【感想】教育は何を評価してきたのか

本田由紀 / 岩波新書
(28件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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9
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ブクログレビュー

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  • kaz.f

    kaz.f

    日本経済の停滞や低賃金は、過去からの教育政策が原因とし、後半の提言で具体案が出ている。
    教育の専門家でない個人としては、現在の教育制度や企業の形について直感的に肯定的な意見を持っている。
    スキルが給与に反映しない社会、メンバーシップ型雇用の国というのも愛すべきひとつの個性と考えた場合に、急激な教育や制度改革は国レベルでの多様性が失われないか。OECD同等を目指して埋没するんじゃないかという気がする。続きを読む

    投稿日:2023.09.06

  • あやこ

    あやこ

    「能力」という言葉が何を指すのか、歴史的経緯を丁寧に紐解き、現代の日本の教育制度が抱える問題に鋭く切り込む1冊。新書、しかもKindle Unlimitedとは思えないボリュームで、随所に本田先生らしさが散りばめられている。続きを読む

    投稿日:2023.04.16

  • Daichi.O

    Daichi.O

    日本における人間の「望ましさ」とは何なのかを他国との比較や戦前期から近年までの日本の制度や政策を「能力」「態度」「資質」の言葉の用法に踏み込んで論じている。その中で、垂直的序列化は格差を生み、水平的画一化はふるまい方や考え方を強要(同調圧力)してきた背景があり、これからの時代には水平的多様化が必要であると著者は述べている。
    個人的にも格差や貧困、マイノリティ、少子高齢化や人口減少等を考える上でも、多様性や柔軟性は必須と考えるため、排除の仕組みを変えていくことや誰ひとり取り残さない政策は国としても、小集団のグループにしても必要と思う。そして、能力だけで人を判断するのではなく、多様な生き方を受け入れる社会が求められるのだと思う。自戒も込めて。
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    投稿日:2022.12.27

  • yagi1238

    yagi1238

    このレビューはネタバレを含みます

    「能力」「資質」「態度」という3つの言葉に着目し、教育勅語から新教育基本法までの政府のスタンスの変遷を整理している。

    ⚪︎政府のスタンスは、以下のように変遷してきている。
    ・戦前から戦中は、国民国家化が進むのと比例して水平的画一化が強まっていった。
    ・戦後は「能力」をベースとした垂直的序列化の傾向が強かったが、ゆとり〜脱ゆとりの流れの中で、新教育基本法にあるように、水平的画一化が再び強まっている。
    ⚪︎現在の社会的な要請は以下である
    ・属性や状況を問わずあらゆる人々の存在が尊重され、基礎的な生活を保障されるとともに、それぞれのアイディアや得意なことを存分に伸ばしたり発揮したりすることができて、適正な報酬を得て、社会全体の基盤整備と再分配や福祉のための公的財源に寄与するような社会状況を、従来の固定観念や差別的な意識を超えて作り出して行くことが不可欠である
    ⚪︎現在生じているギャップ
    ・垂直的序列化は、生まれながらの格差や不平等を再生産し、正当化する
    ・水平的画一化は、上から与えられた価値観や規範への同調を強いえ、異なる考え方や感じ方を持つものを排除する

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    投稿日:2022.08.29

  • 君羅 好史 | 城西大学 薬学部 医療栄養学科

    君羅 好史 | 城西大学 薬学部 医療栄養学科

    『教育は何を評価してきたのか』

    「能力」「態度」「資質」の磁力に注意を向け、それらが持つ弊害を意識すること。これらの言葉を使わずに「自分」を語れるようにすることが水平的多様化への一歩か
    子どもたちが学ぶことの楽しさを感じられるようにしていかないとだなぁ
    #読了 #君羅文庫 #岩波新書
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    投稿日:2022.01.12

  • kayohiko

    kayohiko

    最初に日本の特殊な状況を示すデータと、その特殊な状況の要因になっていると思われる日本の教育の特徴が紹介され、それが歴史的に形成されてきた経緯が推察されています。

    端的には教育が個々の人の幸せにつながっていない状況が浮き彫りにされていて、その原因として、「垂直的序列化」「(「相対的で一元的な「能力」に基づく選抜・選別・格づけ」)「水平的画一化」(「特定のふるまい方や考え方を全体に要請する圧力」)が挙げられています。

    特に、具体的に職業につながるスキルの教育が手薄であるというのが興味深かったです。日本には普通科が多く、ひたすら一般的な能力や知識を養成される一方、具体的なスキルを身につける機会はないまま職業につく場合が多いということです。

    国の政策としてはそうやって具体的なスキルを身につけるパスが用意されると多少なりとも幸福につながるのかもなあと思うし、意識の面では、結局個々の人が、個々の場面で言及される「能力」はある特定の観点で見た評価でしかなく、他の観点や基準もあると理解するかどうかという問題なんだろうなと思いました。
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    投稿日:2021.11.27

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