【感想】欲望の資本主義4 スティグリッツ×ファーガソン 不確実性への挑戦―コロナ危機の本質

丸山俊一, NHK「欲望の資本主義」制作班 / 東洋経済新報社
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  • katsuya

    katsuya

    資本主義を考える月間5冊目。ジャーナリストのファーガソン。日本は「定常状態」。成長は止まり、高齢化がすすみ、変化を求めない人が多くなる。サッカーの日本代表になることも、ウィンブルドンで優勝することもない、絶頂期は過去のものという諦念に満ちている。これを政策等で変化させるのは困難。歴史上、定常状態を脱するきっかけとなったのは、戦争や大災害、疫病の流行など。これで考えると、東日本大震災とコロナ禍は日本が変わるチャンスかもしれない。なお、経済成長は栄養状態の改善、衛生面の向上、住環境の充実などをもたらした。定常状態で生き延びた社会はないということも覚えておかなければならない。一方、スティグリッツは、市場、国家、市民による新たな「社会契約」が必要と主張。新自由主義が最優先する市場を、国家や市民とバランスの取れた位置に戻す必要があると。現在のような過酷な状況下にも関わらず、日本でもバブル期以来の株高になっている。これは、支出が減少したことで増えた貯蓄の一部を株式投資に振り向けていること、低賃金の労働者が増えていることで企業業績が伸びていることなどが要因。つまり、ますます格差が拡大することになるということ。最後に紹介されたウリケ・ヘルマンの言葉「市場経済など存在しない。あるのは資本主義のみ」というのはまさに本質をついていると思う。「健全な競争」「努力と成長」「イノベーションの誘発と促進」などという耳触りのいいキーワードに、易々と誤魔化されているではないかという批判的な視点を持って考えたい。続きを読む

    投稿日:2021.02.13

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