【感想】「利他」とは何か

伊藤亜紗, 中島岳志, 若松英輔, 國分功一郎, 磯崎憲一郎 / 集英社新書
(57件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
10
21
13
1
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • kijinekodou

    kijinekodou

    冒頭の伊藤さんの話は分かりやすく読めたが段々、理解が追いつけず、最毒が必要と感じた。
    全体を通しての印象は「利他」も含め、一見、善い言葉も使うときには正しく理解しなくてはならないということ。特に利他はその最たるものの一つ、と思った。続きを読む

    投稿日:2024.04.03

  • しんみょー

    しんみょー

    うつわ的存在であることが大事

    今までは、「意思」という概念を使って帰責(その人に責任を押し付ける)ことが責任の概念のコアだと思っていたけど、國分功一郎さんは、中動態の概念を用いることにより、その「意思」を否定することで、神的因果性(人は運命に巻き込まれて行為させられる、あるいは、自らの行為かわ思ってもいなかった効果をもたらしてしまうこと)と、人間的因果性(その行為をその人間がなしたこと、加害者として人間を捉える)の両方を肯定し、責任を考えることができるという考え方には感銘を受けた。続きを読む

    投稿日:2024.03.11

  • yoshinar

    yoshinar

    そうそうたる顔ぶれがそれぞれに「利他」について説いているんだけど、何となく見えてくるものがある。特に、伊藤亜紗と中島岳志の利他論に学ぶところが大きい。すなわち……。
    利他とは、人のためになることのようなとらえ方が一般的だと思うけど、それを意識的にするのは「利他」ではない。何らかの気持ちのメカニズムが働くにせよ、本人的には説明がつかないうちに、自分のためでなく動いてしまうことが利他なのだ。
    一生懸命に利他的なよき人物であろうなどと努めてしまうが、そんなことを考えているうちはまだまだということだろう。考えてみれば、利己的な言動だってわざとそうしているのではなく、自然とそうしてしまうからこそ利己的なのだ。利他がその対極にあるのだとすれば、やはり自然と自分のためにならないこと、人のためになることをしてしまうのが利他というわけ。これが大きな学びだった。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.15

  • tetsuya44

    tetsuya44

    ここ数年で注目された「利他」を、東工大のなかにある「未来の人類研究センター」の5人が考察する。世界的にも、パンデミックを乗り越えるためのキーワードとして「利他主義」があげられ、「他者のために生きる」という人間の本質に立ちかえらなければならないと主張されることも。

    興味深いと感じたのは、利他が結果的に相手のためにならないケースが起きること、特定の結果を期待、予想した利他的な行動は、純粋に相手のためになるのか、という考察。また、先のパンデミックに関連して発言した経済学者のジャック・アタリは、利他主義を合理的な利己主義だと主張している。ほかに、幸福を徹底的に数値化して、効率的に利他を行おうとする効果的利他主義という考えもあるらしい。同じ寄付で、「より多くのいいこと」ができるのは、どの手段か考えて行動すると。

    後半は迷子になった。利他をキーワードに、時には哲学的な考察が続き、なかなか理解できなかったり。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.24

  • shinshu101

    shinshu101

    【信州大学附属図書館の所蔵はこちらです】
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC06190472

    投稿日:2023.03.13

  • motoko

    motoko

    中3生の模試の国語で、伊藤亜紗さんの『「うつわ」的利他』の一部が題材として出題されていて、興味をもったので読んでみました。
    「利他」は「偽善」「自己満足」「押しつけ」と紙一重で、特にネットではそんな言葉で全く関係のない赤の他人から揶揄されたり非難されたりする可能性もあって、最近はうっかり親切な行動もとれないような雰囲気があったりもします。だいたい、「偽善」「自己満足」「押しつけ」をすり抜ける「利他」ってどんなものなんだろう。そんな思いがありました。
    伊藤亜紗さんの章は読みやすく分かりやすかったですが、いちばん面白く興味深く読めたのは中島岳志さんの『利他はどこからやってくるのか』でした。志賀直哉の『小僧の神様』、チェーホフの『かき』、モースの『贈与論』に出てくる様々な贈与に関する慣習、「ありがとう」への違和感の話…ポロポロと目から鱗が落ちていく…「ふと」とか「思わず」とか、そういう「オートマティカルなもの」に動かされる。きっとそうなんだろうと思いました。
    國分功一郎さんの『中動態から考える利他ー責任と「帰責性」』は非常に難しくて、十分に理解できたとは思えていませんが、ここで述べられている「神的因果性」というのは中島さんの章で出てきた「オートマティカルなもの」と同じようなものかな、ととらえると少し分かる気がします。「中動態」については以前別のところで読んで、「そんな態があるのか!」と驚いたのを覚えています。自分の中で何かが動く状態を指す態。こんなことを思いつくなんて、学者さんて本当に本当に頭がいいんだなあ。

    「しよう」と思って善いことをするのも、いいことには違いないけれど、「思わずしちゃった」的にできればよりいいのかな。
    続きを読む

    投稿日:2022.12.15

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。