【感想】はじめての動物倫理学

田上孝一 / 集英社新書
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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ブクログレビュー

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  • まってぃ

    まってぃ

    このレビューはネタバレを含みます

    従来、牛耕や戦馬など動物利用は不正ではあるものの仕方のない必要悪だったが、今日ではその必要性が消失したため、単なる悪と化した。
    その前提には、「人間は常に主体であり、動物は客体である」という考えがあり、これに基づき、動物は生きた道具とされている。
    倫理的実践は、平常的な個人が常識的な努力で実現できるものでなければ意味がない。
    よって、ビーガンは今すぐには不可能であるが、フレキシブルに動物成分を避けるフレキシタリアンや動物成分を削減するリデュースタリアンを目指すのが現実的である。

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    投稿日:2022.10.09

  • しまじま

    しまじま

    倫理学知らない自分でも基本から説明してくれるのでありがたかった。元々の学問が難しいのでやや難解だったが、、、
    3章が兎に角エグい。動物との付き合い方を本気で考えさせてくれる本。環境倫理学の話は批判的な立場で述べられていた。確かに万人が実践できない倫理観を押し付けてるところがキツイと思う。マルクスに関してはそもそもマルクスに関する知識が個人的に浅いのでこれまた難解だと感じたが、言いたいことは分かった。
    生体売買は資本主義の悪い部分だと思うから、換えていかなければならない問題だと感じた。
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    投稿日:2022.07.31

  • ぽん

    ぽん

    触れたことのない動物倫理という学問。入門編にピッタリと思い手に取った一冊だったが、衝撃的な内容だった。人間が動物たちにしてきたこと、現在もしていること、正直目を瞑りたくなるもので、本を閉じそうになったのが本音。でも向き合わなきゃいけない、一人一人が知らなくてはいけない、そう諭してくれる本だと感じた。続きを読む

    投稿日:2021.10.13

  • なー

    なー

    このレビューはネタバレを含みます

    ペットや害獣駆除の話だけでなく、ブラッドスポーツに動物性愛、動物園や水族館など守備範囲は広い。特に本書は食肉生産と動物実験についての是非が中心。前者については実践に対する筆者の冷静なバランス感覚が絶妙。後者については医療用だけでなく食品や化粧品分野が小さくない市場であることを教えられた。
    映像資料が氾濫する現在において、動物園や水族館が歴史的役割を終えた遺物である…というのは納得できる。
    「動物」と一括りにされてるが、線引きがかなり曖昧。ある動物が苦痛を感じるかどうかは未だ未知のところが多いだろう。一説で魚類や鳥類が後付けで含まれるようになった経緯を知って、今だってまだ過渡期ってことよねと思った。

    積極的に自分のスタンスを表明したいほど動物愛護精神に富む訳でもないが、愛玩動物は生理的に受け付けないし、そもそも他の生き物を「飼う」=生殺与奪を握る、ってのは野蛮ってもんでしょ…とは言え、我が家に鉢植えはあるし、話し掛けたりもする。食物連鎖は現実だし、弱肉強食は原則だと思う。

    馬に代わる車がなく毛皮に代わる繊維がなかった時代と現代とで考え方が変わるのは当然だけど、科学技術の発達と社会的背景を絡めて先駆者の考察を追うのは、純粋に興味深い。

    「現代の常識である動物福祉的な見方」とあるが、現代日本社会に限定されるよね?
    「動物虐待が法で罰せられる」ってのも、少なくとも先進国諸国では普遍的なんだろうか?かなりお国柄があるような気もするけど。
    もっと言っちゃうと、動物の方は人間に危害を加えても、その動物社会内で何らかの制裁を受けてたりしないよね、恐らく?だから何よって言われても困っちゃうんだけど…。

    そもそも動物理解に乏しいヤツがこんな本読むなって言われると、全くその通りだろうし…歯切れ悪くてスミマセン。だって普段から、犬猫を飼ってることを声高に明言し、あまつさえ「あなたも飼ったら?」みたいなことを平気で言う輩に辟易してるんだもん…「ソレって虐待よね?」って言い返せる日が早々来るとは思えない、今のニッポン。

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    投稿日:2021.07.07

  • はる

    はる

    読書会の課題図書。一部極論がはいっていて受け入れられないな〜と思っていたけど、うまく否定する術がなく心に残る一冊。確かに動物園や水族館て今は要らないかもしれない。でも全ての動物が弱肉強食な世界で勝ち抜いた人間だけそんな譲歩って必要なのだろうか?
    大豆やらなんやらで肉らしいものは作れるかもしれないけど、それってよくSFで描かれてるディストピアじゃん。そこに向かってわざわざ邁進していく必要ってある?
    ただし愛玩動物については人類として責任を持つから、どうかこのまま繁栄させてください…。
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    投稿日:2021.05.22

  • い。

    い。

    このレビューはネタバレを含みます

    動物倫理学の入門書でもあるが、倫理学、厳密には規範倫理学の入門書でもあります。動物倫理学といえばお恥ずかしながらピーターシンガー氏くらいしか分からず、功利主義的な立場からの物言いは理解はできるけど、地球の裏側のキッズことまで考えられへんな〜という稚拙な印象しかなかった私ですが、本書では規範倫理学の3つ(2+1)の柱をもとに展開されていく動物倫理学を明快な文章で書かれていました。動物が可哀想という感情に訴えるのではなく、理路整然とした動物倫理学には批判すべきところが見当たらず私も小さい一歩から始めてみようと思いました。
    また、マルクス研究者でもある筆者は最終章でマルクスと動物倫理学を架橋しようと試みていてそこも独創的で興味深かったです。

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    投稿日:2021.05.13

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