【感想】現代戦争論―超「超限戦」- これが21世紀の戦いだ -

渡部悦和, 佐々木孝博 / ワニブックス【PLUS】新書
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 4.6
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ブクログレビュー

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  • 横

    戦争は、まさに最先端技術の戦いであることを証する書籍

    韓非子、孫子、三国志の話があり、もはや、目的のためには手段を選ばない、制限を加えず、あらゆる可能な手段を採用して目的を達成するのが現代戦と言い切っている。
    孫子曰く、戦わずして勝つ。米軍が戦場に到達する前に、全てを決する、中国の見えない戦いが紹介されています。

    かって、陸海空の3軍といっていたものは、陸・海・空・宇宙・サイバー空間・電磁波・認知領域(誤情報、偽情報、悪意ある事実)の7領域について、全領域にわたっての総合戦争と位置付けています。さらに、政治戦、外交戦、経済戦、文化戦、宗教戦、貿易戦、心理戦、メディア戦、歴史戦、技術戦、デジタル戦、ネットワーク戦が挙げられている。

    世界は、米中の戦いとなっています。湾岸戦争以来、米国の独断場であった情報戦については、いまや、中露の得意とするところとなっている。

    中国の技術的なねらいは、①半導体、②5G,③デジタル工作機械、④ロボット、⑤航空宇宙、⑥海洋エンジニアリング、⑦ハイテク船舶、⑧先端的鉄道、⑨省エネ自動車(MaaS?)、⑩電力、⑪大型トラクター、⑫新素材、⑬バイオ、⑭高性能医療機器の14分野である。

    中国、人民解放軍(PLA)には、サイバー部隊が15あり。有名なのは、①61398:上海北米担当、②61419:青島日韓担当、③61565:北京ロシア担当、④61726:武漢台湾、南アジア担当、⑤61486:上海宇宙通信傍受班である。

    最先端の兵器
    ・AIをつかった自立型兵器、無人攻撃機、無人ビークル
    ・ドローンスオーム 小さなドローンを多量に制御する、防ぎようがない
    ・ミサイル(超音速、長距離、衛星破壊)
    ・量子レーダー(ステルス、潜水艦を無効化)
    ・妨害(ドローン、電波)
    ・レーザ兵器
    ・原子力魚雷

    目次

    はじめに

    第1章 現代戦とは
     1 「超限戦」の本質
     2 現代戦の特質
     3 現代戦と最先端技術
     4 情報戦(政治戦、影響工作、プロパガンダ戦など)とは
     5 宇宙戦とは
     6 サイバー戦とは
     7 電磁波戦(電子戦)とは
     8 AIの軍事利用・アルゴリズム戦

    第2章 中国の現代戦
     1 中国が考える現代戦
     2 情報戦
     3 宇宙戦
     4 サイバー戦
     5 電磁波領域の戦い(電子戦など)
     6 AIの軍事利用:アルゴリズム戦
     7 最新兵器

    第3章 米国の現代戦
     1 米国が考える現代戦
     2 情報戦
     3 宇宙戦
     4 サイバー戦
     5 電磁波戦(電子戦など)
     6 AIの軍事利用
     7 最新兵器

    第4章 ロシアの現代戦
     1 ロシアが考える現代戦:ハイブリッド戦
     2 情報戦:中核となる影響工作
     3 宇宙戦:他領域の戦いを無力化
     4 サイバー戦:戦わずして勝つ戦い
     5 電磁波領域の戦い(電子戦など):他領域での戦いを支援
     6 AIの軍事利用:ロシアの戦いを根本的に変革
     7 最新兵器

    第5章 現代戦の総括と日本の現代戦
     1 現代戦の総括 
     2 日本の現代戦

    おわりに 「超限戦」の煌きと闇
    続きを読む

    投稿日:2022.11.24

  • digestif

    digestif

    国防についてウクライナの現状も見ながら考え直す機会になる。今の日本の現状では国は守れない。侵略国家にはなってはいけないが、侵略される国であってはならない。国民一人一人が真剣に現実を見て考えるべき。

    投稿日:2022.08.02

  • 亞綺羅

    亞綺羅

    借りたもの。
    喬良『超限戦 21世紀の「新しい戦争」』( https://booklog.jp/item/1/4040822404 )を受けて、現在の日本周辺の国々の軍事力・戦略的傾向を受けて、超限戦がどのように想定・実践されているか、また、日本はどの様に対抗してゆくべきかを元自衛隊将校らが論じ模索する一冊。
    ……日本側の結論としては、「全てにおいて遅れている」に尽きる。
    TVなどで取り上げられている正面装備だけが国防ではない。ハードではなくソフト、組織運営の迅速化が重要であることを痛感する。
    そのために各戦術での膨大な情報分析におけるAIの活用を強く訴えている。実際、各国それに力を入れている訳で。ディープラーニングであれ、機械学習であれ、仕組み(因果関係)のブラックボックス化があるため、すべてを頼り切ってはならないが、補助としての重要性を指摘。
    兵器の効果や成功制度を上げるためのAI、情報分析のためのAI……サイバー戦や宇宙戦然り。
    『超限戦』で取り上げられていたハイブリッド戦の各項目が、中国でどの様に実践・運用されているかが項目毎に言及されており、非常に興味深い。

    また、アメリカ、中国、ロシアの軍需傾向も解説されていて中々興味深い。
    特に、アメリカは正面装備の解説が具体的で、ロシア・中国はソフト面からの規模の大きさ、攻勢が伺える。
    最も、日本には米軍基地があり国防を頼っている現状、こうした情報が共有されやすいためだろう。イデオロギー的に対立関係にあった中露の情報は明確には言えないだろうし、目立つのはネットやAIを駆使した情報戦だ。
    中国は官民一体となって人海戦術でハッカーを活用できる。
    ロシアのフェイクニュースクロール工場による情報戦(世論操作)や、隣国ウクライナのネット環境をロシアが抑えていたために、軍事関係のネットワークも掌握されてしまい、2014年にクリミア半島を割譲されてしまったことを考えると。
    デイヴィッド・パトリカラコス『140字の戦争』( https://booklog.jp/item/1/4152098627 )然り。
    また、アメリカ大統領選への介入に関して、あえて痕跡を残して民主主義への不信を植え付けたという指摘が衝撃だった。

    …ちょっと情報量が多すぎて浅学の私には頭がオーバーヒートしてしまった。が、現代戦を知る上で多くの学びがあった。
    続きを読む

    投稿日:2022.05.27

  • myjstyle

    myjstyle

    読んでいてゾワゾワ感が止まらない。「超限戦」とは戦時と平時を分けずボーダーレスに戦いを仕掛け、いざ戦争が始まった時には圧倒的優位に立つことを良しとする軍事思想です。この理論によると今現在も吾国は中国から戦いを仕掛けられていることになります。例えば、アカデミアは軍事に協力しないとかメディアの9条堅持とかの利敵な行動の背景には中国の関与があるということですね。習近平の演説では「デジタルエコノミー、AI、ナノテクノロジー、量子コンピュータなどの先進的領域での協力を進める。ビッグデータ、クラウドコンピューティング、スマートシティ建設を推進し、21世紀のデジタル・シルクロードをつなぎ合わせる」と国家の進む道を示します。こんなハイレベルなワードが並ぶ演説を日本の宰相から聞くことはありません。むしろ、ポストコロナの日本経済は先進国に踏みとどまれるかが懸念されるくらいです。中国に伍して行くことはできるのでしょうか?この考えが既に情報戦に篭絡されている?「超限戦」の思想は「三体」の暗黒森林理論を彷彿させます。続きを読む

    投稿日:2021.09.09

  • ゴンチャロフ

    ゴンチャロフ

    喬良・王湘穂『超限戦』が出版されたのは1999年(邦訳は共同通信社2001年)。2人の人民解放軍大佐が書いたこの1冊の本は、現代戦が目的のためには手段を択ばず軍事・非軍事のあらゆる領域において行われるものであると主張し、中国の独善的な外交政策と相俟って話題を呼んだ。2020年1月に邦訳が角川新書として復刊されたのを受けて、元自衛官の研究者2人が「超限戦」に対抗する「超『超限戦』」を追求したのが本書である。先ず情報戦、宇宙戦、サイバー戦、電磁波戦、AIの軍事利用など現代戦の諸相について概観し、中国、米国、ロシアでの具体的な状況を明らかにした上で、最後に日本がとるべき道を提示している。しかし、我が国が目指すべき「自由とか民主主義などの普遍的な価値観を基盤にした王道を歩む戦い方」(=超「超限戦」)は示唆されるだけで、結局は各領域で遅れをとっている日本は各国に追いつかねばならないという主張に終始しているように思われる。覇道には覇道で対抗し得て初めて王道も唱え得るということか。続きを読む

    投稿日:2021.01.18

  • たけ坊

    たけ坊

    超超限戦というタイトルは筆者の願いであって、何についての本かといえば現代戦とはどういうものかをわかりやすく説明するもの。
    1999年に世に出た超限戦、そこには戦争以外の戦争で戦争に勝つという思想が書かれている。そして現代戦は陸海空宇宙サイバー電磁波の6つの作戦領域全てで戦われることが前提である。
    このような現代戦に対しての米中露の取り組みと、それを受けて日本はいかにあるべきかについて説いている。新領域では攻撃側が圧倒的に有利にも関わらず日本は相当に出遅れており、米中技術覇権争いに対して国家ぐるみの態勢構築を主張している。
    続きを読む

    投稿日:2020.12.04

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