【感想】日本を愛する外国人がなぜ日本企業で活躍できないのか? 外国人エリート留学生の知られざる本音

九門 大士 / 日経BP
(4件のレビュー)

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ブクログレビュー

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  • 土木D&I2.0

    土木D&I2.0

    この本は、日本企業において外国人労働者が活躍できない状況を、留学生の言葉として伝えてくれる。日本で働きたいのに、特定の属性に当てはまらないからと排除される状況を放置して良いのだろうか。(菊)

    投稿日:2023.10.29

  • Mkengar

    Mkengar

    外国人留学生と(それを受け入れる)日本企業のあいだの認知ギャップが、アンケートやインタビュー、そして日本企業のケーススタディを通じてわかりやすく解説されている良書だと思います。個人的な意見ですが、日本企業が人材面で多国籍化するためには、まず事業のグローバル化(海外売上の増加)がすすまないと難しいのではないかと考えます。しかしこれは鶏と卵の議論でもあります。海外売上比率を高めたいから外国人を雇うということも当然あるでしょう。しかし外国人を雇えば海外売上が増えるかというと、この因果関係はかなり怪しい(運にも左右される)のに対して、何らかのきっかけで海外売上比率が高まった日本企業は、さすがに日本人だけでそれを継続するのは無理だと自覚するでしょう。この場合にはかなり高い確率で外国人就業者も増えると考えます。ただし著者も述べているように、最後はお互い(外国人留学生と日本企業)の歩みより、そして共感が必須であることは間違い無いと思います。もう少し言えばコミュニケーションギャップの解消が急務だということでしょう。私は個人的に、もっと日本人がマイノリティの立場を体験するチャンスがあれば良いのにと思います。海外に住むのが一番手っ取り早いですが、他の企業に一時出向するだけでも、自分がいかに異質か、そして他者と違うかを色々と感じることができるはずです。そしてそれを感じ取れた人は、外国人留学生の心境もかなり汲み取れるようになると考えます。続きを読む

    投稿日:2023.05.06

  • syamada

    syamada

    これからのビジネスで、組織に多様性を持たせることの重要性を考えるきっかけとなる本です。人口減少での労働力不足が社会課題となりつつある一方で、日本で働きたいのに働けない外国人が多いという問題を取り上げる中で、日本企業がこれから生き残る上での雇用の課題を教えてくれます。これは、外国人だけの問題ではありません。多様性を受け入れない企業は日本人からも選ばれなくなる可能性が高まるということでもあります。企業の経営者や採用関係者に加えて、外国人、日本人の新入社員などとのコミュニケーションに悩むビジネスパーソンの方も、読んで知っておいた方がいいことが書かれている1冊だと感じました。

    【特に覚えておきたいと思ったフレーズ】
    「これまで日本企業は、組織内で『同化』の圧力が強く、それが外国人社員の『日本人社員化』のような現象を生んでいる。ダイバーシティ(多様化)とインクルージョン(包括)を意識し、外国人社員が自身の個性を維持しながら、組織の一員として『受け入れられている』感覚を持たせることで、『才能』が生かされる組織になる。」
    「日本企業はハードの人事制度などは整備するが、ソフト面のコミュニケーションを今までどおり『あうんの呼吸』でやろうとするので、外国人はわからない。面倒でもお互いに議論を続けていくと、理解できるようになる。」
    「多様な人々がいる環境で学び働く際に大事な資質は『共感(エンパシー)』。多様性が増して世界が大きく分断されていく中、自分と違う人の立場に立ってその人の気持ちを理解できる力は、これまで以上に大切。」
    →こういったことは、外国人採用だけでなく、新卒採用をはじめとする日本人の採用でもこれからますます重要になるはずです。人種が同じでも、世代などの違いでも価値観の相違は生まれます。変化を受け入れる、変化に柔軟な組織を作ることが、生き残るためには欠かせないのだと思います。

    【もう少し詳しい内容の抽出】
    ・海外人材の獲得は、企業のみの問題ではなく、社員や大学などの利害関係者を含め社会全体での合意がないとうまく機能しない。まず、日本企業のマネジメントの強みと弱みから、どんな制度が求められているかを整理すべき。変化は必要だが、単に外国の方式を取り入れてもうまくいかないのでは。

    〇日本で働きたい留学生
    ・今後も高等教育機関と呼ばれる大学や大学院などに優秀な留学生が増え続けることは考えにくい。今増えているのは、日本語教育機関や専門学校への留学。出身国・地域を見ても、発展途上国からの留学生の割合が増えている。
    ・一方で、国内市場が縮小している中、日本企業は海外展開が必要で、多様性によるイノベーションを起こすための外国人材が必要という環境は続く。日本で働きたいという外国人は増えており、この機会を生かすことは大切。
    ・日本企業は、留学生にも日本人と似た資質を求めている。特に、留学生の第一関門は日本語力。単なる日常会話ではなく、採用時から試験レベルで高度なものが求められ、入社後はさらにネイティブ並みになることが求められる。これは「同質化」を求めているということ。
    ・一方で、企業は外国人としての個性や感性を生かしたいという「多様性」を求めており、矛盾する。本来ならダイバーシティによって、互いに刺激を受けながら新たな発想やビジネスが生まれることが大きなメリットだが、現状では外国人社員が本来持つ才能を生かしきれない。

    〇日本本社のグローバル化
    ・日本企業は人材育成でOJT活用が多い。働きながら専門性を身につけていきたい場合は、日本企業のほうが合う。日本企業側の改善は必要。欧米留学者や各国の現地大学を卒業した人たちは、即戦力が求められる欧米系企業のイメージが強い可能性が高い。違いを理解してもらう必要がある。
    ・外国人は、必ずしも「ジョブ型」にこだわるわけではない。むしろ、1対1型のコミュニケーションやフィードバックなど、ダイバーシティ・マネジメントやキャリア開発的なアプローチが必要。空気を読むことを期待せず、言葉で頻繁にコミュニケーションを取るべき。本人のキャリアの意向を確認して支援するとよい。

    〇外国人のキャリア観を大事にする
    ・グローバル化する世界では、相手の文化や価値観に配慮しながらコミュニケーションを取ることはますます重要になるが、「自分を知る」ことを忘れがち。異文化間コミュニケーションだけでなく、将来のキャリアを考えたり、リーダーシップを発揮したり、様々なことにつながる「人生のコンパス」となる。
    ・企業は外国人受入時に、個々が日本で働く理由や背景についてもっと理解すべき。個々に応じたキャリア開発支援に必要。企業の現場の管理職や担当者は、気品的な状況も知らないのが現状。外国人社員は自分のキャリアへの考えを深め、日本人社員は背景を理解するという歩み寄りが大事。

    〇資本主義のあり方が問われている
    ・格差拡大や環境問題などの是正に向け、経営者に従業員や社会、環境にも配慮した「ステークホルダー(利害関係者)資本主義」を求める声が高まっている。新型コロナウイルスでの景気の悪化が、これまでの変革の流れを加速させている。
    ・こうした状況だからこそ、利他的な発想で地球全体が持続可能な社会のあり方を考えることが必要。今後のZ世代などソーシャルを求める世代が主要な消費者になることを考えると、実は変革することが将来的な利益を生む。

    〇留学生を生かすために(まとめ)
    ・入社前は、①採用目的の明確化・採用方針の社内共有、②外国人材の採用方針・実績の積極的な公表・発信、③採用時点ので日本語能力にこだわりすぎない、④留学生向けインターンシップの拡大、の4つがポイントになる。
    ・入社後は、①キャリアパスを踏まえた配属・異動の説明機会創出、②評価・処遇の基準を明確にして丁寧にフィードバック、③組織開発でソフト面の改善を図る、の3つがポイントになる。
    ・これまで日本企業は、組織内で「同化」の圧力が強く、それが外国人社員の「日本人社員化」のような現象を生んでいる。ダイバーシティ(多様化)とインクルージョン(包括)を意識し、外国人社員が自身の個性を維持しながら、組織の一員として「受け入れられている」感覚を持たせることで、「才能」が生かされる組織になる。
    ・ダイバーシティを生かしたイノベーションには、①少数派への配慮、②「日本人社員化」を求めない、③組織システム全体の多様化、の3つが重要。
    ・日本企業はハードの人事制度などは整備するが、ソフト面のコミュニケーションを今までどおり「あうんの呼吸」でやろうとするので、外国人はわからない。面倒でもお互いに議論を続けていくと、理解できるようになる。
    ・多様な人々がいる環境で学び働く際に大事な資質は「共感(エンパシー)」。多様性が増して世界が大きく分断されていく中、自分と違う人の立場に立ってその人の気持ちを理解できる力は、これまで以上に大切。
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    投稿日:2021.03.09

  • フラビオ

    フラビオ

    2020年10月23日読了。日本で学ぶ留学生の日本・海外企業への就職に対する意識・実際と改善点を、講義・討論・企業人事へのインタビューなどからまとめる本。アジア・欧米各国の留学生たちの発言も多く収録されており生々しくて面白いが、反面ただ学生たちの発言を羅列したような章も多く、良く言えば臨場感があり、悪く言うと散漫・著者が何を言いたいのか捉えられず少々読みづらい。日本企業が海外の留学生の新卒に対し「空気を読む力」「日本語力」を求め、留学生が「日本に同化し過ぎている自分に疑問を持つ」あたりすごい皮肉だ…。留学生にも、日本のようにジョブ型でなく働きながらキャリアを決める仕組みを指示するものもおり一律に考えるのもよくない、というのは興味深かった。しかし、鬼のような競争にさらされた上就職もできないという、中国で大学生をやりたくはないな…。続きを読む

    投稿日:2020.10.23

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