【感想】夏を取り戻す

岡崎琢磨 / 創元推理文庫
(15件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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ブクログレビュー

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  • be-san

    be-san

    全くの予備知識無しに「あ、タレーランの人だ」程度で手に取って。読み始めた最初のうちは、何というか割とスケールの小さい「地味な話」かと思っていたら... 途中から話がどんどんややこしく、きな臭くなってきて(^ ^; 作者は二重三重四重五重に多層的なストーリーを作り上げている(^ ^; 「大きな秘密の暴露」ですら、さらに大きな思惑のための伏線でしかなかった、というゴージャスな罠の張り方(^ ^;

    子供たちは、子供だからと言って大人が幻想として描く素直で単純で小ずるくて分かりやすい...というイメージを見事に崩してくれて(^ ^; 大体からして「子供たち」と十把一絡げで捉えること自体が、大きな間違いであって(^ ^;

    最後の「ボーナストラック」は、う〜ん...無くても成立する気はしなくもないけど...作者の「サービス精神」の表れなのかな(^ ^; いや感動はするんだけど、読後感が「よくある作品」になってしまうような気もしなくもなく...(^ ^;
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    投稿日:2024.02.05

  • 猿山リム

    猿山リム

     夏に夏の本を読もうとして出遅れてしまったが、作中の舞台も今頃の季節だったので丁度良かった。
     取り戻すのだから今なんだよね。
     小学生が夏を取り戻す作戦に出て、当然問題になり、ゴシップ誌のライターが謎解明に乗り出す流れ。
     小学生視点とライター視点で進行する。
     読み始めた時は、なんとなく某名探偵シリーズの一作目を彷彿させて期待していたのだが…。
     あまりにご都合が良すぎる構造と、小学生達の発想が大人の作家が捻りだしたモノにしか見えなかったり、雑さと安易さが残念に思えた。
     全部が全部とってつけた印象。
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    投稿日:2023.09.21

  • 55KTK

    55KTK

    終わってみれば「ただの子供遊び」ではなく感動小説だった。

    序盤から佐々木はもしかして…とか所々想像するに難しくない箇所があったので驚きはなかった。
    あと猿渡の独り言?説明口調が多く、読んでいればわかる感情部分も説明されるので長く感じた。

    ラストのエピローグはわかってはいるものの感動するまとめ方だった。
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    投稿日:2023.04.26

  • りなん

    りなん

    順序とテンポのバランスが良くて読みやすい。
    全ての謎を全て後半までとっておくのではなく、謎が出てきて、1つ解決して、謎が出てきて、解決して、新たな手がかりを見つけて、情報が集まってきて。
    物語の核心の探りも入れつつ失踪トリックは一つ一つ解決していく。
    謎解きも適度に推理しやすいのでミステリー初心者には打って付けかもしれません。
    BGM使用曲:発明家/Official髭男dism
    やるしかない/藤田麻衣子
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    投稿日:2023.02.26

  • kemukemu

    kemukemu

    「夏を取り戻す」の「夏」とは……。

    子供のころ、夏休みが始まるときは「自由で可能性に満ちて、冒険や新たな体験が待っている」と、わくわくしていた。
    秋になったとき味わう「やりきれなかった悔しさ、夏の名残の愛おしさ」は、これから何度も味わう、厳しい現実と挫折の始まり。
    でも、また夏は来るという希望があれば、まだ少年時代は残っている。

    1996年8月、高度成長期は終焉を迎えバブルが崩壊し始める。
    世界を揺るがす大事件(オウム事件)や大災害(阪神淡路震災)が身近で起き、本当に「恐怖の大王」が空からやってくることにおびえた時代。
    右肩上がりの象徴である高層アパート群(団地)に入ってくるのは、初期の希望に満ち溢れた若い家族ではなく、仕事も家族も破綻が見え始めた家族。
    そして、時代に取り残されたような周辺の住民。

    登場する小学四年生の児童たちに違和感を感じるとしたら、どこか大人びた思考と行動。
    でも、こういった物語に期待する「子供らしさ」に対する違和感であって、本当の子供たちは世間の「忍び寄る暗い影」を感じ取ってしまう、この物語のように……。
    二十年後の今のさまざまな家庭と社会の問題が、すでに垣間見える。

    社会が健全であるためには子供が子供であることがいかに大切か、それはすべての大人たちの義務だと思う。

    単なる「ジュブナイル」ではなく、そんなことも考えてしまった。
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    投稿日:2022.08.30

  • ナオ

    ナオ

     団地に住む小学生が失踪しては数日で戻ってくる事件が立て続けに発生している。ついては解明に力を借りたい――そんな匿名の情報提供を受けたゴシップ誌の若手編集者・猿渡は、フリー記者の佐々木とともに城野原団地で取材を開始した。状況から子供たちの意図的な計画であることは明らかだったが、猿渡らがその真意をつかめぬうちに、別の子供が授業中の視聴覚室から姿を消してしまう。子供たちはなぜ順番に失踪しているのか?



    1996年の小学生が連続して失踪する事件。小学生たちが発する娯楽が懐かしすぎた。ポケットモンスター赤緑青が発売され、テレビアニメでは名探偵コナンの放映も始まった。堂本光一主演の銀狼怪奇ファイルに堂本剛主演の金田一少年の事件簿。夏休み映画の代名詞学校の怪談。全てが懐かしかった。銀狼怪奇ファイルも金田一少年の事件簿も当時の小学生には怖かった。もちろん、夏休み映画の学校の怪談も。はー私も失踪した小学生と歳は変わらない。



    だけど、この小学生が考えついたトリックは当時小学生だった私には思いつかなかっただろうなと思った。視聴覚室から消える児童の謎。大人たちを翻弄する子どもたちはすごかった。


    だけど、子どもたちが事件を起こす本当の理由とさらにその奥に隠された真実は悲しい出来事だった。自分が誘わなければ。自分がやろうと言わなければ。そうやって罪の意識にかられてしまう人々。だけど、真実が判明して本当によかった。彼女も助かって本当に良かった。


    少し長い話だったけど、子どもvs大人の戦いは面白かった。しかし、ひとつ気になるのがこの頃の小学生って、巨人軍よりJリーグ発足でみんなJリーグの帽子かぶってなかった?野球よりサッカーが熱かった記憶があるのだけど。まぁ、本筋とは関係ないか。


    2022.8.28 読了
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    投稿日:2022.08.28

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