【感想】QRコードの奇跡―モノづくり集団の発想転換が革新を生んだ

小川進 / 東洋経済新報社
(15件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • とりのみあし

    とりのみあし

    このレビューはネタバレを含みます

    この本のここがお気に入り

    (トヨタの生産管理部が世界初のQRコードと読取機を見たときの反応)
    「デンソーの作った二次元コードは使えない。以前のNDコードも結局、トヨタ以外は採用していないではないか。もっとトヨタグループ以外のトップメーカーが使うようになったら検討してあげる」

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    投稿日:2024.06.07

  • monta928

    monta928

    いまや目にしない日はないQRコードは、トヨタ生産方式に対応するために、元々トヨタの一部門から独立したデンソーにより生み出された技術。

    QRコードが一般化したのは、中国におけるペイメントでの普及の影響も大きいため、日本の技術であることを知らない人も多いのではないだろうか。

    この技術に関してデンソーは、世界的な普及のために特許は取得するものの、特許料などは請求しない形をとったことで、元々は製造業の中だけで使われる技術であったが、いまではインターネットの世界でも広く活用されている技術となった。

    ただ、単に特許料を取らなかったから広まった、というわけではなく、日本の自動車工業会の標準コードとなり、日本の自動認識工業会規格、国際自動認識工業会、そしてJISを挟んでISO/IECといった世界の規格の標準として認定されている。こうした基礎があって世界に普及したことを忘れてはならない。

    本書では、この国際自動認識工業会での承認に至るまでの苦労や国際的な根回し、またJISを管掌していた当時の通産省工業技術院が不必要に足を引っ張っていた姿などが描かれている。

    日本が国際規格に翻弄される中、数少ない成功例としてのQRコードの存在を忘れてはならない。また、こうした取り組みに、現在の経産省が足を引っ張ることもあることを意識しておく必要がある。

    ここまで本書の内容についてまとめてみたが、いくらリーダーで儲けようという意図があったからとはいえ、無料で開放する意図のあったQRコードの国際規格化に尽力されたデンソー(現在のデンソーウェーブ)の社員の方々の努力には本当に頭が下がる思いである。
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    投稿日:2023.04.09

  • amano225

    amano225

    QRコードの発明に至る経緯と普及するまでについて書かれた本。
    帯に「日本発で国際標準になった稀有なイノベーション」とあるけど、本当にそうだよなと思う。
    初めてQRコードが日本発だと知ったときは結構驚いた。

    デンソーをよく知らない中国人の視察団が、QRコードを発明した企業だと知った途端、興奮しだした話が面白い。気持ちは分かる。特に中国なんか、QRコード決済が普及した国でもあるしね。もはや、QRコード頼みの生活してるという人も多いんじゃないかと思う。

    本題と関係ないけど、1分間の計算に660円かかるコンピュータがあったという話に驚愕。QRコードの前進のNDコードというものの開発者である野村政弘さんが、コンピュータに夢中になって計算処理に44時間も費やしたことがあるらしい。昔は大変だったんだなぁ。
    いやでも、今でもクラウドでの重い処理ほっておいて数十万円かかったなんて話たまに聞くから、似たようなものか。

    後、ビックリしたのが、バーコードよりもOCRのほうが読み取り精度がいいという話があったということ。OCRのほうが精度低いイメージあるのだけど、OCRのほうがいいという時があったのか。まあ最悪、リーダーが読めなくても文字だったら人は読めるというのはあるのかな。

    そういえば、商品にバーコードがつくのが一般的になるのって、1980年代なのか。そういや、会社にある古い本の中には、バーコードがついていないものがあったような。今や商品にバーコードがついているなんて当たり前だし、これはこれですごいことだよなと思う。

    そしてそのバーコードを読み取るPOSレジ用のリーダーをデンソーで開発したのは、QRコードを発明した原昌宏氏だったそう。バーコードリーダーの開発秘話についても書いてあったけど、それだけですごい人だということが伝わってきた。

    まあでも、これだけQRコードが普及したのは、利便性だけでなく、お金や根回しも行っていたのだなと思った。
    そういう意味では、トヨタの力というのは大きかったのだろうなと思う。QRコードを発明したのがもっと小さい会社だと、ここまで普及しなかっただろうなと。

    後、日本IDテックとの訴訟問題の話も面白かった。CPコードという二次元コードのライセンス料をもらって収益をだしていた会社だそうで、QRコードが公になると不利になるため訴えたらしい。内容はほとんど言いがかり。調べてみると、日本IDテックは2000年に倒産したらしい。訴訟なんてせずにビジネス転換しておけば倒産せずにすんだかもしれないのに(知らんけど)。

    そしてなんといっても、一般消費者がQRコードを目にするようになったのは、携帯電話のカメラの読み込みによるウェブページへの遷移だろうなと思う。自分は最初、てっきりQRコードというものはURLを読み込むためのものだと思ってた。

    これまた本題と関係ないのだけど、視覚障碍者のほぼ全員が、駅のホームへの転落経験があると書いてあって驚いた。よく落ちないで歩けるよなと思うことがあるけど、やっぱり落ちる時もあるのか。やっぱりホームドアって大事なんだろうな。
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    投稿日:2022.11.24

  • hamakoko

    hamakoko

    https://kinoden.kinokuniya.co.jp/shizuoka_university/bookdetail/p/KP00029696/

    投稿日:2022.09.07

  • げんえい

    げんえい

    普段何気なく使っているQRコードがもともと工場で使うためのものと知らずに過ごしていた。
    これを読むとQRコードが世界中で使われている理由がよくわかった。

    投稿日:2022.02.07

  • Ogawa Koichi

    Ogawa Koichi

    たった一人の天才の功績ではなく、チームの総力戦で大成功を成し遂げた物語。
    これは参考にできる点が多い。
    平成の30年間、さらに令和時代の現在でも日本企業ではなかなか画期的なイノベーションを生み出せずに停滞感が漂っている。
    今でも試行錯誤を繰り返している会社が多いと思うが、このQRコードの話はものすごく示唆に富むのではないだろうか。
    結局飛躍するような発想や技術力が必要なのは確かだが、それだけでは決してイノベーションは成功しない。
    一歩も二歩も高く飛躍していくための手法が本書では数々語られている。
    特徴的なのは、それらが決して最初から計画されたものではないということだ。
    確かに戦略についてはそれなりに最初からあった。しかしすべてが計画通りに進んだ訳では決して無い。
    何度も何度も壁が立ちはだかり、その度に不屈の精神でバトンをつないで乗り越える。
    この総力戦の具合が本当に心地いい。
    いかにも日本人的であるが、こういう話で心が打たれるのは民族の特徴なのかもしれない。
    最初の壁は、現場からだった。
    コンピューターすら無かった時代。
    自動車の組み立てもすべて人力で行っていた。
    部品を組み立てる工程で無駄が出ないようにジャストインタイムで管理する「カンバン方式」を編み出して克服したのは有名な話だ。
    しかしこのカンバン方式も決して完璧ではない。
    もっとこういうことができないか?という現場からの要請で、数々の改良がなされていく。
    その一つがバーコードだ。
    つまるところ、この組み立て工場の現場課題の本質は「情報の管理」しかもそれがタイムラグなしに発生することに意味がある。
    「今、何の部品が何個仕入れられて、何個製品に使われ、何個残っているのか」
    現代のようなコンピューターネットワークが前提の社会であれば、これらの管理は当たり前に出来るだろう。
    今となれば、高性能のセンサーもある訳だから、人間が情報を手入力しなくてもセンサーで情報を取得し、サーバーに自動的にUPすることも出来る。
    しかしそれらが何も存在しない時代はどうだったのだろうか。
    これもすべて人力で伝票に記入し、受け取ったらチェックして、次に回していく、なんてことをしていたのではないだろうか。
    つまり最初は、非効率的な人力での伝票入力の仕組みを改善するところから始めたのだった。
    それがまさにバーコードを利用することで課題を解決することとなり、やがてQRコードの発明につながっていくのだ。
    発明の物語であれば、ここで話は終わってもよい訳であるが、ここからバトンは引き継がれていく。
    QRコード、世界標準への道のりだ。
    本書に記載の通り、特許を守りQRコードを利用ごとにライセンス料を得ていたら、今のような世界標準の発展はなかっただろう。
    特許を早めに開放し、逆にバーコードリーダーを売るという戦略でビジネス的に成功を収める。
    まずはQRコード普及に命を懸けて取り組んだ訳だ。
    これがまさに奏功したのであるが、ここのエピソードも本当に示唆に富む。
    イノベーションを起こす時は経営トップの後ろ盾が必須であるということは最早常識であるが、このQRコードについても同様だった。
    「世界標準を目指し、特許は開放する」この方針だけでも経営トップの援護がないと、進めるのは相当に難しいだろう。
    短期的利益を考えてしまうと、特許取得にかけた費用の早期回収を図ろうとしてしまうからだ。
    ここを堪えて、敢えて長期視点で世界標準を目指すという目標設定に切り替えた。
    さらに世界標準化のためにかかるランニングコストの捻出も、経営トップが手厚くサポートしたのだ。
    これらのエピソードだけを見ても、事業を興すというのは本当に難しい。
    数々の偶然によって成功するものであるが、そこには最低でも素晴らしいメンバーに恵まれたことが成功要因として上げられると思う。
    たった一人ではイノベーションは起こせない。
    メンバーを信じ、熱い気持ちで高い目標に向かってみんなで取り組んでいく。
    経営トップの援護も然りだ。
    これからの時代はまさに「パーパス経営」と言われているが、従業員自身が会社の目的に共感しなければ、心が離れパフォーマンスが決して上がらないだろう。
    どれだけ人を熱くさせる仕事を生み出していけるか。
    これは経営陣にも難題として降りかかってきている。
    まさに経営者の人格すらも試されている時代なのだと思う。
    そんなことを感じながら読み終えた本だった。
    ちなみにQRが「Quick Response」の略だとは本書を読むまでは知らなかったことを付け加えたい。
    (2022/1/29)
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    投稿日:2022.01.30

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