【感想】囁き男

アレックス・ノース, 菅原美保 / 小学館文庫
(2件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • かほほん

    かほほん

    ちょっと不気味な話が好きなのでとても楽しく読めました。

    不気味でどんよりした空気感が物語の後ろにずーっとあるような本。事件そのものもそうですが、常に危うい父子関係、よくわからない近隣住民、おばけ的なものか人怖なのかわからないまま進んでいく感じ。すっきりできない雰囲気がうまく機能している本だな、と思います。続きを読む

    投稿日:2024.04.15

  • Konstanze

    Konstanze

    父の日におすすめの一冊である。
    プレゼントに、というよりは、自身で読むのがいい。
    きっと、よい父の日になる。

    ジェイクへ 

    この書き出しで、物語ははじまる。
    父から息子への手紙だ。
    突然妻を失い、幼い息子と残されて、途方に暮れたシングルファーザーの手紙である。

    『きみに話したいことは山ほどあるんだけど、ぼくらはいつも、面と向かい合うとうまく話ができない、よね?
     ならば、代わりに書くしかないだろう。』 (9頁)

    父は綴る。
    息子が生まれてきた時のこと、妻と息子がすごしている様子、そして、不器用な自分と息子との関係―― 
    ああ、辛いだろうなあ、悲しいだろうなあと、私はいたく同情する。
    お父さん――ええと、お父さん、ところで、この不穏な言葉はなんでしょう?

    『フェザーバンクで起きたあれこれの出来事について、その真相を。
     ミスター・ナイトのこと。床の男の子のこと。蝶のこと。奇妙な服を着た女の子のこと。
     そしてもちろん、囁き男のことも。』 (10頁)

    そして、さあ、描かれるのは、フェザーバンクの地でいなくなる男の子のこと、20年前に起こった事件のこと、
    子供に伝えられる歌、常に緊張している父と子、・・・・・・

    これだけのことが描かれて、これだけ怯えさせられたのだから、話はずいぶん進んだにちがいないと、一息ついて手元をみれば、まだたった6分の1しか読んでいない。
    そしてさらに不穏な出来事は増え、それにつれて登場人物が増え、なのにまだ5分の1、ああ、ようやく4分の1――
    登場人物それぞれの事情、心情、背景を見事に描き、おっかないあれこれを数々起こし、なのに、読者は恐怖こそすれ混乱することなく、読み進んでいける。
    みごとな話運びだ。

    作者アレックス・ノースはこれが初めての邦訳だが、デビュー作というわけではない。
    別名義スティーヴ・モズビーでは既に11冊の著作があり、高い評価を得た作家である。
    世の中には、読むべき作家がまだまだいるものだ。

    時折ぎょっとしながらの、読みごたえ充分のこの作品、『囁き男』を読まないのは損である。

    どうぞ、すてきな父の日を、ぜひ!
    続きを読む

    投稿日:2021.06.17

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