【感想】少年トレチア

黙示録のようでした。または、眠っている間には鮮明で、覚醒したとたん霧消する夢のようでした。本の中からくる音が、色が、湿り気が、脈が、熱さが、ずっとずっと体の芯に残るのは、シニフィアンが驚くほど精緻だか…らだと思います。続きを読む

カタストロフィ。
少年少女時代に、「トレチア」のせいにして悪事を働きまくっていた主要人物たちが「キジツダ」という新たなトレチアからツケを払わされていくような…都市伝説「トレチア」ですが、実際にトレチア…を自認してる少年がまた新たに仲間と殺戮を続ける。
マカラやビヤラカはよく分からず画像検索しましたがマカラしか出てこなかったです。異形でした。
終盤の、緋沼サテライトが地震で崩壊する様は地獄絵図でした。川とか沼とか地名に入ってる（た）ところに家建てちゃいけん…他にもあるけど。
この世界も、何か大きなものが見ている夢…という感覚はなんだか好きです。夜の夢こそまこと。続きを読む

津原作品3冊目。
読み終えた数日後に、身近なトレチア的なものの存在に気付いた。そして怖くなった。
津原泰水は、人間の負の記憶をありのまま無加工に描き出せる気がする。誰にでもある疚しさの記憶は、分解され…解消され適度な状態に調理して安置してある。それを生に戻されて突きつけられる感覚がある。物語としては、着地したいところに着地させてもらえないもどかしさがあり、それがたまらなく好みだった。

緋沼サテライトの見取り図、どこかにありませんか！？続きを読む