【感想】春霞ノ乱 居眠り磐音(四十)決定版

佐伯泰英 / 文春文庫
(2件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • Sachi

    Sachi

    「居眠り磐音」40巻は、おめでたにて開幕です。

    天明3年(1783)の春、磐音とおこんの間に2人目の子が誕生。女の子で、睦月ちゃんと名付けました(そういえば1人目の男子空也が生まれたのも正月でした)。年の瀬には、南町奉行所定廻り同心木下一郎太と瀬上菊乃の祝言もあったので、この年末年始はおめでた続きでありました。

    さて、本巻の一大事は、磐音の生国豊後関前藩の江戸との藩物産取引きにおいて、不正が行われているかもしれないという疑惑が浮上したこと。磐音は、関前藩の江戸留守居役兼用人となった中居半蔵からその話を聞かされ、調査を頼まれます。その不正は、幕府に知られれば〈豊後関前藩にお取り潰しの沙汰が下されても致し方ない、それほどの大罪〉でした。なにしろ殺人事件まで起こっていたのです。

    ラスト、船倉の暗闇の中での死闘は、あまりの緊張感にハラハラヒヤヒヤドキドキ、手に汗握りました。南町奉行所の年番方与力笹塚孫一の登場には、うれしくてニヤニヤしちゃったけど。

    ところで、磐音夫婦の第一子空也が成長し、言葉をよく覚える年ごろに。磐音に手を引かれて「父上、どこに行くんだい」と言ったのにはぶっ飛びました。竹村武左衛門(磐音の友)の娘早苗(尚武館道場で奉公中)が、「空也様、お話し相手は父上様でございます。参られますか、と申されませ」と正してくれたから良かったけども。

    空也のこの発言は、おこんの父金兵衛(空也にとっては祖父)の下町言葉に影響されたものです。磐音が「わが家は、舅どの、今津屋のような大商人から武家方となかなか多彩な人士との付き合いがある一家ゆえ、幼い折りに言葉が混在するのは致し方なかろう」と言うように、この時代は言葉づかいにその人の身分や職業があらわれるのですね。現代にはない、言葉の彩りの豊かさを感じ、これぞ時代小説の味わい、と読書の喜びに浸るのでした。
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    投稿日:2020.10.23

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    文藝春秋公式

    【関前から新造船で江戸にきた意外な人とは?】磐音は、関前藩留守居役の中居半蔵から、実父正睦が藩物産取引で不正を働いた疑いありと告げられる。磐音は探索を命じられるが…。

    投稿日:2020.09.17

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