【感想】バラ色の未来

真山仁 / 光文社文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
5
3
2
1
0

ブクログレビュー

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  • yuki*

    yuki*

    IRで浮かれる人々と、その後の落胆ぶり、そしてカジノ依存症など様々な問題に切り込んだ作品。
    真山さんの真骨頂。

    投稿日:2023.12.29

  • てつ

    てつ

    総理にIRについて指南し、信頼を得て、地元にIR誘致させようとした青森県の片田舎の町長がホームレスとなり、公園で野垂れ死にする。
    総理が態度を翻し、お膝元の山口県に最初のIRを立ち上げたことが背景にあった。
    IR推進法を巡っては、アベノミクスの成長戦略の一環として期待される一方、今もカジノに関するギャンブル依存症の懸念が拭いされていない
    また、広告代理店、経営会社、政治家などの間で利権の奪い合いが生じる。地方創生の旗印のもと、中央が進めるプロジェクトに踊らされて、地方が利権争いに巻き込まれる危険性も秘めている。
    この小説は、そんなIRやカジノがはらむ社会的な問題を関係者の絡み合いや駆け引きを通して、浮き彫りにしていく。
    著者は、裏で暗躍する広告代理店に対してギャンブル依存症を糾弾する姿勢で真相を暴こうと対峙する新聞記者の活躍に力点を置いている。 自分としては、それが小気味良く感じて好感を抱いた。
    最後に、記者たちが不実や汚職に関する証拠を提示し、総理を追い込む場面は胸のすく思いがしたが、辞任するかどうかまでは描かれていない。「政治家の行動は読めないが、監視を続け、不正があった際は容赦しない」とベテラン記者がラストに胸中を語る言葉に著者が記者出身であることの矜持をお持ちなのだろうと感じた。
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    投稿日:2023.04.02

  • ysk-matsu

    ysk-matsu

    相変わらずスリリングな内容で、500ページ超の大作だが一気読み。現代と過去を行ったり来たりする書き振りで、テンポが心地よい。ただし、しっかり追いかけていないとどの時代の話をしているのか混乱してくるので要注意。続きを読む

    投稿日:2022.02.11

  • 高岡  亮

    高岡 亮

    『バラ色の未来』真山 仁著
    ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

    1.内容
    国内のIR初誘致。
    低迷する地方か?それとも総理のお膝元か?
    ①外資カジノ運営会社②政府③メディア④広告代理店。
    この4者が、IR誘致というプロジェクトに対して対峙しあう。

    2.真山さんのメディアに対する想い
    真山さんは、記者経験のある作家さんです。
    真山さんのメディアに対する想いを拝見することができます。

    「取材なんて人に教わるもんじゃない。
     事件が記者を鍛えるんだ。」

    「記事。
     社会に伝えるべき事実だと思えば、
     躊躇してはならない。」

    3.⭐️5この理由
    IRがよい、悪いではなく、そのプロジェクトを何の目的でとらえるのか?

    地方再生なのか?
    インバウンドなのか?
    税制面なのか?

    小説を通じて、考えよ!の一石はありがたいです。




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    投稿日:2021.07.25

  • YAJ

    YAJ

    このレビューはネタバレを含みます

     今年(2020年)の初めの議員逮捕で、またぞろ世間の耳目を集めたカジノ法案(総合型リゾート/IR整備促進法)。候補地のどこに出来るかまだ未定ながら、例えば大阪にしても、開業は2024年とかなので、なかば忘却の彼方だったけど、そんな事件もあっての今、興味深く読むことができた。
     真山仁作品は『マグマ』に次いで二作目。経済誌の連載の『ハゲタカ』あたりは読んでいたけど、途中でFade outしてしまい結末はしらないが、どの作品も、緻密な取材を重ねた、多岐にわたる情報量に圧倒される感があるのが著者の特徴か。さすが元新聞記者。

     その著者が、IRにまつわる経済小説に、新聞記者の活躍という物語を交錯させて描く群像劇。群像劇なだけに、登場人物が多く(特に全国各地に居る記者たち)、最初とっつきにくいのだけど、個々の記者の取材が、有機的に絡んでくると読むスピードにドライブがかかる。後半は一気読みだ。

     話のモチーフは、カジノ誘致に政財界が絡む、コテコテのどちらかというと古典的なお話ではあるけど、主人公は“記者たち”というのが、ちょっと新鮮だった。
     若手記者に向けての社内研修のような場面から始まって、ベテラン記者からの教えや、新聞社における社内政治などに多くの頁を割いて描いている。帯にあるように“記者たちの矜持と執念が闇を照らす”とあるように、IRは題材に過ぎず、記者のあり方、マスコミの姿勢、調査報道の重要性を分からせてくれる物語かもしれない。
     表面的には、カジノ法案を地方再生の切り札として導入した現政権に対する批判が目につくが、マスゴミとも揶揄される、大勢に寄った報道が目立つ今のマスコミに、先輩として「喝っ!」を入れているようだ。

     これも帯に抜粋されているが、
    「新聞記者の存在意義とは、すなわち、権力の監視 ― それに尽きる」
     というベテランの元特ダネ記者の言葉に尽きる。大本営発表を垂れ流すだけでなく、たとえ成立した法律に則ったものであろうと、その適法性を検証し、問題点、不備を指摘し、大衆に知らしめるのが報道機関の使命。偏重報道は困るが、積み上げた事実に裏付けられた全体像を示してくれれば、あとの判断は受け取る側、我々の責任だ。報道と、読み手の関係も改めて考えさせられた。 良書なり。

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    投稿日:2020.04.28

  • attaka

    attaka

    IR問題をめぐる人間の欲望を描いた。利権があれば人は群がる。それを暴く記者たちが主人公。この続きは描かれるのだろうか。

    投稿日:2020.02.11

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