【感想】森の中に埋めた

ネレ・ノイハウス, 酒寄進一 / 創元推理文庫
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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ブクログレビュー

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  • ovacaci

    ovacaci

    オリヴァーの少年時代からの因縁の事件が題材でなかなか読みごたえがあった。ちょっとびっくりしたのは登場人物の説明で人数が4-5ページ分と多かった。最初の10人ぐらいは警察署の人たちなのでシリーズ物ということもあり覚えていたが、それ以外の40人ぐらいは初登場だった。また家族、一族の人数が多く姻戚関係が覚えられなかった。でも面白いので次の最新作も図書館で予約済み。続きを読む

    投稿日:2022.03.27

  • fuku ※たまにレビューします

    fuku ※たまにレビューします

    ドイツの警察小説・オリヴァー&ピアシリーズ第八作。

    一年間の長期休暇(サバティカルというらしい)を年明けに取ることにしたオリヴァー。今回は休暇前の最後の事件となる。しかし事件の被害者や関係者はオリヴァーの知人ばかり。更にはオリヴァーにとってはとても苦い、少年時代に起きた不幸な事件を甦らせることにもなる。

    これまで様々な国内国外様々な警察小説を読んできたが、警察官のキャラクターも様々。悪徳警官もいれば正義感の塊のような警官もいる。どんな悪意や憎悪も跳ね返す強いメンタルの持ち主もいれば、いつまでも引き摺ってしまう警官もいる。
    オリヴァー自身は事件と上手く距離を取って来た、などと評価しているが、これまでシリーズを読んできた人間からは引き摺られまくりのごく普通な人間だ。そして今回、彼の少年時代が明らかになったことでその印象は更に強まった。

    貴族階級の生まれでスマートで優しくて、でもどこか気弱で鬱屈を抱えている。少年時代の彼は正にそのままだった。いわゆるリーダー格の不良少年たちに逆らえず、何とか距離を保って付き合っていた図が目に浮かぶ。

    改めて、舞台のルッペルツハインという地域もコミュニティも狭くて、人間関係が濃いなと思う。オリヴァー自身、町の人たちは子どもの頃からの付き合いが多いし、あるいは親の代、さらにその上の代からの付き合いもある。
    なのにオリヴァーは友人や知人同士が結婚したり別れたりしたことを知らなかったりもするのだが。
    それにしてもこういう場所で警察官の仕事をするのはやりにくくないだろうかと改めて思う。特に今回はピアが心配して捜査から外れるように助言するほど事件はオリヴァーの周囲で起こる。

    相変わらずのページ数と長い人名と登場人物の多さでなかなか読み進まなかったが、結末としては謎が解けてスッキリした部分とあまりの身勝手さ残酷さに腹立たしい気持ちとが織り混ざる、シリーズお約束の読後感だった。
    そして思うこと。オリヴァーは女性を見る目がない!元妻といい、元彼女といい。今回の彼女カロリーネはどうだろうか。上手くいくと良いのだが。
    そして娘のゾフィアはこれまた元妻に似て厄介な感じ。これからも苦労しそうだ。

    一方のピア。オリヴァーに代わり今回の事件の指揮を取っているがすっかり慣れたもの。たまにヒステリックになることはあっても上手くチームを率いている。そしてオリヴァー休暇中は後任として課長になることが決まった。

    既に次作は本国で発売されているようだが、オリヴァーは不在で物語が進むのか、ピアはどんな活躍をするのか。訳者さんの予告によるとピアの家族にまつわる秘密が明かされるらしい。

    ※シリーズ作品一覧
     本国での出版順なので日本語翻訳版の出版順とは違います。
    (★はレビュー登録あり)
    ①「悪女は自殺しない」
    ②「死体は笑みを招く」
    ③「深い疵」★
    ④「白雪姫には死んでもらう」
    ⑤「穢れた風」★
    ⑥「悪しき狼」★
    ⑦「生者と死者に告ぐ」★
    ⑧ 本作 ★
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    投稿日:2021.11.17

  • 0071

    0071

    オリヴァー&ピアシリーズ第8作目。

    あらすじ
     キャンピングカーが炎上、男性の焼死体が見つかる。車の持ち主はオリヴァーの幼なじみの母。しかし施設に入っていた彼女も殺害される。焼死体もオリヴァーの幼なじみだとわかる。さらに次々と事件が起こるが、どれもオリヴァーの昔の知り合いばかりだ。彼には昔、行方不明になった幼なじみと、子キツネのペットがいた。捜査を進めるなかで、オリヴァーの墓地から骨が見つかる。さらに、以前の恋人、インカも関係があるようだ。

     面白かったー。ページの厚さはシリーズの中でも最厚?登場人物も多かった。そんなちょっとのハードルをすっ飛ばすようなストーリー展開。オリヴァーの過去・人間関係を一掃するかのような本作品。これまでの伏線をすべて回収するように事件が起こっていた。もうシリーズラストなのかなと思っていたが、ドイツではまだ続いているらしく、楽しみ。
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    投稿日:2021.10.15

  • sana

    sana

    オリヴァー&ピアのシリーズも8作目。
    重厚な部分と、生き生きと親しみやすい部分を兼ね備えたシリーズです。
    前作「生者と死者に告ぐ」はミステリとして枠組みがユニークで、スピーディな展開と感じました。
    作は、オリヴァーの過去に関わる、シリーズ中でも重要な作品です。
    こういう展開になることを見据えて書かれていたシリーズだったのだなあと認識を新たにしました。

    オリヴァーは、主席警部。
    長身で男前の、性格もなかなかいい方の50代。
    少し年下のピアは部下で、相方、金髪で明るい性格。恋人というわけではないのですが、夫婦よりも一緒にいる時間が長いほどでもあり、信頼し合う間柄です。
    キャンプ場でトレーラーが爆発、放火事件とわかります。トレーラーの所有者は高齢で施設にいましたが、そこでも事件が。
    さらに‥
    オリヴァーの住む地域で、怪事件が起きていくのです。

    オリヴァーはフォン・ボーデンシュタインという貴族の家系の出で、今は昔のように領地があるわけではありませんが、城では弟がレストランを経営、観光地となって存続しています。
    村人は皆、子供の頃からよく知っている人ばかり。
    実は40年も前に、少年の行方不明事件がありました。ロシアからの移民の子で孤立気味でしたが、オリヴァーは守ろうという意識があった。
    それなのに、守れなかった…
    それは心の奥の痛みとなって残っていたのです。

    次第に明らかになっていく過去の事情。
    登場人物が多いのは大変ですが。
    年月が経っていったことを感じ取りながら、オリヴァーが確かめていく家族関係や様々な変化。
    それを描き出していく筆力と、容赦のない真実。

    離婚から何かと不安定だったオリヴァーが、前作で知り合ったお似合いの女性と付き合っていることが救いです。
    オリヴァーを心配していたピアは胸を痛めますが。
    真相が明らかになったことは、やはり救いともなるのでしょう。
    期待通り、期待以上の、読みごたえがありました。
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    投稿日:2021.10.13

  • はらだ

    はらだ

    ネレ・ノイハウスは初めて。
    マジめっちゃ面白かった!
    犯人が読み終わる間際まで分からない展開がたまらない。読み終えるのが勿体なく感じた。
    文章もキャラも、そして作者が伝えたいメッセージも濃く深くて良かった。
    良いミステリー、というよりホント良い本に出会えた読書時間だった。
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    投稿日:2021.08.13

  • マッピー

    マッピー

    このレビューはネタバレを含みます

    行きつけの図書館の司書さんから、個人的にお借りした本。
    分厚くて、読んでも読んでもまだ大量に残りがあるという幸せな読書でした。

    さて、前作の「生者と死者に告ぐ」は、割と早めに動機が分かり、容疑者が次から次へと出てきて、真犯人は誰?状態だったけど。今作は700ページ中600ページをすぎても容疑者がわからない。
    真の動機も見えてこない。

    40年前に行方不明になったオリヴァーの親友。
    ドイツの片田舎に突然現れた、ロシアからの帰国者家族である彼らは、村からは異端者として排斥される。
    だからオリヴァーは、彼を守ることを大人たちに約束したのに、たった一回、見たいテレビを優先して、家に送りとどけなかった日に親友は姿を消した。

    オリヴァーは40年間自責の念から解放されることはなかった。
    初めてそのことをカロリーネに打ち明けたとき、今までオリヴァーは心から人に気を許したことがなかったことに気がつく。
    だから結婚生活、数々の恋愛が上手くいかなかったのか。

    少年の頃のオリヴァーの友人たちとの遊びは、たわいのないものとは言えないような危険なものや、反社会的行為もあり、秘密を共有することが仲間である証であることを強要される。
    それは徐々にオリヴァーが彼らから距離をとることになるのだけど、彼らは「ロシア人」のせいだと逆恨みする。

    ひとりの少年が行方不明になった。
    これが、生まれも育ちもこの村の子なら、大人たちも親身になって探してくれただろう。
    けれど彼ら「ロシア人」はよそ者なので、誰も親身にはなってくれなかった。
    ひとりひとりが少しずつ見ていたなんらかの違和を、どこかですり合わせることがあったなら、40年後のこの悲劇は起こらなかった。

    真犯人に気づいたオリヴァーが、こんなに自分勝手で残酷な犯人を知らないと思うのだけど、このシリーズはみんな自分勝手で残酷な人が犯人だと思う。
    そこを救い取るのが、この作者は本当に上手い。
    子どものエゴイズムに乗っかった大人のエゴイズム。
    今作はそれにつきる。

    ”社会病室者とナルシスト。進化論に基づいて被造物の頂点に立っていると思い込んでいる連中だ。一見しただけでは少しも犯罪者に見えない人間、それも社会的に高い地位を与えられた奴。愛嬌があり、話し好きで、仕事も成功しているが、同時に虚言癖があり、人心操作に秀でていて、要求水準が異常に高い。”

    社会病室者がどういうものかわからないけれど、こういう人は結構いる。
    関わらないでいられたらそれに越したことはないけれど、もし逃げられない距離に沿う人がいたら…。
    空気を読めずに地雷を踏んだことが何度あることか。
    それでも生きています。ありがたいことに。

    さて、次はピアの家庭の話だそうです。
    いつ読めるかなあ。

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    投稿日:2021.04.04

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