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エリック・A・ポズナー, E・グレン・ワイル, 安田洋祐, 遠藤真美 / 東洋経済新報社 (8件のレビュー)
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Mkengar
タイトルに明示されているように、本書は、21世紀の一般的な人々からすればラディカル(急進的)だと思えるような提案が多数盛り込まれている本です。しかし思考実験としては良いきっかけを与えてくれます。彼らが…提案する制度が導入されるとどんな世の中になるのだろう、という想像です。本書は所有権の部分共有による切り崩し(1章)、投票制度の改革(2章)、移民制度の改革(3章)、機関投資家の力の切り崩し(4章)、データを労働力としてみる(5章)、というような構成になっていますが、特にインパクトが大きく、著者らが特に力点を置いているのが前半の所有権の切り崩しと選挙制度の改革でしょう。 私は特に2章の投票制度について関心を持ちました。投票制度の問題は以前から議論されていて、アローの一般可能性定理やアマルティア・センが指摘したパレート最適の毒性問題があります(詳細は、たとえば『「きめ方」の論理』ちくま学芸文庫を参照のこと)。パレート最適の毒性問題を回避するための一つの方法は、「自分が関心の低い事案については投票しない(意見表明を差し控える)」ことです。これは自己抑制的という意味でアジア的な解決策と言えるのかもしれませんが、本書が提示しているQV方式と呼ばれるものはその逆で、「自分の関心が高い事案については、他人より多くの票を投ぜよ」という解決策です。私はこれを自己主張的な欧米型の解決策ととらえました(人間は自己主張しなければならないという欧米的な強迫観念が背後にあるとも言えます)。この場合、少数のその事案に高い関心がある人の意見が、多数のあまり関心がない人に勝つ可能性があるわけです。 その意味で、本書は確かにラディカルな制度提言が盛り込まれていて興味深く読みましたが、いずれも自己主張、競争、対立といった価値観が著者らの背後に見え隠れしており、そのような価値観に社会が覆われているという意味できわめて欧米的であります。つまり、逆に自己抑制、協調、和合の社会設計という選択肢についても可能性がないのだろうかと本書を読んで思いましたが、いずれにせよ頭を柔らかくする、想像力を働かせるという意味で面白い本でした。続きを読む
投稿日:2023.05.06
norytomo
何度かの中断を経てようやく読み終わった。後半は読みやすかった。 私有財産をやめてオークション的に取引できるようにするCOSTは、正直微妙じゃないだろうか。資源分配の効率も大事だが、サステナビリティ面か…らむしろ効率的な運用を避けるべき面もあると思う。 選挙のQVはおもしろい。これはぜひ取り入れたい。DAOにも繋がる話。続きを読む
投稿日:2022.10.22
hamakoko
https://kinoden.kinokuniya.co.jp/shizuoka_university/bookdetail/p/KP00027744/
投稿日:2022.09.07
harmonixy
RADICAL MARKETS エリック ポズナー 東洋経済 『選挙制度の抜本的な改革案』 間接民主主義の基本である「選挙」が 一人一票という二択的な選択による現状で 利権者に都合のいい多くの矛盾が…生み出されている そこで考えられたのが 二次的投票システム「クアドラティック・ボーディング(Quadratic Voting)である これは『RADICAL MARKETS』2018年エリック・ボスナーとグレン・ワイルによって世に出たシステムである この制度において 有権者はそれぞれ99ポイントを持ち 投票では一票につき2乗のポイントを消費する つまり一人に1票を投票する場合は1ポイントを消費するが 同一対象に複数票を投じることもできる 例えば最高の9票を投じるならば その二乗9×9で81のポイントが消費される しかし99ポイントしかないので全部を一人に投票できない 最大でも9票止まりとなり 残り18ポイントについては棄権するか 別の候補を選ぶことになる ポイントを無駄にしないためには最低でも四人を選ぶことになる 最大では99人に投票できる このデジタル投票システムによって 透明化による不正な行為を減らすことができる 現状の比例代表などの極端な政党政治を抑えることができる 投票の結果が具体的に見えるので個々の参加意識が向上する このシステムの導入は 既得権益を得ている者達によって邪魔されることだろうが すでに台湾で導入が始まっているらしい 最初この題名を見たときには 市場経済の中で脱私有財産を目指すなど あり得ないと思ったが この本によって世の中の広さを痛感させられた続きを読む
投稿日:2021.06.07
waseda2015nenji
資本主義が抱える現在の課題を踏まえ富の再分配について検討した書籍。 第5章「労働としてのデータ」は、GAFAなどデータプラットフォーマーとユーザーの関係について、ユーザーから提供されるデータを「労働」…という切り口から考察している点が面白い。 特に、「労働」としてのデータを搾取するプラットフォーマーの状態を「データ封建制度」として、ユーザーの経済的地位の向上のため労働運動のように団結することで、データに正当な評価を勝ち取ることを提言している。 現在、情報銀行などデータに関する権利とその活用に関する議論があり、所有権的な立場をとる米国と人権的な立場をとる欧州で別れているが、ユーザー側の積極的な権利行使という点で興味深いと感じた。続きを読む
投稿日:2021.05.05
kkc06173
経済的格差(だけじゃないけど)を変えていくための施策のアイデア集。 机上の空論とまでは言わないが、海外の著書が書いたこの手の本は、どうしても非現実的に感じてしまうのは何故だろう。 アイデアは面白そうだ…し、実現したら、素晴らしいかもしれない、もしかしたらやらないと行かないのかもしれない。で、誰がやるの?続きを読む
投稿日:2020.12.13
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