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早瀬利之 / 双葉文庫 (2件のレビュー)
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2018.8.25読了 有り余る膨大な課題解決に奮闘している様子は伝わってくる。ただ背景の掘り下げは浅く深みにかけている。
投稿日:2018.08.25
waves
明治の最初の十年間は、日本史上で最も改革が進んだ十年間と言える。集権的な近代国家の構築というグランドデザインの下、既得権と封建的制約を一気に廃し、有能の人材が自由に伸びれる社会を作った。戊辰戦争の勝者…である薩長が敗者の徳川の遺産を分捕る、という体制になっていたら、日本の近代史はもっと違うものになっていただろう。 本書はその十年のうち、岩倉・大久保らによる海外視察の前後も含む明治4~6年の物語。廃藩置県を薩長の力で断行した後、留守政府の首班は西郷に任され、その内閣で山縣、井上、大隈、江藤、板垣といった人材が縦横無尽に働く。その成果は太政官改革に宮内庁改革に止まらず、地租改正に秩禄処分、司法体系に徴兵制、更には義務教育と近代日本社会の礎の殆どがこの時期に作られている。 その後、征韓論を唱えた西郷は大久保らと対立して下野した、と教科書には書かれている。戊辰戦争とその後の大改革を成し遂げた仲間たちにも、主導権争いはあった。西郷は朝鮮の武力制圧を考えていた訳ではない。しかし、大改革の後の疲労とか、戊辰戦争を支えた士族たちの不満とか、色んなことが思いの中にあったのは間違いない。 明治6年の政変の結果、大久保・伊藤を中心とする薩長は主導権を回復し、野に下った者たちのうち西郷・江藤は不平士族の反乱に身を投じ、板垣・後藤は野党を立ち上げた。明治の最初の十年のうち、最も重要な西郷内閣の二年間のことはあまり語られない。勝者である大久保・伊藤のプロパガンダは巧妙だった、ということなのだろう。続きを読む
投稿日:2018.04.30
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