【感想】書架の探偵

ジーン ウルフ, 酒井 昭伸 / ハヤカワ文庫SF
(9件のレビュー)

総合評価:

平均 3.1
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ブクログレビュー

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  • housekeeperz

    housekeeperz

    図書館は蔵書ではなく作家の脳をスキャンした複生体(リクローン)を収蔵している。推理作家E・A・スミスのリクローンであるスミスのもとに令嬢コレットがやってきて彼女の父と兄の謎について調査するためにスミスを借り出す。その死にはスミスの著書がなんらかの鍵となっていると思われるからだが・・・という感じのSFミステリ。

    設定はなかなかに興味深かったんですが、どうも自分にはあわなかったようで。なんか妙に読みづらさ?を感じました。スミスがその時点で何を成し遂げようとしていて何が障壁になっているのか?みたいな目的がいまいちよくわからない。スミス氏は性格的に非常に淡々としているために緊迫感みたいなものも感じにくかったし。
    面白かったら続編があるようなので読んでみようかと思ってましたが、とりあえずスルーかな・・・
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    投稿日:2024.01.18

  • ルノワール

    ルノワール

     蔵者って、どんな感じなのだろう?蔵者が探偵という発想がおもしろく、読んでゆくうちに、本の背骨が最後に残る を思い出した。

    投稿日:2024.01.13

  • へんてこ

    へんてこ

    SFミステリー。未来の図書館事情がユニークです。
    図書館に所蔵されている主人公の視点や感覚が面白く反面その他の事柄(仲間になるカップルやヒロインの内面を含め)の掘り下げが面白そうなのに少なくてもったいない!このカップル達の話も知りたいなぁと思わせる魅力ある設定です。
    この本はジーン・ウルフの遺作になるそうで、次回作の行動もあったとのこと。残念です。
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    投稿日:2022.09.04

  • ヒロボブ

    ヒロボブ

    SFミステリーというのが基本なんだと思うけど、ハードボイルドやファンタジーの要素もあり飽きさせない。それにしても著者84歳での作品とは驚き。

    投稿日:2020.11.17

  • より

    より

    中々面白い発想だな、と思いました。
    近年のAIの進化を考えると、わざわざヒトガタを作ったり、有機生命体にしなくてもAIに作家の思考パターンを落とし込めればもっとラクに出来そうかな。そうしたら図書館で蔵書、でなくてもクラウドでいつでも作家先生と語らうことが出来る。うん、面白い。でもこの本の趣旨とはずれてしまうけれども。

    時々スゴイ考え方するな~と思う所はありましたが、確かに主人公はヒトではないですからね。ある意味面白い主人公とその思考パターンだなって思いました。
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    投稿日:2020.06.25

  • がと

    がと

    このレビューはネタバレを含みます

    21世紀のミステリー作家 E.A.スミスの〈複生体〉[読み:リクローン]である「私」は、蔵書ならぬ〈蔵者〉として図書館に所有される存在。ある日、「私」はコレットという若い女性に十日間の契約で借り出された。コレットは亡くしたばかりの父が遺した金庫を開けたところ、そこにはE.A.スミスの著書『火星の殺人』だけが入っていたのだと語り、投資家だった父の遺産に関する秘密がこの本に隠されているはずだという。さっそく調査をはじめた二人だったが、何者かによってコレットが拐われてしまった。彼女の行方を追ううち、「私」は思いもよらない真実を知ってしまう。


    原題はBorrowed Man。まずこの「図書館で蔵書のように所有されるために生み出された作家のクローン」=〈蔵者〉、という設定が面白い。二一世紀半ばに記憶の移植という技術が発達してから活躍した作家が対象になっているので、史実上の作家は出てこないが、人々に記憶されている外見年齢で生まれ、記憶を植えつけられ、また著作を通じたパブリックイメージに従って行動するよう設計されてもいるらしい彼らは、利用者に借り出されてやっと図書館の外の世界を見ることができる。それも、脳に植えつけられた記憶(E.A.スミスのオリジナルが生きていた時代の記憶)からは百三十年以上経過した未来の世界をいきなり浴びるのだ。蔵者は「純正の人間」とははっきり区別されており、図書館から不要と看做されれば焼却処分、作家のクローンなのに執筆活動は禁止である。つまり、蔵者の一人称で書かれたこの小説は、その禁を破って書かれたということになる。
    だが、やっぱり本書で一番の驚きはコレットの父コンラッドが隠していた、屋敷のとあるドアの秘密。とにかく急に小説のジャンルが変わって度肝を抜かれたし笑っちゃう。ドアを開ける鍵となるのがSFミステリー小説、というのも憎い。コンラッドは死亡疑惑が出るほど長々頑張んなくても、あのドアの先に行く体験をアミューズメント化すればもっと楽に稼げたのでは?とか思うけど、堅実な人だったんでしょうね。
    上記のような中盤のびっくり展開のせいで、てっきり序盤のミステリー要素はグチャッとして終わるのかな?と思いきや、最後にはちゃんと推理と解答編があり、謎解きへの期待も裏切らない。これがウルフなりの様式美なのか、さらにまだ気づいてない〈騙り〉の仕掛けがあるのかは、一回読んだだけではわからないな〜(「私」の叙述は普通に怪しいが…)。
    キャラクターではあっけらかんとしたファム・ファタル、コレットが面白い。ひとつひとつの嘘は行き当たりばったりに思えるのに、最終的に人を自分の思い通りに動かしている。めちゃくちゃ運のいいわがまま女なのか、めちゃくちゃ演技の上手い策略家なのか。倫理観が欠如してて罪悪感もないんだけど、探偵役の「私」も蔵者であるがゆえに、そもそも社会的に人権を認められてなくて要らなくなったら合法的に焼却される身分だから、「殺人って倫理とは関係なくて、合法か違法かの区別があるだけなんじゃないの?」みたいな雰囲気。クローン設定によって倫理が宙ぶらりんになっているのは大変わたし好み。
    ウルフは去年亡くなったけど、執筆中だった本書の続編は今年出版される予定らしい。ちゃんと完結してるのかな?続編も翻訳が出るのを楽しみに待ちます。

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    投稿日:2020.03.29

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