【感想】サイラス・マーナー

ジョージ・エリオット, 小尾芙佐 / 光文社古典新訳文庫
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
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ブクログレビュー

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  • ひまわりめろん

    ひまわりめろん

    「なりたかった自分になるために、遅すぎるなんてことはない」

    先日読んだ『夏の扉』がとてつもなく面白かったので、おかわりです
    ここでハインラインではなく訳者の小尾芙佐さんの方をおかわりするってところがもうセンス!

    ということでイギリス文学を代表する女流作家ジョージ・エリオットの名作『サイラス・マーナー』です

    エリオットの宗教観がどうのとか、彼女の結婚や人生がどうのとか、当時の女性の地位とか時代背景とか、あっしにゃ難しいことはさっぱり分かりませんよ
    分かりゃーしませんよ

    だけどね旦那
    正しい心を持った人たちが幸せな結末を迎える
    正しくない心を持った人も最後には改心する
    それだけで十分じゃございませんか
    それだけで十分人の心を震わせることが出来るんじゃございませんか

    そしてこういう物語こそ残していかなきゃならないんじゃないですかね

    南極の氷が全て溶けても残ってほしい物語でした(いや南極の氷も残ってほしいけども!)
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    投稿日:2023.12.14

  • 一条浩司(ダギナ)

    一条浩司(ダギナ)

    ヴィクトリア朝を代表する男性名の女流作家ジョージ・エリオットの代表作の一つ。寓話的な物語に心打たれる傑作。

    親友と恋人に裏切られ、信仰と故郷を捨てざるを得なくなるサイラス・マーナー。冒頭から悲劇のどん底に突き落とされる展開に引き込まれ、真面目で純朴なサイラスに愛着がわいた。不幸な境遇ゆえに彼が金貨に執着するようになってしまうのもどことなく共感できる。このまま孤独に人生を終えるかと思われた矢先に起きるサスペンスフルな事件――そこから一気に面白くなってくる。

    本作でサイラスの対比となっているのはゴッドフリーだろう。弱点はあるが決して悪人ではない彼の人生の苦悩が、サイラスとは逆の立場から物語の主題に迫っていく。さらに、潔癖なナンシーの家庭生活のあり方が当時の社会通念をよく表現していて、本作の寓話的テーマを陰となって浮かび上がらせている。

    寓話的といったが、繊細な心理描写は現代的でもあり、時代的背景もあって、小説として非常に面白い。「めでたしめでたし」で軽くすませられない、ヴィクトリア朝文学ならではの本物の感動があると思う。読後感は最高。
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    投稿日:2023.03.01

  • tom555

    tom555

    このレビューはネタバレを含みます

    確か中学生の教科書に載っていて気になっていたのに今日まで読まず。人間は社会的な動物で、孤独でも一人きりでは生きてはいないし、生きてもいけない。マーナーの若かりし頃の辛さもエピーとの出逢いで幸せになっていく。我が子以上に大切に育てた子の幸せを願う父の愛の深さに涙が出そうになった。すごくきれいな物語。少し心が疲れたときに読み直したいかも。

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    投稿日:2022.10.11

  • スリーピージーン

    スリーピージーン

    光文社古典新訳文庫には本当に助けられる。古典を今息をしている言葉で、というコンセプトどおりだ。本作でそれを感じたのは、たしかに翻訳で田舎ことばなどは使っているが、さほど時代錯誤的ではないし、成長していくサイラスの娘エピーの言葉使いがとてもあたたかみを感じるように表現されているので、共感も強まる。だいぶ前に読んだ当時は、地主ゴッドフリーは嫌なやつでしかなかったが、今回は彼やその妻の苦悩も少しはくみ取れた。子供を育てることで変わったサイラスはもちろん、車大工一家たちや、周囲の人達の情にも胸が熱くなる。続きを読む

    投稿日:2022.10.09

  • lho

    lho

    友人に裏切られ、免罪をかけられ、婚約者も失ったサイラス・マーナー。神にも人間にも絶望したサイラスを救ったのは何か?

    金を蓄えることだけが彼の唯一の救いとなるが、そんな金も盗まれてしまう。孤独で寂しいマーナーからこれ以上何を取れば気が済むのかと言いたくなるほどの不幸。しかし、これを後に本人が、不思議な軌跡だと言う。

    エピーという1人の赤ん坊が彼の人生を救った。19世紀は科学の目覚ましい発展(ex. 進化論)によって聖書の非論理的な神話性に疑問を抱く時代であった。著者エリオット自身、もともと福音主義者だったが、22歳に聖書を合理的客観的に解釈する高等批評に触れ、宗教観が一変する。

    そんなエリオットが「孤独を救済するのは一体何か」と言う問いにアプローチする中で生まれたのが『サイラス・マーナー』なのかもしれない。
    続きを読む

    投稿日:2022.04.23

  • saigehan

    saigehan

    素朴な話。若い頃親友に貶められ、故郷を去ることを余儀なくされてしまった。流れ着いた見知らぬ土地で他人と交流を持たないように生きてきたが、ある時全財産が盗難にあってしまった。リアル泣きっ面に蜂状態。そこに突然迷い込んできた幼女二歳を養育することを自分の天命と信じる。この人物が表題の人。今までぬらりひょんと、人にされるがままに争いごとに目をつむり生きてきたが、育ててきた子供と離れることになり、初めて自分のエゴを他人に向けて発射する。それは愛ー、たぶん愛ー、きっと愛ー。。。続きを読む

    投稿日:2022.03.25

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