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池内了 / 岩波少年文庫 (21件のレビュー)
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ゆきんこ
石川県を旅した際、行きたかった雪の科学館。今回は日数的に難しかったので次回の楽しみとし、中谷宇吉郎先生のエッセイを読むことに。ユーモアとウィットに富んだ内容に驚いた。気に入ったエピソードの一つは、摩擦…電気の実験をしているY君が正しい実験結果を得るためにビーカーや皿を全部氷で作っていて、実験が成功したら「ひとつ氷のコップで葡萄酒の乾杯くらいはしても良いかもしれない」と。なんだこの洒落た感じは!季節の表現も詩的で素敵。「6月、大学の楡の梢に郭公が鳴き始めるとまもなく…そして白い日傘が、よくあざやかな緑の芝生の間に見かけられるような日がしばらく続く。それにもいつの間にか気がつかないようになると、もう夏休みである。セルの感触を乾いた肌に楽しんでいるうちに、夏休みになってしまうのは、少し贅沢なようであるが、…清々しい札幌の夏を、できるだけ長く享楽することにしている。」 出てくる人物が、湯川秀樹先生、寺田寅彦先生などこれまた錚々たるメンバーである。湯川先生が歌を読んだり、美しい字を書かれたりすることも書いてあった。「…皆が心得ておくべき事は、湯川さんはノーベル賞をもらったから、偉い学者なのではなく、偉い学者だったから、ノーベル賞をもらったのだ、ということである。」 長岡半太郎vs寺田寅彦の回も興味深かった。学界における地位と権威のある長岡先生に対しても歯に衣着せぬもの言いで意見する寺田先生。大勢の弟子たちの前で手ひどくやっつけられても、感情的に激昂することも全然なかったという長岡先生。大物!皆が「寺田先生も偉かったが、やっぱり長岡先生も偉かったなぁ」という意見に頷く。 「ケリイさんのこと」の章では、老婆とケリイさんの言葉や人種を超えたコミュニケーションがすごく良かった。「言葉は一言も通じなかったが、言葉などはいらないもので、あの老婆が言いたかった事は、全部わかった。そして、思っていることもすっかり読みとれた。日本人の『言うこと』が、あれほどよくわかったことは、今までになかった」 一番好きだった章は「米粒の中の仏様」。十勝岳の針葉樹がいかに生長が遅く、大切にしなければならないものであるかということを山番の老人が言っていた。「この老人の目には、山奥の木の生命が、まるで国家の生命のように見えるらしかった。内閣がどうなろうか、対英米問題がどうなろうが、この老人にとっては、雪に枝を垂れた針葉樹の密林が亭々としてそびえている間は、日本の国は安泰だと思われるように見えた。」火燵で丸くなって眠るミミー、その仔猫の命名者である子供たちは絵本の切り抜きに夢中になっている…こんなにも美しく、未来永劫大切にしていきたいことが、1938年に書かれていたわけである。続きを読む
投稿日:2024.01.19
青菜
線香花火の燃え方を観察した際の文が、科学的な説明と文学的な表現が混ざっていて印象に残った。こんな美しい見方をできるようになりたい。
投稿日:2024.01.05
アワヒニビブリオバトル
第99回アワヒニビブリオバトル「大学・学校」で紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。 2023.5.13
投稿日:2023.05.13
rh12
・文章がうまい…本を開いてすぐに「文章が信じられないほどうまい」と感嘆し、次々と読んでいたのですが、最後に収録されている『イグアノドンの唄』が極め付きに素晴らしく、ただその素晴らしさの裏の悲哀に愕然と…しています。『「ほらここに印をつけてあるだろう。ここで初めてプテロダクティルを見たんだよ。プテロダクティルって、翼のある竜なんだ。戦闘機くらいもあるかな」。ここらあたりで、下の子供はもうすっかり興奮してしまって、すうすうと寝息のような息をしている。そして眼を光らせながら、身動きもしない。」という、この素晴らしい描写をされた子供の行く方を知ってしまうと本当に辛い。どのような思いでこれを記したのかと思いを馳せています。『それでよいのだ、生きる者はどんどん育つ方がよいのだと、私は目をつぶって寝入ることにした。」この末文もそうですが、それぞれの締めくくりの文章が抜群に良いのもあります。「そしてこれだけの大事件があっても、後になってそれがあとをひくというようなことがほとんどなかった。日本の学界のためには、慶賀すべきことであった。」「曙町の狸爺、一人でニヤニヤしている姿を御想像被下度候。」寺田寅彦氏も文章の名手ではありますが、私は文章の締め方から中谷氏に軍配を上げたいと思いました続きを読む
投稿日:2022.09.19
宮野賢治
エッセイ集なので、軽く読めるかと思いきや、専門的な内容。筆者自身が体得されている「科学の愉しさ」が文章から滲み出ている。科学的な物の見方の入門書として最適。 特に「立春の卵」での「少なくてもコロンブス…以前の時代から今日まで、世界中の人が間違って卵は ただ無いものと思っていただけのこと」で「今日にでもすぐに試してみることが大切である。」から、筆者の科学に対する姿勢がわかる。 また「イグアノドンの唄」での子どもに伝説の怪物がどこかで、ひそかに棲息しているのかもしれないと語りかける姿から、科学者としてのロマンを感じました。 とても人間味のあるエッセイでした。続きを読む
投稿日:2022.04.03
1080magic
茶碗の湯気から物理全体へ話を広げる。「ろうそくの科学」を思わせる。そのほか軽妙洒脱なエッセイ。今の中学生には難しいかな。
投稿日:2021.03.05
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