【感想】パンデミック以後 米中激突と日本の最終選択

エマニュエル・トッド, 大野 博人, 笠井 哲也, 高久 潤 / 朝日新書
(8件のレビュー)

総合評価:

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  • rafmon

    rafmon

    民主主義の失速と世界的な分断 ー というのが、本著の兼題だろうか。そもそも、資本主義は競争原理により資産を多く得るもの達を頂点とした階層化を進め、民主主義は資産に関わらず平等な発言権を目指すという、階層化を一定程度セーブする機能があったはず。民主主義の失速の一例としては、ビックテックの台頭により、最早、自由調整では是正仕切れない経済格差。持つものはとことん膨れ上がり、その強欲なスタイルを貫くために民主主義を支配する。

    一方で「分断」は、悪いことだろうか。
    異なる意見の存在を認める事も民主主義の基本機能であるはずが、異なる意見は、しかし「分断」の火種である。この火種を上手くコントロールするために民主主義があるならば、分断は、議論や選挙システムの中で調整、消化されていくのが理想だ。その決定事項で割りを食う人々が組織、国家単位で集団化する。利害の異なる集団を受け入れれば、現在の調整レベルでは、分断が加速する。そして、この「分断により統合し切れぬ隙間」を狙って強欲が入り込んだり、パンデミックが滲み広がっていった。

    トランプがもたらしたものは、保護主義と反中国という方向性。黒人はバイデンよりトランプ政権の受益者だが、87%がバイデンを支持。誤った投票行動だったとエマニュエル氏は言う。一方に分断を煽り、一方に結束をもたらす事で、「身内」を固める。それが民主主義の原動力ならば、議会制民主主義での調整機能など最初から成り立たず、本来は数が多いはずの大衆層が束になって資産格差を是正する力も乏しい。

    本著で語られるもう一つのテーマである人口動態と移民政策にしても、根源にはこうした「身内」の利害への強い不安感がある。移民政策ということを考えるときに、日本は過去に朝鮮に対して同化主義をとったという歴史が参考になるはずだ、とエマニュエル氏は言うが、つまり、日本は対立を調整するのは不得手であり、異分子を扱う事に慣れていない事の証左でもあろう。

    こういう事はパンデミック以前から問題化しており、寧ろ、パンデミックにより、例えばその対策における反ワクチン、マスク問題、ロックダウンの是非など、身に迫った問題として大衆がより強く危うさを意識したという事ではないか。民主主義のダークサイドに気付いた人たちのパンデミック以降、である。
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    投稿日:2024.02.23

  • ぐぬぬ

    ぐぬぬ

    このレビューはネタバレを含みます

    人口動態の専門家でそれに関しては納得できる内容だった。
    経済的な観点のみで政策を進めると長期的な視点を失いやすい、という記述にも同意。
    ただ、各国の経済政策については他の専門家の著書も読んで考えたいなと思った。

    概ねの主張としては
    今後新自由主義的なグローバルな政策から各国とも保護主義的な政策へ舵を取るべき。そういう局面に来ている。

    ナショナリズムと保護主義は=ではなく、差別をしなくても保護主義は達成できると著者は考えている。
    各国それぞれに課題がある。
    日本は何より人口動態の問題が深刻だが、能動的帰属意識がない。

    日本の制度や意識改革、既存の組織方針を刷新をするのは容易ではないので正直悲観的になりそうな気持ち。

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    投稿日:2022.11.20

  • hisa

    hisa

    このレビューはネタバレを含みます

    いろいろな人達のトッド氏の評判が高いので、著書を読みたいと以前から思っていました。

    本書ではコロナ、トランプ氏、中国、フランス、ロシア、ドイツ、欧州、グローバル経済・自由貿易と保護主義、日本の人口動態問題に関してのことが語られています。

    「ロシアは騙された。NATOが約束を破って勢力を拡大し、ロシアが追い込まれた」と。

    グローバル経済・自由主義は宗教に近い。自由貿易の「自由」とは奴隷制と関係がある。言葉遊び。世界の富裕層が、貧しい人々を安い労働力として使うということ。「自由」ということばそのものが嘘。
    自由主義者はいつもいかに支払いを抑えるかと考えます。しかし保護主義は国家がとる自然に備わった能力。社会のなかの力のバランスを変える、格差を解消し、エンジニア、科学者、モノを想像する人にアドバンテージがあるような社会へと移行する。保護主義とは何かを創造することで、生産やテクノロジーを考え、まず労働に何かしらの重要性を与えている。

    日本人向けのインタビューの内容でもあり、ほとんどは日本の人口動態の話です。
    聞き手の大野博人氏が:解決があまりにむずかしい問題を前にすると、問題自体をないことにしてしまいたくなる。


    選択肢は、今のままでいるか、変わるかではない。悪い方に変わるか、よい方に変わるか、でしかありません。
    日本の人口動態の問題は深刻。すべての政治を超えた、国の存続の問題。
    人口は減り、その人口も老いている、それはもう今までとは同じ社会ではあり続けられないという恐ろしいことが起こっているのに、日本人は議論はしても行動には移さない。
    他の問題ばかり語って人口問題を絶対的な優先課題にしないで後回しにできると考えているのであれば、それは日本の幻想。
    幻想として、問題の解決策が経済の中にあるように思っていること。少子高齢化の原因は家族関係、男女関係。

    明治維新の時は国民全体が大変な努力をした。
    明治時代の経済の方向の努力の方が物理的にはずっと大変だったと思う。 けれども当時は人々の間に非常に強い帰属意識があった。

    「”人口問題に取り組むには、とても強い帰属意識が必要。ただみんなで快適に一緒に暮らす、自分は日本人だとかいうだけで満足する、受動的な帰属意識とは違う、社会で物事を前進させる力。日本人同士で何かを一緒に成し遂げようと望む意志、国民の結束する力。
    人口動態問題で気づいたことは、日本は確かに文化的にはちゃんと存在する。しかしそれは能動的な私たちではない。それがあるなら人口動態にすでに取り組んでいたはず。
    これだけの日本の存続の危機に、手をこまねいて見ている日本人の社会に能動的な私たちがあるとは考えにくい。ナショナリズムでさえもありません。”」

    取り組まなければならない課題は、子供を持てるかどうか。社会は家族がいて、子供を作り家庭教育する。子供は色々なことを学び、働くようになる。でもそれは経済活動ではない。



    出生率が理にかなっている国では、人々の姿勢ではなく、制度的な仕組みが整備されている。

    プーチン氏・ロシア人は日本人と違って、ただ語っているだけではなかった。
    経済をあまりに重視しすぎると長期的な視点を見失います。
    人は労働力になる前に、生まれ教育を受けなければならないという事実を忘れてい待っている。長い歴史という時間軸で物事を考えていない。

    日本と韓国を比較すれば、一見日本よりも深刻化しそうな人口動態問題を抱えていても、中国国内に朝鮮人はたくさんいるし、北朝鮮ともやがて統一することを考えれば、日本とはまったく異なります。

    日本は島国で、自分たち自身であり続けたいと望むことを許されているように感じている。
    日本文化の基本的な特徴として、極端な礼節があります。他人に迷惑をかけないなどの日本人同士の中で暮らす技術。
    日本人は特殊な問題を抱えています。日本人なりの暮らし方があるせいだと思います。ただそれはそれでもっと深刻な問題でもあります。

    日本の安全保障問題に関しては、憲法改正問題を議論すること自体が、問題の本質から目を逸らさせ、むしろ中国の政治指導者のゲームの中に入っていくことにもなる。
    日本の歴史の基本的な部分はほとんど他国と戦争をしていないことは簡単に証明できる。
    帝国主義、植民地主義的な国だったのは極めて短い期間。
    人口の半分が50歳以上になるほどの老いた国の年齢構成の国にどんな防衛策が可能なのかの視点抜きで法律や装備を議論しても仕方がない。
    長期にわたって可能な防衛手段は核武装。

    安全保障という点でもまずは優先するべきは人口問題。

    東京は見た目は問題がない。でも地方に行けば、東京からそう遠くないところで、たとえば下田では、空き家、さびたシャッター、古ぼけた家財などを目にします。地方では、老化,老朽化、荒廃しているものを目にすることになります。

    複雑なことは理解しようとするともっと複雑になる。
    日本人には普遍的なものを追求する能力があります。日本人自分自身への信頼の問題。
    社会が出産と子供の教育に投資することこそが長期的に見返りのなる投資なのです。

    根本的に人づくりが大切なことで、確かに日本人全体が、根本的に日本の存続にもかかわる、大変深刻な少子高齢化の人口動態の問題から目を逸らしていると思わされました。

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    投稿日:2022.10.24

  • mimo

    mimo

    「大分断」が2020年7月に発行されているので2021年2月に発行された「以後」は新型コロナウィルスについての世界の知見が多少とも整い始めたころとなる。前著では民主主義の失速と後退の原因としての教育格差が語られ、日本の問題にも触れるという構成だったが、「以後」」は聞き書きであり、日本人が質問し、それに答える形で構成されており、より「日本について」語る内容となっている。
    トランプ大統領の業績についての評価から始まり、EUの問題や中国の行動原理など、トッド氏の家族制度による人類学的考察をもとにした、世界の見方についての視点は変わらず切れ味が鋭く示唆に富む。自由貿易と保護主義への転換については著書「自由貿易は民主主義を滅ぼす」からさらに考察を進めており、中国とロシアへの視点は現在起こっている「ロシアによるウクライナ侵攻」につながる歴史的視点が語られている。日本の問題についても丁寧に語られており、「日本は新自由主義にとらわれていて、一番大切な人口問題をなおざりにしている」は真摯な指摘であると感じた。人口動態という、一番大切な問題をなおざりにしては日本の本当の発展はありえないこと、出生率の低下の問題は制度の問題であり、女性の社会進出を促しながら女性や子供への支援をなおざりにすることは、最終的に国の存続を揺るがすことがはっきりと語られ、曇りがちな目を覚まされた思いを持った。巨大な知の一部分に触れることのできる一冊。
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    投稿日:2022.06.11

  • 澤田拓也

    澤田拓也

    本書は2018年7月から2021年1月までにAERAや朝日新聞などに掲載された6回のインタビューを大幅に加筆修正を行ってまとめたものである。雑誌や新聞では紙幅に制限があり、落とさざるを得なかった内容を加えたものである。

    著者のエマニュエル・トッド氏は親日家で、来日回数も10回を優に超え、速水融という人口学者とも深い交流があったという。

    雑誌向けのインタビューなので、紙面に乗せやすいように事前に答えがある程度想定される質問を投げかけて、それにトッド氏が答える形式のものが多い。その結果、著者が得意とする定量的なデータをもとに大胆に帰結を引き出すような論理的な記述は少なく、トッド氏のそれまでの主張をなぞるようなものが比較的多い。トランプ大統領の当選の可能性を示唆し、ドイツの強大化について危機を訴えてEUを批判、英国のブレグジットに理解を示し、自由貿易から保護貿易へのシフトを予想する。具体的には次のようなものだ。

    【トランプ大統領】
    ・トランプは個人的には不快感を持っているが、米国の歴史の中で重要な大統領だ。
    ・トランプは民主党政権が触れない「真実」を語っていた。
    ・トランプは外国人嫌いであって、人種差別主義者ではない。民主党の批判は不当だ。
    ・トランプ支持者は経済問題を最重要課題と捉えていて、明晰である。トランプは経済問題ではとてもうまくやった。
    ・黒人はトランプの保護主義の受益者であったが、投票行動と矛盾がある。
    【民主主義と自由貿易】
    ・民主主義はその始まりにおいて、他者排斥の要素を含む。
    ・自由貿易の弊害として、グローバリズムの拡大が格差を生み、民主主義を傷つけた。
    ・自由貿易から保護貿易に移行していかざるを得ない。ブレグジットやトランプ政権はそのあらわれ。どの程度の自由貿易なら社会が許容できるのかが課題である。
    ・グローバル化はもはやうまくいかない。国や国民を中心に再び結集する。資本主義を救うためには逆説的に国家が必要になる。
    ・フランスはEUによって製造業を失い、空洞化が進んでしまった。
    ・今米国で起きているのは、自由貿易のイデオロギーが人々の中でグリップを失っているということ。
    ・マクロン大統領は自由貿易の考えに囚われており、絶望的。
    ・共産主義体制は、資本主義は不平等を拡げるがどうすればよいか、というよい質問に対する誤った答えだった。
    【欧州問題】
    ・ユーロによって地域間に大きな経済的な壁ができている。ドイツのシステムがフランスやイタリアの産業を壊している
    ・欧州の問題は1900年以来つねに、ドイツが大きすぎるということだった。
    ・EUやNATOの拡大は米英の戦略であったが、結果としてドイツ支配権を拡大することにつながった。
    ・南北欧州の不平等の高まりや、ルーマニア・ブルガリア・バルト三国・ウクライナの人口減少を考えると欧州第三の自壊が始まっているのかもしれない。
    【ロシア・中国問題】
    ・米国はロシアと敵対するのをやめて、中国から引き離す戦略に転じるべき。
    ・中国は人口問題を抱え、対外的には世界の大国でありながら、対内的には脆弱である。
    ・中国は危ない国になってきている。日本は核防衛にも取り組むべきではないか。
    ・ロシアは暴力なしに、ある意味ではエレガントに共産主義体制から抜け出した。ソ連を解体し、ウクライナの独立さえ受け入れた。それに対して、ロシアは欧米に裏切られた。NATOの東進によりロシアを囲い込むことになった。
    ・第二次大戦後の欧州や日本に対する米国のように、西側諸国もロシアに対して寛大に対応するべきだ。
    【日本】
    ・少子高齢化という人口動態上の危機にあるのに、出生率の向上と移民受け入れに関して。それに見合った取り組みが行われていない。
    ・子供が生まれなくなっているから移民で埋め合わせるという話ではない。移民を統合するためにも子供が作られなければならない。
    ・日本では人口動態の問題は議論のテーマであって、行動のテーマではない。
    ・まずは、教育を受けた女性が仕事ができるし子供も持てる新しい社会を確立する取り組みを始めるべき。
    ・出生率が理にかなったレベルになっている国(フランスや北欧)では、制度的な仕組みが整備されている。例えばロシアは出生率を向上させることができた唯一の先進国で、調査団を派遣して参考にするべき。
    ・現在において豊かになるための経済政策を進める国は、将来に向けて貧しくなる。社会が出産と子供の教育に投資することこそ長期的に見返りのある投資になる。
    【コロナ禍】
    ・コロナに対しては、女性の地位が高い自由な国があまりうまく対応できなかった。
    ・新型コロナウィルスが高齢者の命を奪ったとしても、社会にとって深刻な打撃にはならない。むしろ高齢者を守るために経済を完全に止めたことによる影響の方が将来に禍根を残した。
    ・個人主義的でリベラルな文化の国(米英やイタリア)と権威主義の歴史がある国(日本・韓国・台湾・ドイツ)とで人々の振舞いに違いが生まれた。
    ・コロナにおいてフランス政府は無能だったが、フランス人は規律正しく振舞った。
    ・地政学的な意味での国際秩序の力関係は「コロナ後」も変わらない。

    インタビューものであることから論理的な深堀りが行われているわけではないが、トッド氏の考えを改めて整理することはできたかと思う。短くて、読みやすい。

    しかし、不満は『パンデミック以後――米中激突と日本の最終選択』というタイトルである。なぜ、このタイトルが問題だと思ったのかを以下見ていきたい。

    ①「パンデミック以後」
    パンデミック発生後に行われたインタビューは半分の3件のみである。そのうちの最新のもの(本書で最初に置かれたもの)は、パンデミックよりもトランプ大統領の米国についてのコメントの方が多かった。二本目も含めてコロナに触れる場合は、それまでの各国や指導者の対応にまでへの言及がほとんどで、パンデミック後の世界について何かを示唆するようなものはほとんどない。
    この本を、コロナ後の世界についてソ連崩壊やトランプ大統領就任を予測したエマニュエル・トッドが社会を分析してとがった予測をしているものだと思ったのであれば、それはタイトルのミスリードである。もし、パンデミック以後について語っているとすると、コロナによってはこれまでと大きくは変わらない、というものである。

    ②「米中激突」
    「米中激突」とタイトルは煽るが、米中対立関係はそこに触れられていないわけではないが、主題では全くない。どちらかというとドイツが帝国として欧州の覇権を握ることについての危機感や、EUの失敗を語ることが多い。何なら米中の激突ではなく、米国内の民主党支持層と共和党支持層や、上流階級と下層階級、異なる人種や移民との方がよほど激突を指摘されている。その米国については、著者がトランプの大統領選での勝利を予想していたことからも想像されるように、トランプ氏についての言及が多い。総じてトランプの保護主義的な経済政策は、結果としては論理的で有効な施策だったと語るところが刺激的だが、おそらくは何度か繰り返されてきた主張であり新味はあまりない。

    ③「日本の最終選択」
    「米中激突”と”日本の最終選択」とこの二つが関連するように書いているが、その二つはおよそ関係がない。日本についてトッドが問題と語るのは人口学者らしく、日本の高齢化問題についてだ。しかもその解決策は出生率の向上と移民施策とのみであり、何も具体的な政策などの選択肢を提示しているわけでも、この先に何が起きるかを予言しているわけでもない。そして、日本はそのことについて真剣に取り組んでいるように見えないと語るのみである。
    さらに言うと、パンデミック以後の世界における日本の選択について書かれているかのように誤解してもおかしくはないが、高齢化社会の課題について指摘したインタビューはパンデミック前に実施されたもので、パンデミックと日本という文脈はほとんどないといっていい。

    結論として、このタイトルは内容を示さない釣り文言の羅列であり、この短い新書をいかに売るのかだけを考えてつけられたものとしか感じられなかった。

    また、掲載したインタビューの順番が新しいものから古いものの順に並んでいるのも気になった。発言の趣旨を追うのであれば、当然その順番は古いものから新しいものの順に並ぶべきだろう。逆順に並んでいても大きな問題にならないというのは、その内容が浅いものであるということを示していないだろうか。

    トッド氏の主張は意味があるが、編集に真摯さを感じられなかったのが残念。
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    投稿日:2022.03.20

  • Ogawa Koichi

    Ogawa Koichi

    つい我々は印象だけで判断してしまう癖がある。
    物事は一つの視点だけではいけない。他者の異なる意見が大事だ。
    これは日本のメディアの課題が大きいと思う。
    世界で起きている大事なニュースを、なぜ日本では報道がされないのか。
    さらにいうと、それらを深く考察した番組などほとんど無いに等しい。
    若年層ほどテレビ・新聞を見ていないのは、現前たる事実だ。
    インターネットで自分の興味あるものだけを選択し視聴している状況では、ともするとこれら世界のニュースが置いてけぼりになってしまっている。
    それは自分自身も反省の意を込めてだが、やはり世界で何が起きているのかを知ることはとても大切だと思うのだ。
    さらに言うと、世界のそれぞれの人が、それらニュースをどう感じて見ているかを理解することも大切だ。
    我々は内に閉じこもっていないで、もっと外の世界に出ていかなくてはいけない。
    結局、トランプ大統領とは何だったのか。
    世界はどこに向かっていくのか。米中はどうなっていくのか。
    日本は世界からどう見られているのか。
    今現時点でも日本を取り巻く環境は相当に厳しい。
    かつてないほど隣国との関係性も難しくなっている。
    さらに本書でも述べているが、これだけ確実に少子高齢化問題が見えているのに、その対策がなされていないのは、もっと国民が声を上げるべきだ。
    政治家も「何とかしなければいけない」とは言っているが、具体的行動にまで発展し、結果を残せているものは正直見当たらない。
    高齢化していく、さらに人口が減っていく、というのはすべての問題の根源的課題だ。
    国家の安全保障の面から言っても、若者がいない国がどうやって国防していくというのか。
    元々数が少ない貴重な若者を、国防のために駆り出していいのか。
    それでは国防はお座なりにしていいのか。
    世界は日本国内のことなどを興味がないかもしれないが、「どう対応するのか」については興味があるらしい。
    日本の対応次第で、中国・韓国・北朝鮮との関係性にも影響があるからだ。
    逆にいうと、日本はもっと世界に目を向けなければならない。
    ロシアと中国との関係性も、昔の共産主義の文脈で語られた印象のまま止まっていてはいけない。
    そして日本の中でさらに興味が薄いのが、欧州の出来事だ。
    ドイツ・フランス・イギリスの関係値。
    東欧はロシアとの関係性が今どうなっているのか。
    私自身も詳しくはないのだが、こういうことを日常から語る習慣があってもいい。
    中学校時代の社会科の授業じゃないが、社会人が気軽に国際社会を学べる講座みたいなのがあってもいい。
    そして情報に踊らされずに、自分自身の考え方で意見を述べられるようになりたいものだ。
    (2022/2/20)
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    投稿日:2022.02.20

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