【感想】コルヌトピア

津久井 五月 / ハヤカワ文庫JA
(10件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 大吉堂

    大吉堂

    植物を演算に応用する技術が発展した近未来東京の物語。
    SFとは画であると思い知らされる。全てを理解しているわけではないが、それでも頭の中に広がるイメージの強烈さ。それが静謐な文章と相まって清々しい印象を与える。
    いつもと違う部分の脳が刺激され、それが実に心地よい。
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    投稿日:2022.10.07

  • ぽてち

    ぽてち

    植物をコンピュータとして利用する近未来が舞台の短篇SF。表題作ともう1篇が収録されている。
    うーん、なんとなくイメージはできるのだが、全体を理解するのは難しかった。ある意味、“新サイバーパンク”とでも呼びたくなるほど斬新なアイディアだと思うが、著者の力不足でうまく説明できないのか、こちらの能力不足ゆえに理解できないのか(おそらく後者)、なんとも言えないもどかしさがある。設定がすべてと言える小説なので悔しい。
    第5回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。
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    投稿日:2022.04.22

  • Mai_s

    Mai_s

    このレビューはネタバレを含みます

    植物との共生に惹かれて購入。中盤からの疾走感が心地好くて、夢中で読了。フロラの視点で街を飛び回ってみたい。人間が自然を動かす純粋なエネルギーに変換される未来は興味深い。アジサイが咲く季節に読めて良かった。

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    投稿日:2022.01.03

  • 寝起 雨音

    寝起 雨音

    第5回早川SFコンテスト対象受賞作。

    21世紀後半。
    電気信号を介する植物を計算資源として応用する未来。
    その技術は「フロラ」と呼ばれる。
    植物の保有量が自国の計算力へとつながり、世界のパワーバランスが塗り替えられた世界。
    日本では、23区を円環状に取り巻くフロラ「グリーンベルト」において、
    キョダイな計算資源都市として確立している。

    そんな未来の日本で、フロラの一部が火災により焼失する事件をきっかけに、
    フロラ企業に勤める砂山と、転載植物学者の降り口が出会い、物語は進んでいく。

    本書の魅力は、植物で覆われる緑多き風景と、
    その緑により確立された電子の世界の多重構造。

    植物に流れる微弱な電気や、
    木々の間を飛び回る鳥たちの動きが、
    計算資源として意味のある信号となり、
    人間の小さな脳内での計算をはるかに凌駕して、世界はパラダイムシフトしていく。

    中学生の頃、原子や電子について勉強したときに、
    地球や宇宙から見た自分はまるで同じではないかと感じたことはないだろうか。
    本書を読んだとき、私はその感覚を思いだした。

    1992年生まれ、頭脳明晰であろう津久井氏の描く世界は、
    左脳だけでなく右脳にも響いてくる。

    物語の展開、人間関係、人物描写には、それほど大きな感動が覚えなかった。
    しかし、本書の描く世界観は、それを凌駕して非常に魅力だ。
    是非、イラストやアニメーションでも拝見したい作品。
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    投稿日:2021.08.15

  • mui-mui

    mui-mui

    植物を計算資源に取り込むというアイデアが面白い。実現できれば地球温暖化の対策と一石二鳥な気がするけど、作中で書かれている通り、これはこれでいろいろな問題が出てくるんだろう。

    投稿日:2020.12.13

  • ま鴨

    ま鴨

    21世紀後半、一部の植物を改変して計算資源「フロラ」として活用できるようになった未来。東京都区部を円環のように取り巻くフロラ「グリーンベルト」によって演算集積都市の地位を確立した東京において、一部のフロラが予測不能の火災で消滅する事件が発生する。フロラ活用戦略が政治的優勢にも影響する近未来において、この事件を解決するため投入された技術者が見た、フロラ技術の真相とは・・・!?

    植物を計算資源として活用するという、SFとしてたいへん刺激的で、かつ実現性もそれなりの蓋然性があるという、面白い立ち位置の作品です。数十年後にはリアルなサスペンスとして成立しているかもな、という手応えがあります。

    が、うーーーん・・・アイディアは面白いんだけど、それを描写する表現力が追いついていないのかな、と鴨は思いました。フロラ技術の展開にあたって、植物が体感するランドスケープに一体化するための「レンダリング」という技術の意味が、鴨には最後まで理解できませんでした。それはひとえに鴨のSF者としての読解力の浅さに起因すると思うんですけど、それ以上に文体が気になってですね・・・フロラが描く世界観に作者自身が酔いしれて、美文に終始している感じ。語弊を恐れずに言うと、ものすごく文体が小っ恥ずかしいんですよ(^_^;脳内の世界観をできるだけかっこいい言葉で描こうとした結果、学生サークルの作品か?と感じてしまうレベルに収まってしまった感じ。登場人物の人間味も、世界の描かれ方も、浅いです。浅くても構わない、という人には、それなりに面白いSFだと思います。
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    投稿日:2020.11.02

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