【感想】LGBTとハラスメント

神谷悠一, 松岡宗嗣 / 集英社新書
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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  • ミラク

    ミラク

    「LGBTとハラスメント」を読んでみた。
    基本的なことは大体知ってる……と思っていたけど、説明できるほど知ってるわけではないので『漠然とした知ってる』が『ちゃんと形になってる』と思った。



    でも……言葉が多すぎだし、カタカナにアルファベットばかりで、『知るかそんなもの!!!』という気分もある。
    興味範囲の知識はあるけど、それでも複雑と思ってしまうのだから、興味のない人からみると『何がなんだかわけが分からない』な感覚もわかる。



    ざっくりと基本は『いろんな人がいるから、言動(言葉や態度)には気を付けよう』と言う事。
    さらに『嫌だと言われたら、それはやめておこう』 「なぜなのか、わからない」でもいいから、『やめる』

    言葉はその後でいいし、「何かそんな感じ」程度の知識でいいんじゃなかろうかと、個人的には思う。



    章ごとの感想。
    序章は基本的な言葉の確認と、知識。
    ……大体知ってる。けど、ここにさらに複雑怪奇なものも入ってくるんだよなぁとか……思ってしまった私。
    性別の話だから、性別で区切られてるけど、『異生物』の場合や『無機物』の場合も入ってきたら……と考えてしまった。



    一章二章三章は「よくある勘違いのパターン」として、LGBTの困りごとを書いてある。
    読みながら、「あー。あった。あった」と思いつつ、でもこれ、別のジャンルでもよくある事だろうなと思った。
    「LGBT」だけじゃなくて、「発達障害」「鬱病(メンタルヘルス)」etc.
    さらにここに、非当事者の勘違いではなくて、当事者自身もまた勘違いに囚われていたりする。
    ……非当事者なら「お前に分かるものか」で済ませるけど、当事者だと……色々地獄な感じがしてどう対応していいのか分からなくなる。



    パターン1の「LGBTではない=普通」というものなんて、ありきたりすぎるけど。
    非当事者だけじゃなくて、(ビアン)当事者も「私たち普通じゃないから、辛いよね」と、こっちに同意を求めてきたりする。
    いや。『普通ではない』と思ってしまう事が辛いのであって、『普通ではないから辛い』のではない。
    そして私は、恋愛なんて千差万別だと思ってるので、異性愛者だって辛いこと沢山あるさと思っている。なので、「同性愛は普通ではないから辛い」には同意できない。



    パターン8のLGBTの友達はLGBT
    昔々、SM趣味の知り合いがいた。で、ある時、旅行に誘われた。
    行かなかったけど、その知り合いが友達も一緒に来るから……と言っていたので一応聞いてみた。
    「もし私が、あなたと一緒に行く事になっていたら、もしかして私はその友達からSM仲間だと思われてた?」と
    「当然。みんな知ってるから」と返ってきた。
    ……。
    LGBTに限らず、友達は同類と思うのはよくある事。
    でも、勝手に同類と思われるのは困る。
    人類という同類であることに違いはないけど、それ以外の事を勝手に『同類』にしないでほしい。

    パターン9「LGBTのようにみえる」と勝手に決めつける人たち
    これの逆パターン。
    「えー。(ビアン:女性同性愛者に)みえない」と、他のビアンさんから言われたことが、何度かある。
    ……すみません。ビアンの世界がよく判りませんが、『ビアンっぽい』ってあるんですか?と聞きたくなった。
    どうやら、ボーイッシュ(男っぽい感じ)な人=ビアンっぽい……のかなと思ったのは、かなり後になってから。
    かと思えば、「ボーイッシュな人の何が良いの? 女の子同士でイチャイチャしたいのに」というビアンさんもいる。
    よくわかりませんが、ボーイッシュ同士かフェミニン(女の子っぽい感じ)同士かで別れているのか???と未だに疑問に思う。
    ビアンの世界の謎。

    パターン15「私は気にしない」が「差別しない」だと思ってしまう人たち
    とある異性愛者(既婚さん)にカミングアウトした後、「私は気にしないよ。そんなの」と言った人がいる。
    その後で「男性が嫌いだから、女性なの?」と盛大な地雷を踏んでくれた。
    『気にしない』というのは、本当にそのまま『気にした事がない』だけで、分かっているわけではない。
    気にしない人間ほど、地雷を踏む可能性が大きい。

    パターン16「私はLGBTの友人がいるから理解がある」と思い込む人たち
    昔、「自分は鬱病になった事があるから、鬱になってる(診断されたことはない)ミラクの事が分かる」と豪語した人がいる。
    当時私はおそらくうつ状態で、自傷行為も酷かった。
    が、その言葉を聞いて、「わかるわけないだろ」と思える平常心は持ち合わせていた。
    同じ状態だと診断されたとしても、『人それぞれ』なので『わかる』なんて事は口が裂けても言えない。
    私は同性愛者らしいが、他の同性愛者の事なんぞ全く分からないし、理解できるとも思えない。
    もちろん、理解出来たらいいと思うし、分かり合いたいとも思う……でも、出来るのはそこまで。
    ……そして大体、理解できずに終わっていく。

    パターン18 制服の問題がトランスジェンダーだけの問題だと思う人たち
    雪国暮らしなので、冬は寒いです。
    ずっと制服の学校で小学校はズボンがあったのに、中学に入ると消え去りました。
    高校も同じく……私の足が凍える冬を6年間耐えました。
    寒さ対策として、『防寒具』を要求したいです。トランスジェンダー云々ではなくて。
    むしろなぜ、トランスジェンダーが絡まないと制服が変わらないのか謎すぎる。

    パターン20初対面ですぐ「彼氏/彼女いるの?と聞く人たち
    昔々、「彼氏いるの?」と聞いてました。私。
    初対面でいきなりではないし、ちゃんと相手の様子を探りながらだけれども。
    そこで、言いよどむ。誤魔化す。などの反応を見て、こちらがカミングアウト。
    同性愛者を探すには最適な質問なのです。
    今はやらないケド……。


    四章・五章は人事や労務など、会社での話がほとんど。
    ……ちょっと難しいので、読み流し。
    色んな施策があるんだなと思った。


    カミングアウトのお話しも書いてあった。
    上記にも私がカミングアウトをしたという話を書いたけど、
    これは『職場で一部の人(同性愛者)にのみ』と『話の流れで話した、趣味仲間』のみ。
    職場の年齢層が低かったのもあって、恋愛話はよく出て来てたので、性別を言わずに話していた。
    ……個人的にはいつ気がつかれてもいいやと思ってたけど、「相手は変わった男性なのね」で終わった。
    意外と気がつかないものなんだなと思った。
    一応、家族にも言ってあったけど……家族の反応は『冗談でしょ』と言った感じで流された。
    父には、ネタにされるという地獄付き。

    カミングアウトは世界が変わるとも思わないし、特に必要がないので、理解も求めてない。
    地雷を踏んでも……まぁ。凹むけど、『分からないモノ』に対しては誰でもそんな感じなんだろうなとも思う。
    私もうっかり地雷を踏む事はあるので、人の事は言えない。

    悪意だけは勘弁してほしいけど、幸い同性愛者であることで悪意を向けられたことはない。
    むしろ、女性である方が生きづらい(平気で踏まれる事が多い)と思ってしまった。
    同性愛者でも「体で誘惑したんでしょ」なんて言われないけど、女性と言うだけで「体で稼いだんでしょ(営業の仕事を体で誘惑して稼いだ)」と言われたことはある。
    LGBTの本なので、LGBTの生き辛さを書いてあるケド、イマイチピンと来ない。それは女性差別の方が酷いからだと思う。



    でも、LGBTの基本を押さえるには良い本かなと思う。
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    投稿日:2023.12.14

  • minusion

    minusion

    最近は、ハラスメントの研修をしている側だったけれど、LGBTに関しては理解が浅かった。一人一人価値観は異なるので個別に対応すれば良いのだと思っていたが、すでに性別欄があったり男女の結婚が当たり前だったりする大前提で苦しんでいる人が多く、ハラスメント対策に組み入れなければいけないものだったのだと改めて感じた。
    少しずつ勉強して、進めていきたい。
    続きを読む

    投稿日:2022.11.30

  • もん

    もん

    2022/07/22 読了

    差別するつもりがなくても差別は起きる。
    だからこそ正しい知識をつけることが必要。
    自分の身を守るため(無意識に法令を犯さないように)、
    そして相手を傷つけないためにも、他人への影響力を持つ人たちには読んでほしい本。

    LGBTの人たちも同じ人間。
    だから相手を尊重してコミュニケーションを取れれば、問題は解決するだろう。
    ただ、自分が「相手を尊重している」と思うのと、相手が「自分は尊重されている」と感じるのは別物。
    本当に「相手を尊重」できる人は少数派だろう。
    だからこそ、具体的な事例が載っているこの本は、多くの人に読んでもらいたい。
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    投稿日:2022.07.22

  • どら

    どら

    現時点で語れる法的根拠やよくある「勘違い」パターンをぎゅっと濃縮し、かつ分かりやすくまとめた良書。当事者視点から見ても丁寧で大袈裟ではなく、きっちりまとめ上げられていることに好感が持てる。

    LGBTがテーマになっている本がたまに陥るモヤりポイントとして「LGBTのことしかテーマに挙げない」というのがあるけれど、この本ではそこだけではなく、もっと他に困る人もいますよね、おんなじですよ、とちゃんと書いているのが良いと思った。

    LGBTがそれぞれどういうものかとか、どういったことに気をつければいいかとかももちろん大事だけれど、「こういう発言をしたら/行動をしたら相手はどう思うか」という代入行為が上手く行かないときに軋轢というものは生まれるわけで。
    このテーマに限らず、他人への配慮を持って言葉をつかい、行動することが大事ですよね。
    続きを読む

    投稿日:2021.09.19

  • rururu

    rururu

    LGBTQについての細かな疑問、ハラスメントについて書かれた本。
    LGBTQが自身にとって遠い存在である。ということが間違いであると思わされた。
    またLGBTQへのハラスメントには、自分もやっていただろうという点も見受けられる。それが命やアイデンティティに関わる問題であると思い知らされる。続きを読む

    投稿日:2021.06.24

  • aoikinomi

    aoikinomi

    管理職をしていると自分の言葉の重さに気づく。
    何気ない言葉が誰かを傷つけたりしていたかもしれない。

    LGBTQの事例を知ることで、言葉の配慮を知り部下の力を伸ばす管理に努めたい。

    知ることは力だ。

    投稿日:2021.05.04

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