを露呈した。過度の自社株買い。
経営の耐久性が長期の成長力を左右する。

企業の目的は利潤の最大化ではなく、消費者が購入したいと思う商品を提供すること。物言う株主はそれに興味がなく、短期的な利益だけを求める。

アクティブ市場が減少し、パッシブ比率が上がる=考えない取引、だけが残る。市場は賢い市場ではなくなった。
長期志向の企業は富を生み出す力が強い。

日本は、儲けることに疎い。三方よしの経営を言い訳にしていた。

コモンズの悲劇＝共有地の悲劇。環境問題。

「ブラックエレファント」＝黒い巨像。既知のリスクだが禍をもたらすこと。いずれ来ることがわかっていても対処できない。

反移民は経済的には成功しない。そのうちアメリカも受け入れることになる。

出世払いの教育費＝インカムシェアアグリーメント。
福祉が手厚いからと言って、ダイナミズムは失われない。
大学卒業後も学び続ける仕組みをつくる。続きを読む

専門用語が飛び交うその道の専門家の意見を手短にまとめた内容。理解までに至らないけれど興味深い切り口に苦手な経済的方面に誘われる。

今後の社会の大きな流れについて書いている。
データ資本主義
プライバシー問題
ミニマリスト
デジタル人民元
環境は公共財
移民と労働局不足
企業の公益性

資本主義に関連するインタビュー集。テーマは、格差、気候変動、コロナ、株主資本主義vsステークホルダー資本主義、CBDC、無形資産の拡大と多様なもので、編集の問題もあって、やや散漫な印象。「逆境」の資本…主義と仰々しいタイトルであるものの、資本主義自体がまずいのではなく、市場の失敗に対して、満足な政策対応を出来ていないのが問題。扱われているテーマの中では、格差の問題に興味を持った。ピケティ以降、経済学のトレンドにもなっているので、もう少し知見を深めていきたい。続きを読む