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本山聖子 / 光文社 (27件のレビュー)
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坂たあ
若くして乳がんを患った三人の女性がブログをきっかけに知り合い、乳がんと闘う物語。 作者自身が乳がんを患った経験があるようで、ひとつひとつのエピソードがあ具体的で、がんの苦しみ、痛みが文章から伝わってく…る。 でも、不思議と重苦しくなく、前に向かって生きていこうと勇気づけられる。 三人の女性は、それぞれ環境もおかれている立場も違うけれど、乳がんという共通点があってお互いの苦しみが共有できて、そういう人と巡り会えたことは財産だなと思う。続きを読む
投稿日:2024.01.18
よつば
小説宝石新人賞を受賞された本山聖子さんのデビュー作品。 読んでいて何度も涙が溢れた。 人生は一筋縄では行かない事くらい解っている。 いきなりの癌宣告、どこかで自分は大丈夫と高を括っていてもそれは突…然現れやがる。 作中に登場する3人の女性達からの、何故自分が?の思いが痛いくらい伝わる。 一番不安なのは本人なのに自分ファーストの夫や姑、心無い言葉を投げつける医師や友人、彼女たちの心中を想うと悔しさで泣ける。 若年性乳がんを経験した著者が描く事で物語はリアルだ。 同じ経験をした同士に出逢えた事が救い。 心からエールを送りたい。続きを読む
投稿日:2023.02.15
mayの本棚
高校時代の同級生と結婚し、妊活を始めたばかりの百花、25歳。 老舗造り酒屋の長男の嫁として、不妊治療の末に授かった幼い娘の育児に奮闘中の菜都、32歳。 花嫁健診で乳がんが見つかり婚約破棄され、術後…3年が経過した独身の柚子、29歳。 そんな若年性乳がんを患い闘病中の3人の女性の、妊活だったり、子育てだったり、夫婦関係だったり、友情だったり、恋愛だったり…治療のことや仕事のことや将来のこと、などなど…とてもリアルな心情が描かれています。テーマはとても重く、描かれる内容はリアルなんですが、とても明るく軽い読み心地で、読後は爽快感すら感じられました。 とても読みやすくて、おもしろかったし良かったので、ぜひ本山さんの他の本も読みたい!と思ったら、こちらの本がデビュー作で、まだ他の本は出ていないようです。 内容がとてもリアルだなぁと思ったら、本山さん自身も結婚したばかりの27歳の時に乳がんを患った経験があるそうです。 柚子のエピソードで北海道旅行の話が出てくるんですが、おそらく新人賞を受賞した時のお話なのかな?そちらもいつか読んでみたいです。 *** 「自分でもまるで制御できない思いを、言葉にして相手に伝えるのは難しい。誰かに伝えるよりも、自分一人を言いくるめて自己完結させるほうが、何倍も簡単で、傷つかなくて済むのだから-。だけど。「変わった」「進んだ」と実感できるのは、やっぱりちゃんと伝えられた時だ」(170頁) 「ないものを数えて嘆いていたって、絶対に、絶対に、幸せにはなれない。そして。同時に、自分は、持っている。明日をどう生きるかを、決める権利を。(中略)決定権は、自分の心の中にだけ、ある。それは、神様にだって手を出すことはできない。たとえ明日、すぐに大きな変化を起こせなくても、小さな魔法はいつだって使える。そして。幸せかどうかは、自分で決める」」(256頁)続きを読む
投稿日:2022.04.17
lilium.book
3人の環境も性格も癌のステージ(症状)も違う女性の闘病記であり、生きざま。 最後にうまく絡み合うところが良かった! あっという間に読み終える一冊。
投稿日:2022.03.26
どんぐり
このレビューはネタバレを含みます
「子供がほしい」と思う気持ちは夫婦同じくらいなのに、妊活となると、なぜ女側が「お願い」する形で進めなくてはいけないんだろうと、この頃は強く疑問に思う。(P.11) 「働くのはあとからでもできるのだから、早く子供を産んじゃいなさい」と、いつも言う。(P.22) 乳がんだと言うと、みんな「内臓じゃなくてよかったね」と、口を揃えて言う。確かに、それも一理あるんだろうなと、百花も思う。おっぱいがなくても呼吸にも消化にも排泄にも支障はない、だから恵まれているのだと、言い聞かせもした。(P.37) 生きていれば当たり前に芽生える願望。 病気に負けず、それを叶えようとする前向きな気持ちもある。だけど時折、そこに覆いかぶさるようにして「果たして自分はあとどれくらい生きられるんだろう」という死への恐怖が湧き上がってくる。(P.38) 好きな人との子供を持ちたい。 妊娠の希望を残したいーーそう思うことは、そんなにも悪いこと なんだろうか。それとも、がんの世界に足を踏み入れてしまった自分には、もはや許されないことなんだろうか。(P.40) 脳内では、彩音に言われた「生きてくれてるだけでいい」という言葉が残像のように形を成してい た。 生きているだけでいいって、どういうことだろう。 呼吸さえしてればいいってこと?子供を産まなくても、働かなくても、ただ寝ているだけでも、存在していれば、それでいいってこと?それは、果たして生きていることになるんだろうか。誰のために。なんのために。(P.42〜P.43) 生きる理由がほしかった。これから先、つらい治療に耐えながら、がんばるだけの理由が。(P.45) この世界のどこかに存在している先輩たちは、自分よりずっとタフで、たくましい。でも、その強さも、はじめから備わっていたものではなくて、決してそうではなくてーー。きっと一日一日、血を這うようにして、生きてきた結果なのだと思った。もともと強いから、病気を乗り越えられる力があるからがんになったんじゃなくて。そうじゃなくて、もっと最初は弱くて、みんなへなちょこで。だけど、強くならないと生きていけないから、きっと、少しずつ。(P.51) 「未来予想図はいつでも修正可能。」(P.53) 採卵だってうまくいくかわからないし、抗がん剤の副作用も心配だし、それが無事終わったところで、その先にはまだ光すら見えなくて、たくさんの困難が待ち構えているに違いないのに――でも、 その最中に、 大切な人の笑顔に出会える瞬間があるのだとしたら、やっぱりそれは、「悔しいけれど、「おもしろい」に違いない。(P.58) これは、きっと、試されているんだ。神様に。 母親になったんだから、もっと強くなりなさいーーと。(P.69) この先、自分はいったいどうなってしまうんだろう。 手術をすれば本当に助かるんだろうか。 来年の今頃は、生きているんだろうか。もしかしたら、そう遠くない未来に、死ぬんだろうかーー。そう したら、菜々花はどうなってしまうんだろうーー何を考えても最後に行きつくのはやっぱり菜々花のことで、だから絶対に死ぬわけにはいかない、せめてこの子が自分のことを自分でできるようになるまではーーと、強く思う。 今死んだら、自分という存在は、きっとこの子の記憶に何も残らない。そんなの、耐えられない。(P.86) 泣くまい、と思えば思うほど、涙が逆らうように流れてくる。 強くなければいけないのに。(P.86) 「みんな同じなんだ。ひとりじゃない」(P.106) こうやって形の変わった乳房を見ていると、その傷口から、いろいろなものがぽろぽろとこぼれているような錯覚にとらわれる。(P.115) 本当は、わかっている。 わかっているのだ。自分だけが、苦しんでいるんじゃないことをこの世界にいるすべての人が、それぞれ何かを抱えて、生きていることを。(P.149) 今日がつらくても、明日はどうなるかわからない。だから生きなくちゃだめだ」ーー。(P.163) 「そだね。 菜都の考えは、とても常識的で正しいよ。でも、正しいって、楽しいのかな?」(P.176) ーー自分はもう、子供を産めないかもしれない。(P.186) 「乳がんになったことが、 犬のフン踏んだことと、同じくらいに思えるようになったらいいよね。がんを、敵じゃなくて、人生の相棒だって思えるようになったら⋯⋯どんなにいいか」(P.193) 手の中に、何一つ、未来に繋がるものがないことーー。(P.211) 時折くじけて、何もかもから目を背けたくなって、死にたいと思うこともあって、だけど、気がついたらやっぱり生きることにしがみついてしまっている。 人生は、その繰り返しだ。(P.245) 私⋯⋯子供を産んで新しい命を繋ぐことだけが、この世界に足跡を残すことじゃないって⋯⋯強く思う。うまく言えないけど、自分の言動で誰かを笑顔にしたり、人の役に立ったりすることも、足跡の一つだよ。(P.251) 結婚しないと幸せになれない。 子供を持たないと幸せになれないーーもしかしたら、人間の、女性のDNAの中には、自然とそんな呪いがかけられているのかもしれない、と。 進学、就職、結婚、出産、子育て。まるで生まれた瞬間から、人生の正しい順序が決められているような。そのレールに乗らないと認めてもらえないようなーー。本当はそんなことないのに。一人ひとり、違って当たり前なのに。だからこそ、世界は彩り豊かなものになるはずなのに。(P.252) 幸せは他人に決められるものじゃない(P.256) 決定権は、自分の心の中にだけ、ある。 それは、神様にだって手を出すことはできない。たとえ明日、すぐに大きな変化を起こせなくても、小さな魔法はいつだって使える。 そして幸せかどうかは、自分で決める。(P.256)
投稿日:2022.02.22
no-chindayo
若い3人の乳癌を患う女性。 それぞれの話が4話目にひとつになる。 癌にもいろいろあるけど、乳癌、子宮癌、辛い。 恋愛、結婚、出産、仕事 沢山のあるはずの未来を狭められ、悩み、苦しみ、前を向く3人の姿…を応援せずにはいられない。 少しでも沢山の幸せな時間を過ごせますように。続きを読む
投稿日:2022.02.13
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