【感想】知識人の生態

西部邁 / PHP新書
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
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ブクログレビュー

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  • tokyobay

    tokyobay

    「専門家とは何か?」昨今のコロナ騒動で知識人(所謂専門家)が毎日にようにTVを賑わし、大衆はその一言一句に右往左往し、政治家までもが専門家頼みで意思決定を行っている状況に最適の一冊。24年前の本だが古さはなく、ネット社会の進展により事態はさらに悪化しているようにも思える。
    全体を通じて専門家の生態を多面的な観点から批判しており、すべてが頷ける内容。思い返せば9年前には原発事故があり、その前には薬害エイズ事件もあったが、それらから国民は何を学んだのだろうか?その教訓は今回のコロナ騒動に生かされているのだろうか?という思いがしてくる。
    先日読んだ『新・学問論』の続編的な位置づけでもあり、内容的に被る所もあるのだが、専門家批判だらけの内容の中、4章では提案らしきものがある。それは、出発点である前提の根拠が薄弱である点において仮説演繹や仮説検証が「偽の合理性」であるのに対し、仮説形成の手続検討としてパースの記号論やソシュールの言語論を媒介としつつ、両者に欠如している意味論や価値論を解釈学を用いて付加し、「諸科学の総合化」を図るというものである。が、概要しか語られておらず、詳細は他著に譲るとのことなので、そっちを読むしかないのだが。
    少々疑問に思うのは、著者は「専門人と衆愚の連合体」という言い方で、オルテガ等を引用し専門家とセットで大衆批判も行っているわけだが、著者の重視する慣習や伝統はその大衆が生み出しているとも言えるわけで(著者は大衆と庶民を使い分けてはいるが)、その矛盾をどう克服したらよいのだろうか?という事である。著者はそこに限界を感じつつも、この矛盾に対峙しようとして言論活動をしてきたのかもしれないが。
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    投稿日:2020.03.26

  • マタン

    マタン

    このレビューはネタバレを含みます

    文章のとっつきづらさが玉に瑕。
    まあ、著者の経歴では
    致し方ないのかもしれませんが。

    これは出版当時よりも
    今のほうがなおさら、抱えている問題は
    悪化しているように思えてなりません。

    なぜかって?
    ここにさらにネットが加わってしまいましたからね。
    こうなるとその野放図具合はまします。

    彼らの精神病理学系統なんか
    さらに悪化していると思いますよ。
    何せあるSNSなんか批判一切消せますし。

    知識人は政治にかかわってはいけない。
    これは全うな意見だと思いますよ。
    何にも責任を負わずにいいたい放題。
    見ていて気持ちのいいものではありません。

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    投稿日:2017.02.15

  • キじばと。。

    キじばと。。

    本書では、知識人を三種類に分類しています。第一は、「インテレクチュアル」と呼ばれる人びとで、広く知識の全貌を捉えようとする姿勢を持っているとされます。第二は「インテリジェント」で、専門的知識を身につけた人びとを指します。そして第三は「インテリゲンチャ」で、革命を志向し、人民に革命への意識を注入しようとする人びとを意味しています。

    著者は、知識を特定の政治的立場のための道具にしたインテリゲンチャのみならず、自分の専門領域に閉じこもり、人間の知識全体への目配りを欠いたインテリジェントに対しても、厳しい批判を展開しています。とくに、みずからの閉鎖的で幼児的な精神のあり方に疑問を抱くことさえない大学人に対して、容赦ない批判を放っています。

    その上で、著者の考える真の知識人の姿が提示されています。真の知識人であるインテレクチュアルは、学問の細分化が進む現在にあって、伝統に向かって蓄えられた知恵を訊ねつつ、ますます多様化の相を深めつつある現実を秩序化するための基準を求め続ける者だというのが、著者の考えのようです。

    本書では、ポパーのピースミール社会工学の立場と著者自身の立場の違いについても触れられています。ポパーは、マルクス主義のような設計主義を退け、個別的な問題の解決を積み重ねていくことを重視しましたが、こうした立場には現実の全体性を把握しようとする志向が見られないことを、著者は批判しています。
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    投稿日:2014.02.26

  • nakaizawa

    nakaizawa

    (1996.12.19読了)(1996.11.02購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    知識人はなぜ既成権力の批判しかしないのか?知識人はなぜ大学やマスコミでの権威にかくも固執するのか?知識人はなぜ己の発言の過ちにかくも無責任でいられるのか?感情を強く単純に刺激する言説にしか反応できなくなった大衆と手を携えて、虚無主義の大海に落ちゆかんとする現代の知識人。本書で著者は、自らが知識人であることの意味を絶えず自問しながら、現代社会の権力者たちの実態に鋭く斬り込んでいく。出色の知識人論。

    ☆関連図書(既読)
    「歴史感覚」西部邁著、PHP研究所、1994.06.10
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    投稿日:2012.06.07

  • mc26

    mc26

    内容はすごく面白いですが、いつも通りの西部さんで難しい言葉がたくさん。微妙なニュアンスの違いを大事にしたい、言葉を知ってる人だから仕方ないかも。

    投稿日:2011.08.09

  • ひーやん

    ひーやん

    知識人にはどういうった種類があるのか。知識人は社会に対してどうあるべきなのか。解釈学的遡及や循環の話はとても興味深かかった。

    投稿日:2011.05.15

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