【感想】最悪の将軍

朝井まかて / 集英社文庫
(27件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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ブクログレビュー

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  • sana

    sana

    五代将軍綱吉と言えば、生類憐みの令で、評判が良くないのはよく知られているところ。
    その時代と、綱吉の真意は?
    新たな角度から描いた作品です。

    五代ともなれば世は穏やかで繁栄しているというイメージがありましたが。
    当初はそういう空気でもなく、過渡期だったのかもしれない。
    将軍になるとは思わずに育った綱吉は勉学好きで、理想主義者。
    戦国時代の荒々しさが残る世の中を憂い、命の大切さを説こうとしていた。
    動物愛護の精神まで先取りした先駆者だったのではないかという。
    そんな彼を理解していたのが正室の信子。公家の出で教養はあるが、大らかで形式ばってはいない女性。

    生類憐みの令は、跡継ぎに恵まれない綱吉が、母親の干支である犬を大切にすることで子が出来ると信じたという、今から見ればマザコンで、迷信に振り回されたという印象がありましたが。
    実は夫婦睦まじく、自立していたイメージに塗り替えられていて、感じよく読めます。
    ただそれが史実だったのかどうかは‥

    極端な政策に、人心を読めない面があったのは、否定できないところではないかと。
    その辺はガーッと通り過ぎていく描き方でした。
    御台所との関係も、仲がいい時期はあったかもしれないが、結末は悲劇に終わった説の方が説得力あるような気がします。

    ただ綱吉本人が本心目指したものは、高邁な理想だったのかもしれない。それはあり得ることでしょう。
    将軍の立場の難しさ、それは端からはわからないこと。
    政策も施行への段階のどこでどう歪んでしまうか。
    今も昔も、上に立つ者は意外と辛い?!
    続きを読む

    投稿日:2024.01.18

  • なんてひだ

    なんてひだ

    読む前から疑心暗鬼で、好きじゃないと思うけど、朝井まかては読まなければという使命感の様な変な感情を持ちながら読み始める。犬公方が主観の本って初めてでは。生類憐みの令は人民の為に出したのが受け取る側の意趣を受け止めていないとか書かれている。一瞬本気になったけど、犬公方は犬公方なんだろうなと、じゃないとあれで罰せられて亡くなった人が浮かばない。悪政だったはず。読んでいてやめたい何度思ったのか自分。最後まで読んだ事が奇跡ですね。朝井まかてさんは何故に犬公方を題材にしたのか、未だにわからない何故でしかない。続きを読む

    投稿日:2024.01.16

  • Bookrium

    Bookrium

    歴史に悪名を残す将軍綱吉を彼の目線から描いた物語。
    本書を読んで思うことは、たとえ崇高な思想をもって文治政治を目指したとしても、その意図を正しく伝えようとせず言葉少なに、かつ結論や指示だけを出したのでは上手く浸透するはずがなく、やはり彼は将軍としての資質に欠くということ。
    更に桂昌院のような権力があるのに無邪気に欲望のまま振る舞う人をそのままにしたこと、彼と並んで悪名高い柳沢吉保を自分に忠実という理由で本質を見抜けなかったこと(伝聞が正しいとすれば)も罪が重い。
    朝井さんの意図とは違うかもしれませんが、本書を読んで最後まで現実が見えていない最悪の将軍というレッテルに更に確信を持ってしまった。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.08

  • toto73

    toto73

    綱吉に対する見方が180度変わった。頭が硬すぎたのが悪かったのか。もっとABテスト回して良い悪い吟味しながら政策進められる世の中だったらなあ。

    投稿日:2023.12.03

  • タマセツ

    タマセツ

    政策は全ての人を満足させない
    成りたくて成った訳じゃない将軍の地位、綱吉の政策の一つである庶民の為の「生類憐れみの令」は、その時代の庶民の習慣(犬食い)と背景(捨子、捨老親)から「生きるものへの憐れみ」がこの令の発信となった、とある。一方を立てればもう一方が立たず、誹謗中傷的な庶民への「憐れみ」の「逆説」が発信されたことも史実なのだ。現代、政治家の政策はどちらかというと政治家への特典よりが多く、国民の声を反映した政策が消え失せた、と感じる。続きを読む

    投稿日:2023.06.08

  • あべゆうこ

    あべゆうこ

    タイトル通り、一般には悪評高い将軍綱吉。有名な生類憐れみの令の背後にあった綱吉の真意、綱吉が目指した政治、それらへの新しい解釈を知る事が出来てとても良かった。もちろんこれもまた、一つの綱吉像に過ぎないだろうが、歴史をみるとき、様々な解釈があってこそ、現代に役立てられる視点を得られると思う。続きを読む

    投稿日:2023.05.30

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