【感想】完結編・上に立つ者の人間学

船井幸雄 / PHP文庫
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  • touxia

    touxia

    コンサルタントといえば、胡散臭さがどうも目につく。船井幸雄は、京都大学農学部出身であるので、見ている角度がちょっと違い、親しみが湧く。
    EM菌、ハイポニカ農法、パイウォーターなど、少し怪しげなところに踏み込んでいく。そういう好奇心に満ちた人だった。本書の旧版は昭和61(1986)年1月に出された。
     経営者としての思考が大切だと思って、読んで感心した。『上にたつ者』という言葉が、なんとなく昭和っぽい。リーダーシップということなんだろうね。
    自分で起こした経営コンサルティング会社を上場までのせた手腕が自信につながっているようだ。
    それで、完結編という言葉に寄せられて、再読してみた。随分と受け取り方が違うのでおもしろい。
    効率的に生きようとするあまり『心』や『生き方』が置き去られてしまう。『心の時代の人間学講座』なるものが必要となるのだろう。
    経営において、リーダーシップを握るということは、人間的素養がいる。とりわけ、経営者はいろいろなモノを動かすが、「人」を動かすことが最大の課題となる。
    そのために、勉強したり素養を磨いたりする。それが、船井流人間学である。
    稲盛氏の本も読んだが、心に重くをおくよりも、宗教にかなり近くなっていることから見れば、船井流はなんとなく、人間中心で、「人間のあり方」「人間学」「人間のすばらしさ」を説く。
    つまり、社会、世の中の構造、人間の使命、上手な生き方、そのためのルールとコツえお具体的に実現していく手法を説く。
    上手に生きるとは、成功者であり、幸せなものだとする。私としては、上手に生きられなかったことへの反省もあって、船井幸雄の意見は受け入れやすい。
    著者は「ツキの原理」をいう。そしてツキを自力で引き寄せよという。
    「天を楽しんで命を知る。故に憂えず」易経 
    ①世の中のことは、すべて必然で、偶然事はない。②自分の「運命」や「ツキ」の支配者であり、その思考、言動によって、「運命」や「ツキ」をリードしうる。③人間は、たえず自分を「ツク」状況におくよう努力するべきである。それが正しい生き方である。
    ツキの原理とは、現状でツク状態にし,ツクものを作り、「ツキ」を落とさない。
    「ツキをもたらすと思えるもの」には、できるだけ近づき、納得し完全と思えるまで知り、自信をもって、そのよさを生かすのが、正しい生き方だという。ふーむ。私はチャレンジはするが、ツキのない世界に生きている。
     とにかく、単純明快にイメージ化をして、確信を持つことだと思う。
    常岡一郎は著書『運命を開く心』で「運命こそ、うつされた自分の本当の姿である。ごまかさないで、じっと見つめよう。正しく本当の自分を知ろう。自分を分かって自分を正そう。それが運命をかえる道である。よい運命をひらき、前進の勇気を生み出す道だ」という。
     そんなふうに、実直なのがいい人生なのだ。
    人間の脳と肉体は、地球生物の集大成であり、死は終わりではない。自分の中に知識の源流が埋まっている。すべては生成発展であり、全は個であり、個は全である。人間の使命は、学び、働き、創造し、自他に貢献することである。よく生きるとは、全をまっとうし、善をなすことだ。
    ツキのルールは、「鏡の原理」であり、「人からされたくないことは、人になしてはならない」
    ツク人の特性は、①プラス発想型人間、②素直な肯定人間、③勉強好き、挑戦好き、やる気人間、④謙虚な笑顔人間(いばらない。差別意識が殆どない)、⑤長所伸長人間(批判や否定、非難はしない。長所が見える)、⑥自助型人間(他人をあてにしない)、⑦辛抱、執念型人間、⑧着実、バランス安定型人間、⑨強気、負けん気、思いやり人間、⑩秩序維持型自由人、直感力が優れ、意志決定が早いという。まぁ。私は秩序型ではないようだ。
     「上善如水。水善利万物而不争。処衆人所悪。故幾於道」
    「もっともよい生き方は水のように生きることだ。水はできるだけ世の中のためになるように努めているし、争いなどは起こさない。また多くの人の嫌がるところ、低いところにも率先していってくれる。これこそ、天地自然の利に、もっとも近い生き方だ。」 
    仕事を成し遂げるに必要なのは、「挑戦、努力、熱望」。成功の3条件は勉強好き、プラス思考、素直なことだ。ふーむ。昭和の少年ジャンプのように生きるのだ。
     好きなことを、やってみたいことをてて知的に興味を持って取り組むしかないのだね。
    読みながら、不思議と、ずいぶん昔の感覚が蘇ってくるのが、楽しい。
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    投稿日:2022.05.22

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