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白井カイウ, 出水ぽすか / 週刊少年ジャンプ (1件のレビュー)
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沙都
『このファンブックは禁断の扉です。あなたの夢を壊すかもしれません。』 先日完結したマンガ『約束のネバーランド』(約ネバ)のファンブック。「あなたの夢を壊す」という言葉は伊達じゃなく、原作の白井カ…イウさんと担当編集者の各シーンのコメントは、設定の裏話やネタバレ通り越して、ストーリーの構成や演出上の必要性であったりまでも語られる。 ゲームとかマンガの設定資料集や製作者インタビュー、映画のパンフレットなんかは、結構好きな性質ですが、それでもこのファンブックのコメントの内容の濃さ(と文字の細かさ)は、ちょっとビックリしました。本当にファンというか、作品の裏の裏まで知りたい人のための一冊だと思います。 「約ネバ」といえば、個人的に世界観とストーリーが好きで、このストーリーや設定って連載前に相当練られてるんだろうな、と思いきや、ジャンプ本誌に掲載される直前に決まったものが多いことにビックリしました。 主要な登場人物の生死、脱走の計画などといった物語の根幹にかかわることが連載中、その話がやってくる直前で決まったり。 さらに中盤での鬼との対決では、敵を強くしすぎて、倒し方が分からなくなり(これは『ジャンプ』あるあるだそう)、終盤近くで「アテがなくもない」というセリフがあったのですが、白井さんも担当編集さんも「アテって何だ? アテなんてあるのか?」となったり。 でもこれは別に構成が行き当たりばったりだった、というわけではないそう。週刊誌の連載という特性上、次の週への引きを作るという意味で、計画や構成を変更したりということもあったそうですが、 何より印象的だった言葉は『週刊連載は「できる範囲」だけでやっちゃうと、途端につまらなくなりますからね』という担当編集さんの言葉。 そして編集さんの面白くするための〈無茶ぶり〉に応え続け、自らもギリギリまでアイディアを練り、修正し続けた白井さん。「約ネバ」もとい、特に週刊誌のマンガの名作たちっていうのは、これがあったから生まれたのだろうな、と思います。 もう一つ印象的なのは、作画を担当した出水ぽすかさんに対しての、白井さんの圧倒的な信頼。個人的にも鬼の造形とか、遺跡の風景の描き方はすごいなあ、と思ったのですが、ストーリー中心に見ていたので、絵についてはあまり細かく見ていませんでした。なので、このファンブックで改めて作画の重要さを感じました。「約ネバ」を読み返すときは、絵も改めて味わいたいと思います。続きを読む
投稿日:2020.12.31
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