【感想】貧困専業主婦(新潮選書)

周燕飛 / 新潮選書
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
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ブクログレビュー

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  • ふじき

    ふじき

    わかりやすく興味深い。恐ろしい本だった。
    個人的に6章「幸せ」が興味深かった。専業主婦と働く女性の幸福度の乖離が高い日本。そうか、もともと諦めていれば、虚しさも悔しさもないのか、と思った。
    この本の趣旨とはずれるが、私は働く女性サイドで、性差関係ない事項含めて毎日虚しさや悔しさを感じさを感じる。家に帰れば「女の仕事」である家事子育てを当然のようにこなす。男性で「男の仕事」が苦手な人だってたくさんいる。性差による分業意識ななくなれば、みんなにとって生きやすい社会になるのに。ジェンダーギャップ指数の低順位との関連も強く感じた。
    貧困なのに自分の意志で専業主婦を選択する彼女らの基盤に、「主婦の仕事を金銭評価しない(ゆえの、本人にコスパ意識、時給換算感覚がない)」「3歳児神話、手作り礼賛」「良妻賢母」等のクソみたいな価値観が絶大な影響力をもってることにおののいた…。自分で自分を縛ってる。

    第1章 ルーツ
    ■明治時代は主婦の8割が一次産業従事の家庭のため、みんな家業の働き手。一方60〜80年代の専業主婦は核家族、少ないこども、三種の神器の台頭 めちゃくちゃ楽。専業主婦にとって最も幸せな時代
    第2章 行き詰まり
    第3章 貧困
    第4章 格差
    ■貧困、低収入世帯の専業主婦の多くは「自分の手で子育てしたい」「家事と育児をきちんとやりたい」など子供のために現在の苦しい経済状況に対応しているよう。
    第5章 ズレ
    ■専業主婦に仮に自分が就業したら子供のしつけが行き届かなくなることについての意見を調査したところ 肯定的な意見を持つものは全体の6割強を占めている。末子が6歳以下であったり3人以上の子を持つものは賛成する割合がさらに高まる。
    第6章 幸せ
    ■日中米韓幸福度に関する研究 米中は個人収入と幸福度が比例、日韓は世帯収入と幸福度が比例
    ■働く女性と専業主婦の幸福度格差 日本は世界2位(専業主婦のほうが幸福度が高い)子どもが健康で学業成績が一定良好で夫婦仲が一定良好であれば年収に関わらず幸福度高い傾向→一方で、「幸せ」は事実か虚像か。
    第7章 理由
    第8章 罠
    ■欠乏の罠 時間の欠乏はお金である程度 解消できるが、お金が欠乏していれば時間の欠乏にさらに拍車がかかる。お金と時間の欠乏は人との付き合いを制約して社会関係の欠乏を呼ぶ。社会関係の欠乏は情報の欠乏に、情報の欠乏はさらなるお金の欠乏を招く
    ■サマリア人のジレンマ
    第9章 第3の道
    ■合理的な選択が難しいシチュエーション ①後払い式のコスト構造 ②難解さ ③低頻度 ④フィードバックの欠如 ⑤選択肢への不理解
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    投稿日:2023.05.26

  • kofsan

    kofsan

    専業主婦は、意外なことに貧困層に多い。そして、意外なことに、貧困層の専業主婦は、幸福感が高い人が多い。
    しかし、それは、貧困層の専業主婦は、情報力が低く、勤務することの短期的な負担を過剰に評価しているためではないか。
    リスクの高い専業主婦は、再就職可能な職種でない限り、避けるべき。
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    投稿日:2023.04.05

  • すず

    すず

    女性が結婚、出産を機に退職すると正社員での再就職がどれほど困難かを考えさせられた。
    また、昔は「高収入の旦那と専業主婦」が勝ち組とされて裕福の象徴であったが、それは過去の話で現代では貧困でも専業主婦を貫く人が多いそう。
    また、例として世帯収入が中央値以下の幾つかの子持ちファミリーが取り上げられていて、専業主婦でいる理由を解説。そしてそれの理由は、自分自身が正社員の経験がないこと、ブランクがあること、中卒、持病、子供が持病、などなど。
    正直、これらのモデルは計画性がないため自分自身で首を絞めてると感じた。
    まず旦那の給料が100〜200万で結婚、出産(しかも複数)、デキ婚、正社員経験やキャリアがないのに結婚に逃げる、等。計画性の無さと他人に全て委ねると危険。
    著者の言う通り、短期的に見れば専業主婦を選ぶ方が得だが、長期的には正社員で戻れないこと、お金の不自由など損なことが多いと思う。
    そのため判断時は短期的、長期的に見てどうなのかと冷静に考えるようにする。

    ・計画性を持つ
    ・選択肢を持てるくらいに稼ぐ(そしてライフイベント迎えても退職しない)
    ・自分が主導権を握る
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    投稿日:2023.03.14

  • reso100

    reso100

    様々な統計を駆使して、専業主婦の実態を解析した好著だが、高度成長期の残滓がいろいろ形で存続し、現状に見合った形で変更を加えてこなかった政府の無策ぶりが炙り出された感じだ.著者は中国人女性だが、学者として冷静に日本の弱点を指摘している点が良かった.あまり耳にしない用語として、貧困の罠、欠乏の罠、時間選択率 など、状況を的確に示すものが紹介されていたのも素晴らしいと感じた.何度も指摘されていたのは、「長中期的には、貧困家庭の母親が保育所を利用して働きに出ることは、子どもの健康や教育に良い影響を与える」という解析結果だ.この観点から保育所の充実は達成すべき緊急の課題だと思う.続きを読む

    投稿日:2022.06.17

  • oukayuka

    oukayuka

    ミクロの事例紹介からマクロ的なデータに基づく分析へと進み、そこから原因をあぶり出し解決へのガイドラインを示す、社会科学の研究のお手本のような本。行動経済学が分析のツールとして有効に使われていて、個々の不可解な事象が明快に説明されていく様に何度も膝を叩いた。
    日本のすべての政治家にこの本を読んでほしい。
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    投稿日:2022.01.21

  • 国立女性教育会館 女性教育情報センター

    国立女性教育会館 女性教育情報センター

    国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11443138

    投稿日:2021.12.27

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