【感想】災害特派員

三浦 英之 / 朝日新聞出版
(11件のレビュー)

総合評価:

平均 4.6
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ブクログレビュー

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  • チーニャ、ピーナッツが好き

    チーニャ、ピーナッツが好き

    「南三陸日記」の読後、さらに

    ‘’もう一つの南三陸日記‘’

    という作品があるのを
    かなさんの本棚で気がつき手に取りました。

    こちらも素晴らしい作品で、一緒に読むことができて本当に良かったなと思いました。
    かなさん、ありがとうございました。

    「南三陸日記」のバックグラウンドというような、さらに詳しい内容のようでもあり
    理解がもっと深まったように思います。

    本書は、震災10年を機に
    著者が被災地で1年住み、繋がった人達についての事や、自分が被災者達に向き合い寄り添いながらも、ジャーナリストとして仕事する上で怒鳴られてしまった事などの
    様々な葛藤や、
    心身を削るような災害特派員という仕事であるため
    (ジャーナリストたちが受けるPTSDについてなど)あえて感情乱れたりするような文章そのままに主観的に綴られた回想録、手記の作品でした。

    この作品も前作同様、涙無くしては読めなかったのですが、前作に出てくる人達の
    10年後の強く頑張って生きている様子なども
    付記されていたので、ほっと胸を撫で下ろし良かったなとあったかい気持ちにもなれました。

    東日本大震災から13年も経って
    想像を絶するような辛い体験を
    同じ国に住む人達がしているというのに
    時が過ぎれば過ぎるほど被災者でない、当事者でない私は忘れてしまいそうな自分を思いました。
    「風化させない」為の一つとしてこのような本は手に取らないと、という思いになれました…

    地震大国日本、今年のはじめに起こった能登地震でもそうでしたが、いつどこで何が起こるか未来は、ほんとうにわからないですね…

    作中に登場する渡辺龍カメラマンの言葉が心に残りました
    「未来のことなんて誰にもわからないからこそ明るい写真を撮りたい」と。

    「未来へ笑顔の5歳」と題した
    復興工事中の被災地をバックにして
    園児二人が手を繋いでいて、はじけるような笑顔を見せている写真もこの作品に収められていました。
    胸に響く写真を多く遺された方だと
    いうことも知りました。

    かなさんが、以前にこの写真を見るだけでも手に取って欲しいとレビューされてました…この本手にしなければ私は見ることは無かったでしょう。
    …この二人も今も元気に、大きくなってることでしょうね…!

    三浦英之さん…
    素晴らしい作品でした…。
    ありがとうございました。
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    投稿日:2024.03.13

  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    369

    「東日本大震災から10年。あの時、記者は何を見て、何を感じたのか──。2011年3月11日の地震発生翌日に被災地に入り、18日間最前線を歩き回って目撃した「惨状」。その後新設された「南三陸駐在」の記者として、現地の人々と1年間生活を共にした回想録。」

    三浦英之[ミウラヒデユキ]
    1974年、神奈川県生まれ。朝日新聞記者、ルポライター。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で第一三回開高健ノンフィクション賞、『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(布施祐仁氏との共著)で第一八回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で第二五回小学館ノンフィクション大賞、文庫版『南三陸日記』で第二五回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞
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    投稿日:2024.01.14

  • かな

    かな

    東日本大震災の翌日に被災地入りし、その後南三陸町に駐在しコラムとして1年間被災地の現状を発信続けた「南三陸日記」は素晴らしい作品でした!涙腺緩みっぱなしで…でもただ悲しく切ないだけでなく、被災した皆さんの生きる強さや人々の絆を描いた感動作でもありました。

    もうひとつの「南三陸日記」とあるように、その頃、筆者がどんなことを感じ、どう行動したのかを、筆者の言葉で回想し綴ったこの作品もまた素晴らしいです。ジャーナリストとして被災地の現状をそのまま伝えたいと思いはあっても、それは被災した人々を苦しめることになり得ないか…日々葛藤し、自身も体調を崩され苦しい思いをされたこともあったことも赤裸々に描かれています。「南三陸日記」とリンクしている場面も結構あります。

    心に残ったのは、筆者と同時期に被災地の取材を通して交流のあった、巻頭に記された「渡辺龍に捧ぐ」の、渡辺龍氏が最期に撮影した写真、「未来へ 笑顔の5歳」…復興工事の進む被災地を、園児二人がまるでスキップするかのように楽しげに手をつないで…本当にいい笑顔なんです!!ジャーナリズムの本懐ってこういう作品を世に知らしめることなんだと、私は感じました。この写真、この作品にカラーで掲載されているので多くの方にこの写真だけでも見てもらいたいなぁ~そう思わずにいられませんでした。
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    投稿日:2023.03.12

  • ken567

    ken567

    東日本大震災から10年。当時、著者は新聞記者として南三陸町に約一年住みながら記事やコラムを世に送り出した。本書は著者の取材体験を綴ったもの。
    すでに出版された他の作品と同様に、そこに生きる(生きた)それぞれの人に焦点を当てた文章は心に沁みる。
    また現地を駆けずり回る報道記者たちの連帯や、悲惨な災害を取材することの戸惑いや葛藤、ジャーナリズムのあり方にも話は及ぶ。
    涙なくして読めないが、読んで泣いて忘れてしまってはいけない、と思った。
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    投稿日:2022.05.13

  • おっちゃんモノノフ

    おっちゃんモノノフ

    ダメだってこんなの。 号泣してしまった。

    #白い土地 を読んで、気になっていた著者。新聞記者でありながら事実を淡々と 伝えるだけではなく、現地に駐在し現地の人々に寄り添い、人の心の襞にまで入り込む取材を続けた著者の、第一級の書籍である。

    16000人と言う死者の数に比べれば、ほんの一握りかもしれない。ただ取り上げた人物、背景、 寄り添う心にはかなり心を動かされた。

    短期で取材をしヒットアンドアウェイで戻るのではなく、現地に住み長期的に取材をする姿勢は大いに賛同できる

    すごいの一言。言葉を扱うプロフェッショナルという枠を超えて、事実+α、人の心を伝えることができる言論人として尊敬する。
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    投稿日:2021.11.17

  • め

    このレビューはネタバレを含みます

    2011年3月11日、私は福岡の実家で変わらぬ日常を過ごしていた。揺れてもいない。津波も来ていない。「3.11」の記憶は、テレビの映像だけで形作られている。「人を殺すのは『災害』ではない。いつだって『忘却』なのだ」。この言葉を聞いた時、ドキッとした。生半可な覚悟では受け入れられない被災地の現実。目を背け続ける私も、あの日を忘れていく側の人間だということを痛感させられる。

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    投稿日:2021.07.04

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